コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
唯人
唯人
印象的だったから覚えている。
この黒く真っ直ぐな髪の毛、
白い肌をより白く見せている。
昨日の事だから 覚えていて当たり前なんだけど。
服が昨日と違っていたので
雰囲気がまた違って見える。
唯人
当たり前だが 急にこんなこと言われたら
返す言葉が見つからないのも 無理ない。
瑠璃
瑠璃
瑠璃
まさか名前まで覚えていたなんて。
昨日は目すら 合わせてくれなかったのに。
唯人
普段の僕なら 自分から話しかけることなんて
ほとんどない。
僕は彼女に聞きたいことが
どうしてもあった。
瑠璃
唯人
瑠璃
唯人
唯人
唯人
唯人
あぁ、 これがいわゆるなんぱなのかなと
全てを言い切ってから思う。
それと同時に
自分がこんなにも 他人に話しかけていることに
驚きを隠せない。
多分彼女は引いただろう。
ほとんど初めましての僕に。
こんなにも一気に話しかけているのだから。
気持ちが落ち着くと
急に恥ずかしさでいっぱいになった。
僕の最後の言葉から返答はなく
沈黙の時間が続いた。
あぁ、やってしまった。
そう思った。
瑠璃
瑠璃
瑠璃
瑠璃
昨日と今日で初めて笑顔を見たと思う。
ただその笑顔も引きつっているように見えた。
唯人
瑠璃
瑠璃
そう言って彼女は僕の横に座り
語り始めた。
以前までは極普通の学生だった。
ただ普通に授業を受け、
友達と他愛のない会話をして
学校生活を楽しむ。
きっかけは単純だった。
国語の授業で
とある物語の続きを考える
という課題が出た。
元々、読書をすることが好きで
読み終わった後も 勝手に様々な妄想をすることが
よくある。
だからこの課題をやっているうちに
楽しくなっていた。
周りのみんなが苦戦する中
ペンを走らせていく。
その課題が 運命を変えることになるなんて
この頃はまだ思ってもいない。
その課題を出してから3日程たった頃
突然国語の先生から 呼び出された。
成績が悪かったのかなとか
課題が出せていなかったのかなとか
授業の態度が悪かったのかなとか
びくびくしながら
先生の元へ向かったが
先生の1言目は 想像とかけ離れていた。
そう先生から誘われた。
そう言って見せられたのは
この間提出した
物語の続きを書く課題だった。
先生からの押しは強かった。
ただ、今回の課題は楽しかった。
だから軽い気持ちでそれを引き受けた。
普段書くことの無い 長文の文章を書くのは
凄く難しかった。
それでも"楽しい"が勝つ。
だから1作品完成させるのに
1ヶ月もかからなかった。
先生は3日程で
物語を読んでくれた。
先生は凄く賞賛してくれた。
これならもしかしたら 狙えるかもしれないと。
今回が初めての執筆なのに
賞なんて貰えるわけないと 思っていた。
だから先生からの報告を受けて
驚きが隠せなかった。
『最優秀賞』
という文字が目に焼き付く。
コンテストの概要を
よく読んでいなかったので
まさか本にして世へ出されるとは 思ってもなかった。
考えてもいなかった
ペンネームを作り、
その名前が世に出回った。
それが想像以上だった。
だってまさかそんなに売れるなんて
思うはずがない。
先生は凄く嬉しそうだった。
10万部という量は
大ヒット作品として括られるらしい。
全く実感はなかったが
嬉しかった。
それからしばらくして
再びオファーが来た。
また作品を作って欲しい、と。
これが
『七瀬涙奈』 ができた
きっかけだった。