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ダーミラとクンピ
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秋田
秋田
秋田
秋田
薄暗い研究室のデスクで、秋田は膨大な資料を前に、
静かにそう呟いた。
普段の彼は、周囲から行っとりした達観した大人のように思われている。
遠くの川をじっと眺めて「日々のストレスを消しているんだ」なんで微笑むような、
哀愁漂う男。だが、東北の面々は知っている、
彼は「怒らせたら怖い、容赦ない男」だということを。
秋田が、いつか訪れるかも知れない地方同士の衝突に備え、誰にも、東北の仲間たちにも知らせずに、
独自の「生存戦略研究」を進めていた。
彼は自らの足で、日本全国のあらゆる地方へと足を踏み入れた。
秋田
ある時は、プライドの高い面々を遠くから観察し、
ある時は地方の境界線で揉める泥臭い現場へも赴いた。
そうして集めた資料は、膨大なデータとなって彼の頭脳とノートに蓄積されている。
個別の精神攻撃の有効性、
過去の歴史的トラウマを利用したディスり文句、
あるいは、隣県同士の相性の悪さ...。
そういった「個別の弱点」はすぐ判明した。
しかし、秋田の学究心はそれだけでは満たされなかった。
秋田
秋田
秋田
何日も研究室にこもり、壁にぶつかっていた秋田。
ある日、ひょこんと三重が現れた。
三重はいつもどこか掴みどころがなく、関西とも中部ともつかない
境界線に佇んでいる男だった。
三重は手元の資料を覗き込むと、クスリと笑って、とんでもない答えを口にした。
三重
秋田
三重
三重
三重
三重
秋田の脳内で、バラバラだったパズルのピースが音を立てて繋がった。
確か...思い当たる節はある。
以前、山形が
山形
山形
と零していたのを思い出した。
秋田
秋田
秋田
秋田は三重に深く感謝し、完成した研究結果を東北のリーダーである宮城へと報告した。
宮城
宮城
宮城
宮城が自信満々に、壇上で「県庁所在地」の破壊」という絶対と戦術を披露する。
岩手
青森
山形
岩手
福島
秋田
青森や岩手、そして当の山形までもが、感心した様子を口々に秋田を称賛し、大いに盛り上がっている。
ーーしかし、その熱気の中で唯一、福島だけが腕を組んだまま、静かに表情を曇らせていた。
周囲の歓声に合わせるように小さく頷いているものの、福島の目はどこか腑に落ちないように手元のノートを見つめていた。
福島は結局、何も発言しないまま、何かを思い出すように自分のペンをじっと見つめていた。
そんな福島の小さな違和感に気づく者は、盛り上がる会議室には誰もいなかった。
宮城
青森
データは厳重に製本され、東北の最高機密として、
宮城の執務室の奥深くへと保管された。
秋田は自分の仕事の成果に満足し、深く息を吐いて、研究室の明かりを消した。
カチッ
ーーだが
研究室を出て、人気のない暗い地下通路を歩く三重の足が、不意に止まった。
誰もいない暗闇の中、さっきまで親切に微笑んでいた三重の顔から、
一切の感情が消え失せた。
核心に触れた高揚感を抑えきれないように、
その口元が、三日月のように狂おしく吊り上がった。
三重は声を殺して激しく、 嘲笑った。
三重
三重
三重
さっきまでの三重は、もうここには存在しない。
三重の脳裏には、秋田が見ていたものとは違う、
全く異なる冷徹な日本地図のデータが。
京都のように、県庁所在地に全てが集まるのは、ごく一部に過ぎないーーーー
三重
事実、三重自身がその生きた反証だった。
三重の県庁所在地は「津市」だ。
しかし、経済の規模、人口密度、工業の勢力ーー
北部にある「四日市市」や「鈴鹿市」の方が遥かにでかい。
三重という存在は、最初から、複数の都市に機能が分散している
分散型だったのだ。
仮に、秋田が兵法書通りに「津市」へ全火力を注ぎ込んで破壊したところで、三重にとってはかすり傷ほどである。
それだけではない「静岡」や、中国の「山口」
...そして
さっきの会議だけ一人だけ怪訝な顔をしていたあの『福島』
県庁所在地を叩いても致命傷にならない「分散型」のタフな連中は、日本中ゴロゴロと転がっていた。
秋田が血を滲むような思いで完成させた『兵法書』は、三重のほんの少しの口実で仕掛けた、「偽りのデマ情報」であった。
三重
三重
三重
ーー三重と東北は、例えチームに分かれても、 味方にはならない場所である。
コメント
1件
秋田さんの努力家な姿と、三重さんの掴みどころのなさが対照的で、最後の豹変にはぞっとしました。福島さんだけが違和感に気づいている描写が効いていて、今後の伏線になりそうでドキドキします。続きが気になる回でした!