三波斗に“俺が幸せにしてあげる”と言った日の夜。
8時くらいかな?
ゲームのやり過ぎで何時か分からなくなってしまった。
コントローラーを机に置き、軽く首を回した。
何しよ…
ゲームのやり過ぎはあまり良くないからなあ…
あ、そうだ!
インスタライブ撮ろ!
それで、三波斗も誘おう。
実は少し前からSNSで“三波斗とのインスタライブのコラボがみたいです”というリクエストが多くきていた。
理由はあんまり分からないけど、俺からしたら嬉しい。
三波斗と話す機会も増えるし…
俺は、部屋のドアノブを持った。
その時、こんな声が聞こえてきた。
椚三波斗
四季涼雅
椚三波斗
三波斗と涼雅…?
俺が、2人でどんな会話をするのか気になってしまい、ドアノブを捻ろうとするのを一旦やめた。
四季涼雅
四季涼雅
市川慶一郎
椚三波斗
俺は耐えきれなくなって部屋を出た。
市川慶一郎
涼雅と三波斗が2人っきりでお風呂だなんて想像するだけで嫌だ…
四季涼雅
椚三波斗
2人は俺の方にほぼ同じタイミングで振り向いた。
部屋のドアを閉め、2人の方に向かって歩いた。
市川慶一郎
椚三波斗
俺は三波斗の肩に手を置いた。
涼雅の元には行かせない。
市川慶一郎
まるで2人の話は全く聞いていませんでしたーみたいな感じでそう言った。
椚三波斗
良かった…涼雅より俺の方に来てくれた。
市川慶一郎
四季涼雅
涼雅、三波斗は譲らないから。
俺は三波斗を連れて自分の部屋へ歩いた。
椚三波斗
市川慶一郎
市川慶一郎
俺と三波斗はソファに座った。
椚三波斗
椚三波斗
市川慶一郎
三波斗が良い。
市川慶一郎
市川慶一郎
椚三波斗
市川慶一郎
なんで“三波斗が良い”って言えなかったんだろう。
素直に言えば良かった。
じゃないと、三波斗が涼雅のことずっと好きなままだ。
俺は、三波斗が涼雅への気持ちを忘れさせるくらいに“好き”って伝える。
それで、三波斗のことを幸せにしてあげるんだ。
椚三波斗
市川慶一郎
〜インライ〜
市川慶一郎
椚三波斗
カメラを止めた後、俺と三波斗は同時にソファにもたれ掛かった。
市川慶一郎
椚三波斗
椚三波斗
市川慶一郎
椚三波斗
市川慶一郎
市川慶一郎
良かった…楽しんでもらえて
少し時間が経った時。
椚三波斗
椚三波斗
市川慶一郎
椚三波斗
椚三波斗
椚三波斗
市川慶一郎
市川慶一郎
涼雅とさつき、一緒にいたのかな?
椚三波斗
市川慶一郎
三波斗はひょいっと立ち上がり、部屋を出ていった。
市川慶一郎
俺は三波斗の背中を少し遅れて追いかけた。
市川慶一郎
椚三波斗
椚三波斗
市川慶一郎
三波斗はそう言いながら涼雅の部屋のドアを開けた。
確かになんで追いかけて来たんだろ?
椚三波斗
急に、三波斗の様子が変わった。
市川慶一郎
俺はその様子が気になって、部屋の中を覗き込んだ。
市川慶一郎
部屋の中は暗くて、ベッドの布団が膨らんでいる。
涼雅が寝てるだけじゃん?
三波斗、なんでそんな“この世の終わり”みたいな顔してんだ?
俺は三波斗の真横で少し背を屈めてベッドの方をもう一度しっかりと見た。
市川慶一郎
目を細めてよーく見たら、布団の中にいるのは涼雅だけではないことに気づいた。
涼雅と一緒に寝ていたのは、さつきだった。
椚三波斗
三波斗は俯いて、ゆっくりとドアを閉めた。
市川慶一郎
さっきまで“涼雅に会える!”っていう嬉しそうな顔とは正反対の顔をしていた。
三波斗、可哀想に…
椚三波斗
市川慶一郎
椚三波斗
椚三波斗
市川慶一郎
三波斗はそれだけ残して、お風呂に行ってしまった。
俺はその寂しそうな背中を静かに見ることしか出来なかった。
ガチャッ
しばらくして、どこかの部屋のドアノブ音が聞こえてきた。
三波斗、帰ってきた!
よし、急いでお風呂行ってこよう。
三波斗に早く会いたくて、大体10分くらいでドライヤーも終わらせてきた。
ガチャッ
最初は少しだけ開けて、電気が消えていないか確認した。
まだ消えてない。
俺はドアを今度はしっかりと開けた。
市川慶一郎
椚三波斗
ベッドにうつむせになってスマホをいじっている三波斗の後ろから乗っかった。
椚三波斗
椚三波斗
市川慶一郎
三波斗に乗っかったまま、首元に顔をうずくめた。
椚三波斗
普段こんなことをされないからか、凄く動揺している。
市川慶一郎
俺は三波斗の焦りに動じず、首に腕を回した。
椚三波斗
椚三波斗
三波斗は、俺をベッドから降ろした。
市川慶一郎
椚三波斗
俺はベッドの下に座り、ベッドの上で身体を起こした三波斗を見つめた。
市川慶一郎
市川慶一郎
市川慶一郎
椚三波斗
三波斗のその言葉が俺の中に重く響いた。
そっか…俺じゃだめだったか。
市川慶一郎
市川慶一郎
俺は、ドアに近づいた。
ドアノブを捻った。
椚三波斗
市川慶一郎
椚三波斗
椚三波斗
市川慶一郎
その想定外の言葉で、三波斗の方に振り向いた。
市川慶一郎
椚三波斗
でも何で…
俺は三波斗の座るベッドに腰掛けた。
しばらくの沈黙の後、三波斗が口を開いた。
椚三波斗
椚三波斗
椚三波斗
椚三波斗
椚三波斗
椚三波斗
ぽつりぽつりとそう言った。
市川慶一郎
市川慶一郎
“好き”って気持ちが消えるのはなかなか出来ない。
俺にだって分かるよ。
涼雅が三波斗じゃないように
三波斗も俺じゃない人を選んでる。
なんでこんなに上手く行かないんだろう。
頑張るって決めたのに…
頑張るって…
市川慶一郎
あれ、寝てた?
目を開けると、ベッドに横になっていて、掛け布団が掛けられていた。
あれ…三波斗の部屋だ。
三波斗は?
すぐに起き上がり、辺りを見渡した。
三波斗は、清春の部屋から持ってきたであろうヨギボーの上で気持ちよさそうに寝ていた。
市川慶一郎
三波斗の寝てる隣にしゃがみ、顔を覗いた。
寝顔を見るのは、一昨日ぶりだな。
やっぱり可愛い。
寒そうなその身体に、さっきまで俺が被っていた掛け布団を掛けた。
その隣に寝転び、起きるのをずっと待っていた。
コメント
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毎回、楽しみにさせていただいてます(ノ´∀`*) これからも、応援します❗