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放課後の図書室。
窓からオレンジ色の夕日が差し込み、本棚の影が長く伸びていた。
その奥の席で、本を読んでいる少年がいた。
紫苑(もふ)。
紫色の髪にメガネ。
いつも静かで、成績は学年トップクラス。
本を読むことと絵を描くことが好きで、
休み時間もよくスケッチブックを開いている。
クラスでは「近寄りがたい」と言われることも多かった。
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ページをめくった、そのとき。
ガラッ
図書室のドアが勢いよく開いた。
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元気な声が響く。
入ってきたのは同じクラスの達也(たつや)だった。
誰とでもすぐ仲良くなる性格。
そして——
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重度の厨二病である。
紫苑はゆっくり本から目を上げた。
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達也は気にせず紫苑の前に座った。
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紫苑はため息をつく。
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達也は笑った。
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紫苑は本を閉じて、少し顔をそむけた。
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ある日、紫苑は美術室で絵を描いていた。
誰もいない放課後。
静かな時間が好きだった。
スケッチブックには細かい線で人物画が描かれている。
そこへ——
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またしても達也だった。
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達也は紫苑のスケッチブックをのぞきこんだ。
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紫苑は慌てて閉じる。
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少し沈黙が流れた。
すると達也が言った。
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紫苑は眉をひそめる。
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達也はまっすぐ言った。
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紫苑の胸が少しだけざわついた。
そんなことを言われたのは、初めてだった。
その日の帰り道。
突然、雨が降り出した。
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達也が空を見上げる。
紫苑は鞄から折りたたみ傘を出した。
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達也は驚いた顔をした。
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二人は同じ傘に入って歩き出す。
距離が近い。
達也が少し照れながら言った。
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紫苑は少し黙る。
そして小さく言った。
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でも紫苑の耳は、少し赤かった。
ある日、紫苑が図書室に行くと達也がいなかった。
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いつもなら先に来ているのに。
遅れたって今頃にはもう…。
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だが、その翌日も、その次の日も——
達也は一向に図書室に来なかった。
三日目。
——紫苑は落ち着かなかった。
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自分でも理由が分からない。
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そして廊下で、達也を見つけた。
女子たちに囲まれて笑っている。
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胸が少し痛んだ。
紫苑は思わず言った。
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達也は振り向いた。
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嬉しそうに駆け寄ってくる。
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紫苑は少し不機嫌に言う。
達也は頭をかいた。
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紫苑は少し黙ってから言った。
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達也はぱっと笑った。
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その笑顔を見て、紫苑は気づいた。
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