サカナ
サカナ
サカナ
サカナ
サカナ
ナチ
私は何を間違えたのだろう
どこで間違えたのだろう
私はただ…
ずっと…
ナチ
日帝は扉を開けた
それは私を迎え入れてくれたということ
なのに、どうして拒絶されたのかわからない
あの小娘たちも一緒に殺せば良いのかと思ったが、ここから出られないのでは仕方がない
誰も、こんな犯罪者に会いに来てくれはしない
…いや、父上が時々来てくださっているか
後、監視の国際連盟とワルシャワ条約機構の2人
なんだ、案外私の様子を見に来てくれるやつはいるじゃないか
だが…寂しいことに変わりはない
一日中この場所で過ごし、朝も夜もわからないまま、たまに水を与えられるだけ
飲まなくても死にはしないが、飲まなければ暇なのだ
自分が植物だと誤認しそうなほど動かないから
重い鎖で繋がれた犯罪者
それ以上でも以下でもなく、ただ無様に日々を過ごすのみ
何か懲罰を受けるより、余程辛かった
国は地獄に送れないから、代わりの地獄にいる
ただ、それだけのことだろう
大切な仲間といたいと願っただけなのに
私の夢は全て、皆の迷惑になるらしい
だったら、何も願わず考えず、ただこの場にいた方がいいのかもしれないな
私が許しを乞うのはお門違いだから
でも、謝罪だけなら無料だろう?
ナチ
暗い牢獄の中、私の声だけが小さく響いた
日帝
海
海
陸が死んで数日、あの子は今日も縁側に座り、ぼーっと外を眺めていた
真面目な陸は退役しても訓練を続けていたのだが、死んでからはしていない
江戸
江戸
江戸
江戸
空と海は陸のことを心配して、よく話しかけている
しかし、陸はあまり反応もせず、空返事ばかりだ
きっと、まだ情報の整理が出来ていないのだろう
空
空
空
空
そんなことを言う空が、一番心配していることは知っている
江戸
江戸
時々泣いていたり、うなされたり
わしらは側にいてやることしかできないのがもどかしかった
いつか立ち直る
その言葉は、もはや願望に近かった
海
江戸
江戸
空
海
江戸
江戸
江戸
陸は背を向けたままだったが、僅かにこくんと頷いた
イタ王
イタ王
週一で行っている報告会
ドイツ帝国は責任感が強いからか、日に日にやつれていっているような気がする
ドイツ帝国
ドイツ帝国
イタ王
紅茶を飲みながらソファに座り、日帝とナチの…かつての仲間たちの今後について話す
重大な罪を犯したナチは今、ドイツ帝国の自宅の地下で捕えられているらしい
時々国連やWTOも様子を見に行っているそうだ
ドイツ帝国
ドイツ帝国
イタ王
イタ王
イタ王
イタ王
イタ王
僕が言葉を紡ぐたび、ドイツ帝国は表情を暗くする
でも嘘をついても仕方がないことだから、真実だけを口にした
ドイツ帝国は手をぎゅっと握り、黙って俯く
ナチを止められなかった責任が、重く重くのしかかっているんだろうな
ドイツ帝国
絞り出されたような声は、ひどく震えていた
イタ王
イタ王
イタ王
イタ王
イタ王
事実、暴走したナチを止めるには誰もが力不足だったんだから
国連には最初から期待していなかったけど、WTOとドイツ帝国が止められなかった時点でどうすることもできない
ナチはまっすぐに進み続けて、現世と常世に蔓延るモノを吸収、利用した
そうなってしまったら、一対一の力比べでなくなるのは当然だ
勝てるわけない、止められるわけない
ドイツ帝国
イタ王
イタ王
イタ王
ドイツ帝国
ドイツ帝国
こういうところは、やっぱり親子そっくりだ
少しぬるくなった紅茶を飲み干し、僕らはまた、いつかを考えるのだった
此岸
にゃぽん
にゃぽん
にゃぽん
にゃぽん
啜り泣く妹の声が居間に響く
僕は何をしているんだろう、早くあの子を慰めなければいけないのに
居間へ続く襖から、一歩も動けない
そうしている間にも、妹はぐすぐすと泣いて父のことを呼ぶ
お願いにゃぽん、もう泣かないで
その一言を言いに行けばいいだけ
でも…そうしたら、父さんがいなくなったことを実感してしまう
日本
あなたのレシピを真似て、色々ご飯を作ったんですよ
にゃぽんの食べたがっているプリンも、僕が好きだったお味噌汁も
2人で作ったんですよ
でも、全部味が違うんです
何度レシピを見ても、何度試しても、誰に聞いても、同じにならない
父さんを殺した犯人は、父さんの味も殺してしまった
まだ捕まらない犯人
指紋一つも出てこなくて、証拠は何もないまま
出て行きたくないと警察に駄々を捏ねて、十分な捜査ができていないまま無理矢理居座っているせいかもしれないけれど
そうやって無理矢理住んでいるのに、日に日にあなたの痕跡がなくなっている気がするのです
あなたの愛刀だった刀も
この世で一番好きな料理の味も
ふわりと香っていた花の匂いも
何よりも聞いていたあなたの声も
あなたの温もりさえ、僕たちの記憶からなくなっていく
きっとあなたの味と同じ料理が作れたとしても、いずれ僕たちの味になってしまう
遺影も、遺骨も、遺品もある
だけど、大事なことは忘れてしまいそうなんです
アルバムにもない些細な日常の思い出は、二度と増えずに消えていくだけ
日本
こうして泣いていたら、男のくせに情けない!だなんて喝を入れてくれましたね
僕、毎晩泣いてますよ
なんで、一度も来てくれないのですか
泣くなって言ってくださいよ
泣いても進まなくてはいけないから、何があっても前を向いて堂々としろって
死ぬ時も泣かなかったあなたと違うんですよ、悲しくて悲しくて堪らなくて、もう進めないんです
進みたく、ないんです
日本
拭っても擦っても視界を歪ませる雫が落ちて、僕の服を濡らし続ける
あなたの声を
あなたの温もりを
あなたとの思い出を
あなたのことを
忘れたくないのに
思い出したい、全てを忘れたわけではないけれど
部屋の中から聞こえていたにゃぽんの泣き声が大きくなる
きっと仏壇の前で泣きじゃくっているのだろう
早く慰めなければ
お兄ちゃんだから、妹のことを一番に考えないといけないのに
社会人が泣いてばかりじゃ情け無いのに
にゃぽんの方が傷ついてる
僕は大丈夫
大丈夫なはずだから
日本
もしも時間を巻き戻すことができたのなら、どれほど良かったろうか
私はぼーっとしながら、毎日同じことを考えている
日帝
嗚呼父上よ、兄弟たちよ、そんな顔をしないでください
私はただ、己の後悔を嘆いているだけなのだから
コメント
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ガチめに泣いてしまいました… 素晴らしい…
リアルで少し泣いてしまった…ッッ、とにかく大好き