主
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 二次創作
主
主
主
第77話『小さな約束』
朝から降り続いている雨は、昼を過ぎてもやむ気配を見せなかった。
窓ガラスを叩く粒の音は途切れることなく一定のリズムを刻み、まるで部屋全体が雨に包み込まれているように感じられる。
薄暗い空のせいで電気をつけても部屋の中はどこか影が濃く、静けさが一層際立っていた。
らんは居間のソファに腰を下ろし、分厚い小説を手にしていた。
けれどページをめくる指はゆっくりで、目は文字を追いながらも内容をほとんど捉えていない。
頭のどこかで、雨音にばかり意識を引き寄せられてしまう。
ときおり窓の外を見やっては、水の流れる軌跡をぼんやりと目で追っていた。
そんなとき――。
こさめ
弾むような声が廊下の向こうから響き、直後に勢いよくドアが開かれた。
湿った空気を押しのけるように現れたのは、いつも通り元気いっぱいのこさめだった。
こさめ
両腕を大きく広げ、くるりと一回転。
濡れていないのに水滴が飛び散りそうな仕草に、らんは思わず吹き出した。
らん
からかうでもなく、穏やかに頷いて肯定する。
その返事にこさめは「でしょ!」と胸を張り、満足げに笑みを浮かべた。
けれど次の瞬間、その笑顔はふっと曇る。
視線を窓の外に向けて、ぽつりと漏らした。
こさめ
こさめ
らんは本を閉じて、こさめに体を向ける。
らん
問いかけると、こさめは腕を組み、ふにゃりと眉を寄せた。
こさめ
言いながら、ぼふん、とソファの隣に倒れ込む。
クッションが跳ねてらんの肩に軽く当たり、二人の間に小さな弾みを生んだ。
らん
らんは軽く目を細めて考えるように黙り、やがて小さな笑みを浮かべた。
らん
ソファに沈んだままのこさめが、顔だけをこちらに向けてくる。
こさめ
子どものように素直な問い。
らんは少しだけ視線を泳がせ、天井に目をやりながら言葉を探した。
らん
らん
らん
こさめはしばらく黙って天井を見上げたまま「……確かに」と呟く。
こさめ
言葉を咀嚼するように小さく頷き、それからぱっと表情を明るくする。
こさめ
勢いよく起き上がり、両手を広げる。
らんは吹き出した。
らん
こさめ
こさめはぷくっと頬を膨らませ、胸の前で腕を交差させて抗議のポーズをとる。
あまりに子どもっぽい仕草に、らんは笑いを堪えきれず肩を揺らした。
らん
笑いを落ち着けたらんが優しい声で言うと、こさめもすぐにふにゃっと頬を緩める。
そしてにこにこと笑った。
こさめ
期待に満ちた目。
その眼差しに、らんは胸の奥がきゅっと締めつけられるのを感じた。
こさめのことは思い出せている。
けれど、他のみんなの記憶はまだ霧の中にある。
その事実が小さな棘のように引っかかる。
それでも、らんは静かに頷いた。
らん
らん
一瞬、こさめは驚いたように瞬きをした。
けれどすぐに柔らかな笑みを浮かべ、声を弾ませる。
こさめ
こさめ
その声は、雨音に溶けて部屋に広がった。
窓の外では相変わらず雨が降り続いている。
けれど部屋の中には、小さな灯りがともったように感じられた。
第77話・了
主
主
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡50
主
主
コメント
4件
…………そっか… これがてぇてぇか…! (訳:声が脳内再生されるくらい解釈一致過ぎてもうほんま好き!)
こさめちゃんとらんくんの会話尊いッ💕✨️ 早くみんなとの記憶が戻るといいな... 続き楽しみにしてます!!!