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ピンポーン…
午前3時、深夜ともとれる時間帯に ソイツはやってきた
いふ
その時、俺は酔っていた だからだろう、あんな馬鹿な真似を してしまったのは
ソイツ
ソイツ
酔っていたからか、 記憶があやふやでそこら辺しか 覚えていない。
ソイツ
いふ
おぼつかない足取りに、 ボヤける視界。
ふらふらのヘロヘロだと言うのに 耳はちゃんと機能していることを ここまで恨んだことはない
ポン
ソイツが持ってる書類に 一つの判が押された
ソイツ
ソイツ
そう言って、ソイツは去っていった
いふ
明日は仕事も休みということで 安心していたせいもあるだろう
一言呟いて、意識は闇の…夢の中へと 落ちていった
第一章 突然の来訪者
いふ
そして、それらを今思い出し、 玄関で嘆いていた。
いふ
後悔でしかない昨日(今日)の行動が どんどんと鮮明になっていく
いふ
自分自身に怒りしか湧いてこない いや、むしろ悲しいとすら思う
いふ
それほどまでに、後悔していた
いふ
朝から頭痛がするのは、 これが初めてではないが、 これほどまで酷いのは初めてだった
いふ
いふ
いふ
落ち着けと言っておいて 全然落ち着けていないことは明白だ
いふ
いふ
いふ
せっかくの休みだと言うのに 何故朝からこんなことを考えなければ ならないんや!!
そんなことを考えているが、 それは自身の行動のせいであることを 思い出す
いふ
誰に言っているのかわからない 弁明を述べるが意味などない
いふ
いふ
ピンポーン
いふ
たしかに俺の耳に届いたのは 来訪者を知らせる今は本当に 鳴ってほしくない音だった
いふ
でるか?でないか?それを思案し、 2秒後、
いふ
様々な葛藤を2秒で済ませ、 ある程度、身なりを整えてから出る
ソイツ
ソイツは気色悪いほどの笑みを浮かべ 礼を言ってきた
いふ
自身の口の端がピクピクと動く 仕方ないだろう、目の前に、 ソイツがいるのだから
いふ
ソイツ
やっぱりか、とため息をつきそうに なり、慌てて次の言葉を出す
いふ
いふ
一番気になっていたところだが、 正直、不安しかない。
だからこそ、先ほどまで あれほど後悔していたわけなのだが。
ソイツ
いふ
ベロンベロンに酔っててよく 覚えてませんでした、なんて
いふ
見てわかるほど酔っていたことに 彼は、俺はまだ気づいていなかった
ソイツ
いふ
ふと思ったが、何故ソイツは 午前3時などという深夜に 来たのだろうか。
いふ
今それを考えても無駄か、と思い もう何も考えないようにした
ソイツ
俺に聞こえる声量だが、 呟いた様にも聞こえた。
ソイツ
いふ
ソイツが横へとずれて、後ろが 見えるようになった
いふ
最初に視界に入ったのはただの景色 だったが、少し目線を下げると そこには
子供がいた。
ソイツ
いふ
無理!!!!
そう言おうとしたんだ だけど
子供
いふ
こんな小さな子に見つめられて、 そんなことを言える奴がいるだろうか
ソイツ
ソイツ
いふ
ソイツ
ソイツ
ソイツ
いふ
普通、いきなり子供引き取って って言われたらそりゃ、引き取らない だろうし、判も押さないだろう
いふ
普通に納得してしまった自分に 叱咤する。そして過去の自分を恨む。
ソイツ
いふ
とりあえず子供のことだけは 聞いておこうと思い、頭を整理して ソイツにむかう
いふ
もう引き取るしかない。 判を押したのは自分だ。 どうせならその子供をしっかり育てて 幸せにしてみせるわ!!
ソイツ
ボソッとソイツが何かの数字? を呟いた
ソイツ
ソイツ
いふ
名前がないは流石にヤバい気がするが
ソイツ
ソイツ
ソイツが困ったような顔をして 子供を見ながら話す
いふ
ソイツ
ブツブツと呟いて、カバンから何やら 資料のようなものを取り出した
ソイツ
いふ
ソイツ
いふ
政府もっとちゃんとしてくれと 切実にそう思った
いふ
ソイツ
馬鹿か、馬鹿なのかコイツ
少しだけだが、ソイツに対する 目の色が冷えた。
ソイツ
いふ
スッと、1、2枚ほどしかない 資料を渡してきた
ソイツ
いふ
ソイツ
と、ソイツは思い出したかのように カバンを漁り出し一つの分厚い 封を渡してきた
ソイツ
いふ
ソイツ
良い笑顔をすると、ソイツは バッと逃げるように家から 去って行った
子供
いふ
子供の方へと向き直り、 改めて実感する。
いふ
育児の大変さを俺はまだわかって いなかった。
いふ
子供
小さな声だが、返事ができているとこ を見ると、意外と言葉は大丈夫なのか と思えてきた。
第二章 無口な少年
いふ
子供
ふらふらとした頼りない足取りで ソファまで向かう子供を見ると、 なんだか、心配になってきてしまう
いふ
子供
13才、だというのにとこか拙い、 幼さを感じさせる口調に多少の違和感 を持ちながらも、
いふ
と、返事をした。 会話は、なかなか続けることが できなそうだと悟った
いふ
数百万ほどだろうか、分厚い封に 仕舞われていた札を見る
いふ
ブツブツ、コレからすべきことを 頭で考え声に出す
いふ
お前や、コイツ、などという呼び方 では流石にダメだろうと思い、 ひとまず名前を考えることに専念する
子供
子供はソファに座ったまま、 一歩たりとも…いや指先すらも 動かそうとはしなかった
いふ
顔や体、声…とりあえず分かっている 子供の情報からそれらしい名前を 頭の中から捻り出そうとする
いふ
なんとなく「ゆう」の二文字が 思い浮かんだ。 けれど、 もう少し何か付け足したくなって さらに頭の中を探って考える
いふ
いふ
いふ
いふ
いふ
いふ
「ゆう」の先、2文字程度だと思うが それが思い浮かばない 仕方なく、スマホを使うことにした
いふ
しばらく自分のスマホと睨めっこして ようやく
いふ
一つの名前にたどり着いた なんだか感動のようなものも覚えるが 本人が気に入るかどうか、 という問題もある。
いふ
子供
無表情、という言葉がぴったりと 当てはまる表情でコチラを見られると どうにも話がしづらい
まだ、子供なのになあ。
いふ
子供
俺を見ていた顔はTVの方へ向き、 変わらぬ表情…無表情のまま、 はっきりとそう言った。
いふ
いふ
今更ながらだが、本当に忘れていた
知らない人に家へ招待されるのは どれほど怖いのだろうか、と そんな考えが頭をよぎる
いふ
子供
いふ
微笑んだつもりだがどうだろうか、 引き攣ってないだろうか。 相手に同情しているような顔を、 していないだろうか。
いふ
子供
興味がないかのような返事をした彼に 本題を持ちかける
いふ
いふ
子供
また、オウム返しのように、 一つの単語を繰り返して言う
子供
いふ
13才…という年齢には似ても似つかないほどに、幼くみえるのは、 気のせいなんかではないだろう
いふ
笑いかけて、なるべく柔らかな雰囲気で問いかける。 緊張を感じて欲しくはないからだ
子供
やはり、拙い日本語だ。 けれど、許可はとれた それでいい と言われたのは少し腹が立ったけど。
いふ
子供
静かに返事をした…悠佑はやはり、 無表情であった
いふ
子供
いふ
子供
短い返事だが、話を聞こうとしている …もう少し柔らかく言ってほしいが
いふ
いふ
子供
悠佑は少し考えるそぶりを見せてから 淡々とこう答えた
子供
本当は、一緒に行って仲良くしよう と思ってたけれど、本人が嫌なら 仕方がない。
いふ
子供
ここまで無表情で端的な答えを 返されると、機械のように思えてくる
いふ
子供
会話は続かないし、雰囲気だって 良くはならない だから少し、 早く行きたいなんて思ってしまった
いふ
「行ってらっしゃい」 そんな言葉を、言ってほしかった。
彼に似合う服はどんな物だろうか
いふ
いふ
いくつかの服と、下着を持って レジへと急ぐ。
彼は小柄だから、多少サイズが 大きくても着れないことはないだろう
いふ
店員
笑って接客をしている女性は 素早く会計を済ませてくれた
店員
このくらい彼も愛想良く…
いふ
そうだったらどれほど良いことか、 と考えるが、それが彼なのだと 今は受け入れるしかなかった
いふ
家に帰って一番にそう言うが、 もちろん返事はない
子供
それどころか、一歩も動いていない 朝と全く同じ形で座っていた
いふ
子供
…子供らしくないなあ
子供ならば、もう少しはしゃぐなり なんなりしてくれても良いハズだ
いふ
一人、呟いた。 まだ、悠佑という名前が定着してない この子に、子供らしい反応を期待して 勝手に残念がる自分に向けて
いふ
ーーー悠佑のことについて、 ある程度のことは分かってきた
いふ
いや、正確には分かった気になって いる、といった方が良いのだろう
先程から俺は悠佑の資料に目を 通している
いふ
いふ
いふ
性格や、前の生活などについては 一切、記録に残っていないのは 少し、妙な気もするが……
と、そんなことを考えている内に 読み終えてしまった。
いふ
そうは思うが、今朝会ってすぐ帰った "ソイツ"の名前や電話番号も何も 知らないので無理なのでは?と悟る
いふ
悠佑本人に問いたいが、多分、 「特にありません」といった旨の事を 言われる事は目に見えている
いふ
頭を抱えて悩んでる俺の横には 悩みの元凶が静か〜に ソファに座っている。
いふ
いふ
異様に静かだったことに気づき、 悠佑の顔を覗き込むと、 瞼は光を遮るようにして 閉じられていた
子供
いふ
ふと、そう思い呟く 「可愛い」 寝ている時人は無防備だ だからこそ、そう思うのだろう
いふ
寝息すら聞こえてこないようで もしかしたら死んでるんじゃないか と思うほどには静かで
いふ
悠佑の髪からなぞり、頬に触れる
いふ
第三章 ハジメテのコト
子供
いふ
子供
ゆっくりと笑みを浮かべ、 話しかけてくるこの男は、 いったい、なんと言う名前だったか
子供
日本語にはまだ慣れていないからか 少し拙い話し方になってしまうが、 伝わっているのなら問題はない
いふ
子供
カチャカチャと音を立てて何を しているのかと思えば、 鼻を掠めた良い匂いで察しがついた
いふ
子供
とりあえず返事をする 「悠佑」というのはコイツがつけた ただの呼び名。それが俺個人を表す 単語、となっている。
子供
皿に盛り付けられているのは、 確か、ごはん?とか言ったやつに 茶色っぽい色がついたものだった
子供
よく見てみると緑の長細いものや ハムらしきものも混ざっていることが 分かる
いふ
子供
俺がそういうと、男は呆けた面で 「嘘やろ…」と呟いた
いふ
子供
ふわふわと漂う良い匂いで、 美味しいもの、ということは分かるが 見たことがないので、当たり前だが 味も分からない
いふ
独り言のように言って、 パンっと手を叩いた
いふ
子供
さっさと食べたい。 そう思うのは良い匂いのせいなのか、 この男と話すのが嫌なせいなのか、 今の俺にはわからない
いふ
子供
食事の挨拶、と聞いたことがあるが 実際に言ったのは初めてだ
子供
今更…かもしれないが、この男に 俺に敵意、殺意がある場合、 この食事に毒が盛ってある可能性が…
いふ
スッと、食べにいった様子を見るに 食事には毒は盛られてないようだ
子供
いふ
子供
こういう風に、誰かと…… 人と接するのは、初めてのことだから 戸惑いの方が圧倒的に多い
子供
口に入れた瞬間、あの良い匂いが 鼻の奥まで突き抜けていく
子供
あったかいものを、 こんなに美味いものを、 初めて食べた感動が一気に 押し寄せてくる
子供
いふ
いふ
噛み殺そうとしても溢れた声は あの男の耳に届いていたらしい
子供
嬉しそうに笑うから、その顔が 眩しくて、思わず目を逸らした …俺は、悪くない
子供
いふ
驚いた表情でコチラを見つめてくる 表情筋がない無表情野郎とでも 思っていたのだろうか
子供
いふ
そう言うと、男……いふ、とかいった やつは俺の頭を荒くわしゃわしゃと かき混ぜるようにして撫でた
子供
なんだか、ペットのような扱いを されているのが気に食わないが ……この感覚は嫌いじゃない。
子供
初めてだ。大人に、こんな風に、 優しく…触れられたのは。
いふ
子供
押し潰したような笑い声を あげながら、俺の頭から手を離した
子供
…少し、惜しいな と思ったのは 俺だけの…俺の中だけのヒミツである
いふ
真っ直ぐに、俺の瞳に訴えかけるように見つめてくる。いふの瞳の中には どこか、純粋さを感じさせた。
いふ
いふ
子供
面白いおもちゃでも見つけたかのように楽しそうに笑っているいふを… 真っ直ぐには見れない俺がいる
子供
目が伏せがちになりながらも、 俺はいふに言葉の意味を聞く
いふ
いふ
子供
可愛い?俺が?そんなわけあるか。
子供
それ以前に、人として"可愛い" という要素が俺にあるとは思えない
いふ
悪戯っ子のような、さっきとは違う 笑みを浮かべている。 表情筋が柔らかいんだなと思う。
子供
いふ、という大人は大人とは思えない ほどに、無邪気な笑顔を浮かべる。 だからだ。だから俺よりも子供なのだ
いふ
馬鹿みたいにずっと彼は笑っている ーーだから、俺は信用できないんだ
子供
俺の知っている"大人"は そんな風には笑わない
子供
信用だけが、必要だから。
子供
少しだけ冷めたご飯も、 これはこれで美味しいと思う。
いふ
「悠佑」
子供
今日は、初めてばかりだ
中編に続く。