君の笑顔を見ると
私も笑える
歌音
お父さん、死んじゃった…
私が9歳の頃
父が、病気で他界した。
歌音
うっ、ぅっ
お母さん
もう泣き止みなさい
歌音
でも…
それは、父の葬式の時
私は顔を上げた
お母さん
まぁっ、歌音!
歌音
な、なに?
お母さん
なんで笑ってるの?
親戚の人達
え、あの子、お父さんが亡くなったのに笑ってるの?
親戚の人達
ヒソヒソ
歌音
え、え?
私は、この顔が嫌いだ
いつだって笑ってるように見えるんだそう。
歌音
こんな顔、もう嫌。
そして私は、顔に傷をつけた。
それから、私は人前では絶対に笑わない
時が経ち、私は16歳
歌音
今日も学校か…
歌音
憂鬱だな
沙羅
おー!歌音!おはよ!
歌音
あ、沙羅。おはよ
沙羅だけは私を理解してくれている
沙羅
今日体育だよ、めんどくさー
歌音
そうだね
教室に着いた
ガラガラガラ
優樹菜
あれー?またこいつ学校来やがった
太一
ほんとだ、うぜー
愛美
こいつなんも喋んないし、顔に傷あってキモいよなぁ
沙羅
みんな、ちょっと酷いんじゃない?
優樹菜
沙羅もさー、こんな奴といるよりうちらといよーよ
沙羅
い、いやよ
歌音
沙羅、もういいよ、あっち行こ
沙羅
う、うん
でも、いつの日か
沙羅もあっちのグループへ行った
歌音
もう、ほんとに笑えないよ…
歌音
死にたい…
裕翔
あっれー?歌音じゃん
歌音
あ、裕翔くん
裕翔
なんか、元気ねぇな
裕翔
話せよ
裕翔くんは、昔から私の話しを聞いてくれる
裕翔
そっか、そんな事が…
歌音
でもね、きっと全部私が悪いんだよ。
裕翔
そんな事ないよ。
裕翔の家での独り言
裕翔
なんでだよ!
裕翔
俺、アイツの笑顔見たいのに、なんも言えてねぇじゃねぇか
裕翔
俺のバカ…
次の日の放課後
優樹菜
おい、体育館倉庫行くぞ
歌音
い、嫌だよ
太一
早く来いって
歌音
い、いやっ
歌音
誰か助けて…
裕翔
おい、待てよ!
太一
あ?なんだ裕翔か
優樹菜
なんか文句あんの?
裕翔
あるとも!
裕翔
俺の大好きな歌音に手ェ出したら殺す
太一
は?お前、こんな奴の事好きなの?w
優樹菜
ウケるんですけどーw
沙羅
ふんっ、それなw
愛美
アハハハッ
裕翔
お前らふざけんなよ!
裕翔
歌音が何か悪いことしたか?
歌音
も、もういいよ…
優樹菜
っ…だって笑わないし、顔に傷もあるしキモいもん
太一
だ、だよなぁ
裕翔
は?笑わなかったらキモいのか?顔に傷があったらキモいのか?
裕翔
なんだそれ、意味わかんねぇ
裕翔
それに、沙羅は友達見捨てて一緒にいじめるとか。
裕翔
そっちの方がいじめられるくらいのクズだ!
沙羅
わ、私は仕方なくこのグループに入ったの
優樹菜
は?お前から入るって言ったんだろ
太一
ほ、ほんとそれな
裕翔
ふんっ、喧嘩してやんの
裕翔
歌音、来い
歌音
え、あ、うん
裕翔くんに、
手握られてる
なんか、熱い。
私もしかして…
裕翔
なぁ、歌音
歌音
あ、はい!
裕翔
俺さ、お前の笑顔あんま見た事ねぇんだよ
歌音
そ、そうだよね、ごめん
裕翔
謝んな、なにかあったんだろうが、
裕翔
これからは俺がお前のそばにいて、笑顔にしてやるから。
歌音
そ、それって
裕翔
俺、お前の笑顔を誰よりも近くで見たい
裕翔
付き合ってくれ。
歌音
は、はぁ、ぁぁああ
裕翔
お前、笑いながら泣いてんぞ?
歌音
嬉し泣きだよ。
裕翔
そかぁ、返事はどっちだ?
頭、撫でてくれてる…
歌音
お願いします
裕翔
歌音
歌音
はい
裕翔
大好きだ
歌音
私も
裕翔くんは優しく
ぎゅっとしてくれた
君となら、
いつまでだって笑えるよ