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法隆寺には「夢違観音」(ゆめちがいかんのん)と呼ばれる仏像がある

江戸時代に書かれた書物によると

悪い夢を見たとき,この観音像に祈るとよい夢に変えてくれるという

鈴木夢香

でも、夢を変えることにどんな意味があるのだろう?

私の名前は鈴木夢香

民俗学の研究をしている女子大生で、研究テーマは「夢」だ

今回、ネットでたまたま面白い神社を見つけた

鈴木夢香

へー、「夢」にまつわる神様をまつっているんだ

鈴木夢香

でも、そんな神様今まで聞いたことがないなぁ

鈴木夢香

これはぜひ調べに行かねば……

ただ、残念なのは

その神社のあった村は既に人が住んでいない廃村になっているということだ

これでは詳しい伝承などは知ることが出来ないだろう

鈴木夢香

でも何か資料が残っているかもしれない

私は思い切ってその神社があった場所に行ってみることにした

その場所は山奥にある小さな集落だった

かつては多くの人が住んでいたのだろう

でも今ではその面影は微塵も感じられない

廃屋となった家々があちこちに立ち並び

中には朽ち果てて倒壊してしまっているものもあった

鈴木夢香

こっちかなぁ

私はスマホの地図アプリを開きながら、神社があったはずの場所を目指した

しかし、どういうわけか目的地が見つからない

どうも人がいなくなり神社があったあたりは森深くに飲まれてしまったらしい

仕方なく、私は昼なお薄暗い森に入ろうとした

と、そのとき――

老人

そこで何をしているんですか?

振り返ると、そこには1人の老人がいた

この廃村のかつての住民なのだろうか?

鈴木夢香

あっ、えっと

鈴木夢香

神社があった場所を見たいのですが

鈴木夢香

道に迷ってしまったようで……

老人

ああ、神社ですか?

老人

それなら……森に入ってすぐですよ

老人

ちょうどよかった

老人

神社についたら、このろうそくを灯すのが決まりです

老人

もっていきなさい

鈴木夢香

ありがとうございます

そう言うと老人はろうそくを1本手渡してくれた

それは手作りらしく、形はでこぼこしていて、緑色だった

私はお礼を言い、さっそく森に入って行った

やはり昼間でも暗い森の中は不気味だった

時折聞こえる鳥のさえずりも、 まるで得体の知れない化け物の鳴き声のようだった

そんな恐怖に耐えながらしばらく歩いていると、急に視界が開けた

そこには朽ち果てた神社の跡らしきものがあった

残念ながら既にボロボロになっており、資料なども残っていなかった

とりあえず、境内の隅の石にろうそくを灯し、神前に備えることにした

ろうそくに火をつけたとき、かなり独特な臭いがした

鈴木夢香

これでよしっと

神社は残っていなかったが、ろうそくを備える風習があったことは聞けた

やや物足りないが、収穫はあったというべきだろう

鈴木夢香

あっ、しまった

鈴木夢香

あのおじいさんからもっと話を聞けばよかった!

神社に気を取られてうっかりしていた

鈴木夢香

しまったなぁ……

そんなことを考えていたら、急に眩暈がした

立ちくらみのように、目の前が真っ暗になったのだ

それは一瞬のことだと思ったが

同時に長い間目を閉じていたような、不思議な感覚だった

鈴木夢香

もしかしてあのろうそくの煙

鈴木夢香

あんまり吸い込まない方がいい成分でも入っていたのかな?

そんなことを考えていると

ふと森の奥から何かが近づいているのに気付いた

鈴木夢香

えっ

鈴木夢香

あれは何……?

それは、毒々しい色をした触手だった!

鈴木夢香

何なのあれ?

鈴木夢香

逃げなきゃ……

そう言っているうちにも触手はどんどん近づいて来て

私を捕らえようと襲いかかってきた!

鈴木夢香

きゃああ!!

鈴木夢香

誰か助けて!

鈴木夢香

お願い!!

私は大声で叫んだが、誰も助けには来なかった

触手はさらに迫ってくる

私は足がもつれ、転んでしまった

触手が私に絡みついてくる!

鈴木夢香

いやっ!

私は必死で触手を振りほどこうとする

上着やスカートがひっぱられ破れたが、その分隙が出来た

私は下着姿になりながらも、必死で逃げようとする

だが、今度は触手が私の足に絡みつき始めた!

鈴木夢香

嫌っ!

鈴木夢香

やめて!

私は半狂乱になりながら叫んだ

しかし触手は容赦なくスカートを破き始めた

さらに下着も引きちぎり、私を捕らえようとした

私は必死に抵抗し、どうにか逃れることができた

もう一度捕まったらもう逃げられない!

そう思い、裸のまま森の中を必死で走った

すると、突然視界が開けた

どうやら森の外に出ることができたようだ

鈴木夢香

良かった……

私はほっと一息ついた

だが、まだ安心はできない

あの触手がおいかけてくるかもしれないのだ

だ、後ろをふり返ってみたが、触手の姿は見えなかった

追いかけるのを諦めたのだろうか?

そんなことを考えていたとき

おじさん

あんれまぁ、なんてかっこうをしてるんだい?

突然後ろから声をかけられた

鈴木夢香

こ、これは、その……

この村の住人なのだろうか?

ここはとっくに廃村になっているはずなのに……

おじさん

そんなかっこう、子ども達が見たらびっくりするべ

私は恥ずかしくなって、慌てて体を隠した

鈴木夢香

じ、実は、森で迷ってしまって

鈴木夢香

そしたらあの触手に襲われて……

おじさん

触手?

おじさん

そんなもん、いねぇべや

鈴木夢香

え?

そんなはずはない

でも確かに、触手は跡形もなく消えてしまった

まるで、最初からいなかったかのように……

おじさん

夢でも見たんじゃないか?

鈴木夢香

そんなっ!

触手が迫ってくるあの感じ、あれが夢だとはとても思えない

それにあれが夢だとしたら、私が服を着ていないことをどう説明するのだ

鈴木夢香

だけど……

そういえば私は神社でろうそくをつけた後、めまいを感じた

そしてその後触手に襲われた

もしかしたらあのとき私は眠ってしまったのでは……

いや、それだと今も夢の中ということになる

鈴木夢香

そんなはずはない

私は確かにここに存在している

私は女子大生で、大学では民俗学を研究し

今日は珍しい神社をネットで見つけてここに調査に来たのだ

鈴木夢香

あれ?

鈴木夢香

でも私、ここまでどうやってきたんだっけ?

鈴木夢香

車?

鈴木夢香

いや、そもそも私

鈴木夢香

免許もってたっけ?

運転手

もしもし

鈴木夢香

は、はい!

突然声をかけられ、私は我に返った

顔を上げるとそこにはバスの運転手さんが立っていた

運転手

終点です

運転手

降りないのですか?

鈴木夢香

ああっ

鈴木夢香

すいません!

いつの間にかバスの中で眠ってしまったようだ

なんだか悪い夢を見ていた気がするけれど、内容を思い出せない……

ええっと、私の名前は鈴木夢香

民俗学の研究をしている女子大生で、研究テーマは「夢」だ

今回、ネットでたまたま面白い神社を見つけた

なんでも「夢」にまつわる神様を祭っているらしい

今日はその調査のためここまで来たのだ

……でも、なんだかこの光景、前にも見たことがあるような気がする

鈴木夢香

そんなわけないか

鈴木夢香

これがきっとデシャブというやつね

鈴木夢香

さて、神社はどこだろう?

鈴木夢香

神社があった村はずっと昔に廃村になったというし

鈴木夢香

自分で見つけないとね……

終り

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