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ユウカ

…バイバイ、私

私は微かな浮遊感の中、澄んだ青空に手を振った。

こうなった主な理由は、やはり…

女子高生1

ねーねー、なんか面白い事言ってよぉ。

ユウカ

えっ…

女子高生2

ほーら、早くー!

女子高生3

またいつものやっちゃうよーw

ユウカ

うう…

ユウカ

布団が吹っ飛んだ…

女子高生1

…は?なにそれ。

女子高生2

全然面白くなーい。

ユウカ

(こいつら、私がこういうの苦手だって知ってて…)

女子高生3

はーい、じゃあいつものねー。

女子高生1

おりゃっ!

ザバーン!!

女子高生2

ほーら!弟が集めた蝉の抜け殻だよー!

ザッ!!

女子高生3

ギャハハハ!きったなーい!

私はバケツいっぱいの水と蝉の抜け殻をかけられた。

ユウカ

(うう、寒い…気持ち悪い…)

女子高生1

ま、その姿の方がアンタにはお似合いかなw

女子高生2

あはは!わかるぅー!

女子高生3

じゃ、こんな奴のことはほっといて帰ろ〜。

女子高生1

はーい。

女子高生2

はは!あんたいつまでそこに突っ立ってんのよ!風邪ひいちゃうよ〜w

ユウカ

ただ、こんな私にも友達がいた。

リン

大丈夫?ユウカ。

ユウカ

うん…何とか。

リン

ユウカ、あんな奴らの事は構わないで、自分の夢のこと考えな!

ユウカ

そ、そうだね…。

私には医者になるという夢があった。

幼いころ、私の病気を治してくれた事がきっかけで、私も病気で苦しむ人達を助けたいと思ったのだ。

リン

頑張って!私、応援してるから!

ユウカ

ありがとう…!

リンは私にとって、心の支えだった。

ある日、リンが妙な事を言い出した。

リン

…ねぇ、ユウカ。

リン

タイムマシンって、信じる?

ユウカ

え?急に何言いだすの、リン。

ユウカ

そんなもの、あるわけないじゃない。

リン

そう、だよね。

リン

そうなんだけど、もしあったとして、自分の未来が分かったとする。

リン

それで、自分の未来が良くないものだったら、それを受け入れる?

ユウカ

本当にどうしちゃったのリン…。

リン

もしもの話だから。

ユウカ

うーん。もし、そんな事があったら…

ユウカ

私は、受け入れるかな。

リン

どうして?

ユウカ

自分の未来って、本当は分からないものでしょ?

ユウカ

それで、もし知っちゃったとして、それが良くないものだったとしても…

ユウカ

それが私の運命だって、受け入れる。

リン

そっか…。

リン

ありがとう。こんなどうでもいい話に付き合ってくれて。

ユウカ

ううん、全然大丈夫!

この時は、ただの「もしもの話」で終わると思っていた。

リン

(バイバイ、ユウカ。)

リン

(…ごめんね。)

次の日、珍しくリンが学校に来なかった。

ユウカ

(どうしたんだろう、リン…)

すると、先生が険しい表情で教室に入って来た。

先生

おはようございます。

生徒たち

おはようございまーす。

先生

今日は、皆さんに、悲しいお知らせがあります。

先生

今朝、高橋リンさんが、通学途中に車にはねられて亡くなりました。

一瞬、心臓が止まったかのような感覚を覚えた。

ユウカ

えっ…!

ザワザワ…

教室内からは、「マジ?」や「かわいそー」などの声が聞こえた。

ユウカ

(そんな…)

ユウカ

(リン、どうして…)

ユウカ

(私、リンがいないとやっていけない…)

その日の放課後、またあの3人組がやって来た。

女子高生1

今日もブッサイクな顔してるねー

女子高生2

あんたの親友ちゃんが死んじゃったみたいだねー。

女子高生3

涙でひどい顔になってるよw

女子高生1

リンちゃんが死んで、もう助けてくれる人は誰もいないよぉ?

女子高生2

これからどーするのかなー??

女子高生3

死んじゃう?アンタも後を追って死んじゃう??

女子高生1

はは、さっさと死ねよ!!

ドカッ!

ユウカ

ぐっ…!

腹に強い蹴りをくらう。

女子高生2

ほーらほーら、辛いよねー?

一発、もう一発。

女子高生3

しーんーじゃーえーw

鈍い痛みが続く。

ユウカ

ううっ、うっ…。

私は涙と痛みに耐えるので必死だった。

気がつくと女子たちはいなくなっていた。

ユウカ

ううっ、うわあああー!!

私は声をあげて泣いた。

ユウカ

うっ、うう…

ユウカ

(もう、嫌だ、こんな世界…。)

ユウカ

(生きている意味なんて、もう無い。)

私はゆっくりと立ち上がり、ある場所へ向かった。

辿り着いたのは屋上だった。

ユウカ

(もう、いいや。)

何もかもがどうでもよくなった。

ユウカ

夢も…何もかも。

ゆっくりとフェンスをまたぐ。

風が優しく私の頬を撫でる。

ユウカ

…バイバイ、私。

微かな浮遊感の中、澄んだ青空に手を振った。

瞬間、その手が誰かに掴まれる感覚が伝わる。

ユウカ

…え?

私は自分の目を疑った。

私の手を掴んでいたのは…

ユウカ

リン…?

リン

はあ、はあ、間に合ってよかった。

ユウカ

あなた、死んだんじゃ…

リン

今は細かいことはいいの!

リン

ほら、ユウカ!私の手に掴まって!!

私はもう片方の手でリンの腕を掴んだ。

リン

よし!いくよ!せーのっ!!

リン

んーー!!

リンは力一杯に私を引き上げた。

リン

はあ、はあ、はあ…

ユウカ

あなた、何でここに…

リン

…ユウカ、今から私が言うこと、ちゃんと聞いて。

リン

そして、信じて。

リンは真剣な表情で私を見つめた。

ユウカ

…うん。分かった。

リン

ユウカ、私はね…

リン

「過去」から来たの。

ユウカ

か、こ…?

ユウカ

え、じゃあ、あのタイムマシンの話…

リン

うん。本当。

リン

私はあの話をする少し前に、知らない男の人からタイムマシンをもらったの。

リンはそう言うと、胸ポケットから時計のようなものを取り出した。

ユウカ

それは…?

リン

これはタイムマシン、のようなもの。

リン

これを使うと過去と未来を行き来できる。

にわかには信じがたい話だった。

だが…

リン

こんなの、信じられないよね…。でも…

ユウカ

ううん。信じる。

ユウカ

リン、あなたは確かに今日死んだ。

ユウカ

だけど、今、目の前にいる。

ユウカ

それが一番の証拠。

リン

ユウカ…!

ユウカ

で、もっと話して。

リン

うん。

私が学校に行く途中、知らない男の人に出会った。

謎の男

君、ちょっといい?

謎の男

これ、あげるよ。

リン

はい?

男は懐中時計のようなものを手渡した。

リン

これは…?

謎の男

うーん、今の言葉で言うと、タイムマシンってところかな。

リン

タイムマシン…?

謎の男

そ。

謎の男

針を時計回りに回すと未来へ、反時計回りに回すと過去に行けるよ。

謎の男

数学の単位は「日」で、最大11日まで行き来できるよ。

謎の男

例えば、針を時計回りに3のところまで回すと、3日後の同じ時間帯にワープするってこと。

謎の男

じゃ、後はよろしく。

男は立ち去ろうとした。

リン

ちょ、ちょっと待って。

リン

何で私に…?

謎の男

んー、いらないなって思った時に君が通りかかったのと…

謎の男

君はこれを使って、何かやるべきことがあるんじゃないかと思ったんだ。

リン

やるべきこと…?

謎の男

うん。

謎の男

僕の勘、結構当たるんだ。

謎の男

じゃ、そういうことで。

リン

あっ…

男は消えるように立ち去った。

リン

変な人…

リン

どうせ嘘だろうけど…

リン

でも…ちょっと試してみようかな。

私は軽い気持ちで針を時計回りに1のところまで回した。

すると…

リン

うわっ!

辺りが眩い光に包まれた。

リン

…収まった?

周りを見回してみる。

リン

…なんだ。何も変わってないじゃん。

はぁ、とため息を吐いて、学校に向かおうと向きを変えた時…

リン

…え?

1人の少女が目に入った。

リン

え、あれって…

リン

…私?

少女は私と同じ顔をしていた。

リン

でも、私にそっくりなだけかもしれないし…

呆然と少女を見つめていると、少女の方に暴走したトラックが向かっていくのが見えた。

リン

あ、ちょっ、危な…

ドオン!!!

リン

あ…ああ…

おそらく少女はビルとトラックの間に挟まれているのだろうと、今となっては思う。

ただ、当時の私は、辺りに飛び散ったくすんだ赤色の液体を見つめながら、放心状態に陥っていた。

そして、気が付いた時には辺りが眩い光に包まれていた。

リン

…と、いうわけなの。

ユウカ

そんなことが…

ユウカ

でも、何で私がここにいるって分かったの?

リン

…もし

リン

もし、あれが本当に私の未来だとしたら、きっとユウカは悲しんでいる、もしかしたら最悪の事態になっているんじゃ無いかと思ったの。

リン

…最初は、あんなの嘘だと思った。

リン

夢か、幻だと思った。

リン

…でも、本当に私は死んじゃったんだね。

ユウカ

うん…

リン

…あっ!

突然、リンの体が輝き始めた。

リン

…ごめん。

リン

もう、時間みたい。

リン

お別れだね。

ユウカ

えっ!

ユウカ

何で!?未来が分かっているなら、未来を変えればいいじゃない!

ユウカ

その日に、いつもと違う道を通ればいいじゃない!

ユウカ

なのに、何で…?

リン

ユウカ、あなた自分が言ったこと忘れたの?

リン

「たとえ良くない未来でも、私はそれを受け入れる」って…。

ユウカ

そんな…!

ユウカ

じゃあ、私のせいなの…?

リン

ううん、違う。

リン

理由はそれだけじゃないわ。

ユウカ

じゃあ、なに…?

リン

たとえ未来を変えたとしても、運命は変えられない。

リン

あの日、もし私が生きれたとしても、また「死ぬ」という運命が待っている。

リン

だから…

ユウカ

ユウカ

うう…そんなの、そんなの嫌だよ…

リン

ユウカ、負けないで。

リン

命を大事に。夢を諦めないで。

ユウカ

私…リンがいないと…

ユウカ

ううっぐすっ…

リン

ユウカ、聞いて。

ユウカ

ううっ…ううー…

リン

ユウk

ユウカ

うえーん!!ええーん!

リン

聞け!!!!!

ユウカ

!?

リン

もう!そんなんだからアイツらに負けるんだよ!

リン

弱さを見せるな!気を強く持て!

ユウカ

!!

リン

で、立派な医者になれ!!

リン

…じゃないと私、私…

リン

…安心して逝けないよ…。

ユウカ

リン…

リン

お願い…死なないで…。

ユウカ

…分かった。

ユウカ

私、生きるよ!

リン

ユウカ…!!

リン

ありがとう…!

リンを包む光が一層強くなる。

リン

実は…もう、光のせいでユウカがほとんど見えないんだ…。

ユウカ

リン、ありがとう。

ユウカ

私、リンの友達で良かった。

リン

…私も。

ユウカ

リン…!

リン

…じゃあね。

リン

元気で。

リン

つらくてたまらなくなったら、楽しい事を考えるの。

リン

そうすれば…大丈夫だから。

リン

きっと。

ユウカ

うん!そうする。

ユウカ

…あっ!

リンが直視できないほどの光に包まれる。

リン

さよなら。

リン

ありがとう、ユウカ。

リンは最期に微笑んだ…ような気がした。

それから数年後…

ユウカ!

大学卒業おめでとう!

ユウカ

ありがとう!

私は大学を卒業し、医師免許を取得した。

立派な医者になるのよ。

ユウカなら大丈夫!

ユウカ

うん!私、たくさんの人の命を救えるように頑張る!

ここまでこれたのもリンのおかげだ。

ユウカ

(ありがとう、リン。)

ユウカ

(私、医者になれたよ。)

…ある日の事である。

謎の男

ちょっと、君!

ユウカ

はい?

謎の男

これ、あげるよ。

ユウカ

これは…?

謎の男

うーん、今の言葉で言うなら、「タイムマシン」ってところかな…

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