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俺と翠がよく訪れる喫茶店は
暗譜駅から徒歩三分のところに位置している
ほぼ毎週通っているこの店は
俺達の部屋だと紹介しても過言ではないだろう
薄暗い店内には小洒落たジャズが流れ
珈琲豆の深い香りがアロマのように漂っている
そして
閑古鳥が常に鳴いている素敵な場所である
翠
翠
翠
翠
紫
紫
紫
注文を気怠げに聞き終えたマスターは
小さな声で
マスター
と言い残し厨房へ去っていく
桃はマスターがいなくなったのを確認してから
重々しく口を開いた
桃
桃
紫
紫
俺と桃がうんうん悩んでいると
翠が
翠
と前置きして注目を集める
翠
翠
翠
翠
翠
なるほど
確かにそうかもしれない
俺は期待を乗せて桃を見る
桃が
桃
と呟きつつ
店内に飾られた写真の数々を見やる
額縁に固定された京都の町並みは
いずれもマスターが撮影したものらしい
桃はそれらをたっぷりと眺めてから
伸ばした指を一本ずつ折り曲げていく
桃
桃
桃
紫
紫
桃
桃
桃が心底呆れたように目を瞑る
翠
翠
と
翠が提案する
紫
紫
紫
桃
桃
紫
紫