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俺は壁に掛かった時計を眺める
これだけ余裕があれば
追加でアイスクリームを注文しても間に合うだろう
そう考えていると
言いづらそうに桃が口を開いた
桃
桃
桃
紫
紫
桃
桃
桃
桃
強烈な言葉のアッパーカットが直撃する
確かに
俺の前に現れた桃は異常事態の真っ只中で
人見知りをしている場合じゃないと言っていた
だが
ドッペルゲンガーは違う
平常時の桃を模しているとすれば
俺達など異分子でしかない
手厳しい現実に
俺と翠はうなだれた
それはもう
でろんでろんに
テーブルに頭を擦りつけてクネクネとしていると
髭面のマスターが2つの皿を運んでくる
マスター
マスター
紫
マスター
マスターは言葉を吐き捨てながら
のしのしと厨房に戻っていく
まったく
素直じゃない人だ
俺と翠は口角を吊り上げながら
料理と一緒に運ばれてきたアイス珈琲に口をつけた
食後に出してほしいと伝えたはずだが
なんなんだ
あのヒゲ
俺はぷりぷりと怒りながら
明太子パスタをすする
出汁が絡んだアルデンテの麺と
ぴりりと辛い明太子が舌先でがっつりと絡み合う
変わらぬ美味しさに俺はすぐさま期限を取り戻すが
翠は真剣な表情を浮かべていた
紫
紫
翠
翠
翠
翠
翠
その疑問は
俺にとって盲点だった
桃が恨みを抱いているから復讐劇に協力する
その程度の認識だったので
ドッペルゲンガーの思惑については想像を広げていない
翠の問いかけを受け
桃は口をすぼめながら仮説を切り出した
桃
桃