テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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YOLO!!

第5話 - すらごつ

375

2025年02月19日

#冬彰

#司類

あかまる🍓🐾໊

絵名

えっ、私と同い歳くらいの女の子？

彰人

おう。多分オレと同い歳だと思う。

彰人

大人になったら上京するから、都会について色々教えて欲しいんだとさ。

絵名

ここ若い女の子いたんだ！全然いいよって言っといて。

彰人

了解。

絵名

学校はどうだったの？楽しかった？

彰人

まぁまぁ。

絵名

へー、楽しかったんだ。良かったじゃん。

彰人

お前こそどうだったんだよ。通信制にしたんだろ？

絵名

そう。また3月に集まらなきゃいけないのが面倒くさいけど。

絵名

課題とレポート出すだけで単位は取れるから、通信制にして良かったかも。絵も描けるし。

彰人

絵…

彰人

(…親父がああなったのに、まだ描くのか、)

蔵

彰人

なんで、ウチの姉貴はいつでもいいらしいです。

司

分かった！伝えとこう！

類

ばってん、こん蔵は広かね。あとどんくらいかな。

冬弥

やっと残り3分の1…というところでしょうか。

彰人

広い上に物多すぎるからな…

司

残りも気張るぞ！

彰人

…なんだこれ

冬弥

何か見つけたか？

彰人

なんか古めの地図みたいなの見つけた…

類

地図？

司

宝ん地図か？！

彰人

死体埋めた場所だったりして

司

えずかこと言いなすな！

冬弥

この形と位置的に…あの山だな。

彰人

へぇ…ワンチャン埋蔵金とかねぇかな？

類

可能性はあるね。こんお家は富豪やったし。

彰人

え、富豪だったんすか？

冬弥

ああ。地主に次ぐお金持ちだった。

彰人

マジか。じゃあ埋蔵金ありそう。

司

今度ん休日探しぎゃ行くか？

彰人

行きたいですけど、いいんですか？そんな事まで手伝わせても。

類

頼らるるとは嬉しかけんね。それに、1人で山に入るとは危険ばい。

冬弥

あぁ…罠とかたくさん仕掛けてありますもんね。動物もたくさんいるし。

彰人

わ、罠？？？

冬弥

動物に仕掛ける罠だがな。あちこちに隠されているから、1人で入るのは危ない。

彰人

た、たしかに…

司

じゃあ、今度ん休日に探しぎゃ行くか！

休日山

彰人

あ、メダカとエビいるじゃん

類

本当や。むぞらしかねぇ

彰人

天ぷら食いてぇな…

冬弥

揚げ物なら、類先輩のお母さんが得意だぞ。

類

ふふ、今度食べぎゃ来るかい？

彰人

いいんですか？ぜひ！

司

あ、彰人！そこ踏んじゃいかんぞ！

彰人

えっ、どこ？？！

冬弥

あぁ、この石のところだ。罠では無いが、多分この石は踏んだら崩れるな。

彰人

あっっぶな

類

森は恐るるべき場所やけんねぇ

司

他にも危険な場所はたくさんあるけん、慎重にな！

類

ご…「五目並べ」

司

「紅しょうが」！

彰人

2人ともチョイス渋くないですか？

類

そぎゃん事なかばい。

彰人

が…「ガムシロップ」

冬弥

…「プラネタリウム」

類

流星群よかねぇ

司

今度星見ぎゃ行くか

彰人

星か…ここからなら、綺麗に見えそうですね。

アオーーン

彰人

？！？

突如聞こえた狼であろう遠吠えに驚き、足を踏み外した。

グラッ

冬弥

彰人！

踏み外してよろけた体は冬弥によって支えられ、なんとか体制を維持出来た。

彰人

あっぶね…

冬弥

大丈夫か？怪我は？

彰人

大丈夫、ありがとな。

類

彰人くん、大丈夫？どぎゃんしたと？

彰人

いや、ちょっと…立ちくらみが。

司

何？！今日はもう帰るか？

彰人

いや、大丈夫です。もう治りましたし。

彰人

それより…さっきの鳴き声って狼ですか？

類

あぁ、そうやろうね。

彰人

(この山、狼いるのかよ…)

実を言うと、オレは犬が苦手だ。

もちろん、狼も例外じゃない。

彰人

(遭遇したら嫌だな…)

冬弥

大丈夫だ、彰人。彰人のことは俺が守るから。

彰人

え？

冬弥

俺の何に変えても、絶対に彰人のことを守る。

彰人

お、お前さぁ…

彰人

(よくもそんな恥ずかしいことを真正面から…)

彰人

まぁ…でも、ありがとな。気持ちは嬉しい。

彰人

けど、「何に変えても」は言い過ぎだろ。

冬弥

いいや、そのくらいの覚悟だ。

彰人

…そうかよ。

彰人

(本当にコイツは素直過ぎるというか…ド直球だな。この天然め…)

司

…すまん。そろそろよかか？

彰人

？！

類

こら、邪魔したらいかんばい。

司

ずっとこぎゃん感じやと日が暮れて危なかろう。

彰人

す、すみません！行きましょ！

彰人

(2人もいるの完全忘れてた…恥っず、)

冬弥

彰人、歩けるか？この辺りは足場が不安定だから気を付けた方がいい。

彰人

おう、大丈夫。ありがとう。

司

ふむ…こん辺りか？

類

掘ってみようか。

ガツンッ

彰人

！

司

なんか出てきたったい！

冬弥

これは……缶？

類

お菓子ん空き箱っぽかねぇ

彰人

なんか最近のっぽいですね。埋蔵金じゃ無さそう。

司

さしより掘り起こすぞ。

出てきたのは錆びた銀色の、ちょっと高い煎餅とかが入ってそうな缶だった。

彰人

じゃあ…開けるぞ。

冬弥

ああ。

パカッ

彰人

……ん？

中に入っていたのは、二通の便箋のようなものだった。

彰人

なんだこれ、手紙…？

冬弥

……あっ

彰人

ん？どうした？

冬弥

思い出した。それ…俺たちの書いた手紙だ。

彰人

え？

彰人

………あっ、タイムカプセル？！

冬弥

ああ！すっかり忘れていたが…

司

タイムカプセル？

彰人

はい。たしか…小3くらいの時に、オレの小学校でタイムカプセルが流行ってて。

彰人

その年の夏に、冬弥とやってみようってなったんです。

類

へぇ、よかねぇ〜

冬弥

あぁ、思い出した。この地図…俺が書いたんだ。

彰人

あー！雰囲気出すために、ちょっと古めの紙に筆で書いたよな！

冬弥

あぁ。それで、その時彰人が床に墨汁を零して、2人で必死に隠蔽したな。

彰人

結局バレて、お前の婆ちゃんにすげぇ怒られたけどな。

冬弥

あの時の祖母は怖かったな…

司

じゃあ、こん手紙は昔ん2人が書いたもんなんか？

彰人

はい。たしか…互いに向けて書いたんじゃなかったっけ？

冬弥

ああ。俺が未来の彰人に、彰人が未来の俺に書いたはずだ。

彰人

……オレ、何て書いたっけ、

冬弥

流石に俺も覚えてないな…

彰人

(小3だろ…？流石にそこまで馬鹿なことは書いてないはず…)

彰人

…変なこと書いてたら嫌だし、一応先に確認してもいいか？

冬弥

えっ

彰人

ほら、昔のオレって馬鹿だし、変なこと書いてるかもしれないじゃん。

類

気持ちは分かるばってん、互いに向けて書いたんやろう？

類

そんなら、変な事なんて書いとらんさ。大丈夫ばい。

彰人

そ、それもそうですけど…

冬弥

彰人が俺に書いてくれたものなんだ。どんな内容だったとしても、全部受け止めたい。

冬弥

…読んじゃ駄目だろうか？

彰人

(まぁ、冬弥は何書いてても揶揄うとかはしてこないだろうしな、)

彰人

…分かったよ。

彰人

じゃあ読むぞ…

冬弥

ああ。

「彰人へ」

「まずは、これを読んでくれてありがとうございます。聞きたいことと、言いたいことがたくさんあります。いつも俺の事を助けてくれて、守ってくれてありがとう。俺も、彰人みたいなかっこいい人になりたいです。未来の俺は、彰人を助けて、守れるくらいかっこよくなっていますか？もしかしたら、離れ離れになっているかもしれないけど、俺はずっと彰人のことが大好きです。未来の彰人が、いつも笑顔で過ごせていますように。青柳冬弥より」

彰人

…

類

どうやった？

彰人

泣きそう(色んな意味で)

冬弥

な、何か嫌なことが書いてあったのか？！

彰人

いや、違う違う。その逆。

彰人

冬弥がいい子過ぎて泣きそう……すげぇ可愛い…

冬弥

か、可愛い…？！何て書いてあったんだ？！

彰人

それは…言わない。

冬弥

な…か、可愛いは褒め言葉じゃないぞ…！

彰人

いや、マジで可愛いんだって！

冬弥

…それを言うなら、彰人の方が物凄く可愛いことを書いていたぞ。

彰人

は？？！何て？！

冬弥

それは言わない。

彰人

あっ、おいとーや！！

類

ふふっ、仲がよかねぇ

司

あぁ、見つかって良かったな！

帰り道山

彰人

埋蔵金じゃ無かったですね。

司

よかじゃなかか。思い出はお金より価値んあるもんやぞ。

類

そうやなあ。それに、2人とも楽しそうやったし。

彰人

まぁ…たしかに、楽しかったです。

冬弥

ああ。昔の彰人に会えて、楽しかった。

彰人

昔のオレねぇ…

司

どぎゃん感じやったんや？

冬弥

今とあまり変わってないです。明るくて、優しくて、いつも俺を引っ張ってくれる。頼もしい人でした。

彰人

ちょっと良く言い過ぎじゃね？

冬弥

そんな事ない。彰人はいつも太陽みたいな人だった。

彰人

太陽はやめろ。恥ずい。

類

ふふっ、よかねぇ〜

司

あぁ、微笑ましかね。

数日後

彰人

あ、冬弥おはよ〜

冬弥

おはよう。

彰人

お前、こんな朝早くから畑やってんの？

冬弥

ああ。彰人こそ、こんな早朝からランニングか？

彰人

まぁ、日課だからな。

冬弥

相変わらずストイックだな。

司

あ…彰人、冬弥！おはよう。

彰人

あ、センパイ。おはようございます。

冬弥

おはようございます。

司

…そうや。今日、咲希と彰人のお姉さんが会う約束ばしていたやろう？

彰人

あぁ、そういえばしてましたね。

司

実は昨日から、咲希ん体調が少し優れんでな。

彰人

えっ、大丈夫なんですか？！

司

安静にしとりゃ大丈夫や。ばってん、今日は申し訳なかが会えそうに無かと伝えてくるるか？

彰人

分かりました、伝えておきます。

司

あぁ…ほんなこつすまんな。

彰人

いやいや、咲希さんの体調の方が最優先ですから。

彰人

姉貴には伝えておくので、咲希さんは安静にって伝えて下さい。

司

…あぁ、ありがとう。

彰人

…司センパイ、ちょっと元気なかったな。

冬弥

…そうだな。

彰人

まぁ、妹さんが体調崩してんなら…そりゃ、心配にもなるか。

彰人

じゃ、一旦帰って絵名に伝えてくるわ。

冬弥

あ…彰人！その、このあと…家に来ないか？

彰人

え？お前ん家？

冬弥

ああ。今日は休日だし、たまには外じゃなくて、のんびり家で過ごすのもいいと思って。

彰人

あー、たしかに。分かった。

彰人

じゃあ、帰ったらお前ん家行くわ。

冬弥

ああ、待ってる。

司の家

咲希

ふんふんふふ〜ん♪

類

ご機嫌やねぇ

咲希

えへへっ、絵名さんに会ゆる日なんや！

咲希

都会んこといっぱい教えてもらうったい〜♪

類

ふふっ、そうかい。

司

……咲希、

咲希

あっ、お兄ちゃん！どぎゃんしたと？

司

絵名さんが今日、急用が出来たそうで、会えんみたいなんや。

咲希

え、ええぇぇぇっ？！？

司

さっきそこで彰人に会うてな。

咲希

そ、そんなぁ……！！

咲希

急用なんなしょんなかばってん…楽しみにしとったばってんなぁ…

司

……ほんなこつ、すまんなぁ…

咲希

お兄ちゃんが謝ることじゃなかばい！

咲希

…今日はしょんなかばい。

類

…

類

そんなら、今日は釣りでもしぎゃ行くかい？

咲希

えっ、ほんなこつね？！行きたか！

司

類…

咲希

今から？今から行く？

類

いつでんよかばい。

咲希

今から行きたか！準備してくるね！

類

焦らんちゃよかよ〜

司

……類、すまん。

類

よかばい。司くんの気持ちは分かっとるけん。

司

…オレは最低や、

司

きっと…咲希に嫌われてしまうやろうな…

類

そうかもなぁ

類

ばってん、僕は君ん味方やけんね。

司

…ありがとう、類。

YOLO!!

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彰人と冬弥がふたりで互いに見せないようにタイムカプセル書いてたと思うとめちゃくちゃ尊い…なにその微笑ましい光景🤦 司、咲希と絵名を合わせないようにしてたみたいだけど…何かあったんだろうか。一つ思ったのは、咲希が都会へ出ていくのが嫌なのかな…なんていう。咲希のことが心配っていう気持ちもあるだろうし、何せ咲希が大好きな司だから、離れていってほしくないって思うのはしかたないよね