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カワノベさん

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カワノベさん

9 - 第9話 能力者が2人

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2025年04月22日

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戸井 海乃

(待たせる訳にはいきません。)

戸井 海乃

(待っていてくれているのなら、急がなければ。)

戸井 海乃

(こちらの方が早道のはず。
こっちを使って行けば教室にすぐ着く。)

『私は戸井会長と連絡先を交換したいなと思って。』

戸井 海乃

(私と連絡先を交換したいと思う人など初めて見ました。)

戸井 海乃

(ですが……)

戸井 海乃

(……悪い方ではないみたいですね。)

ドシン──!

その瞬間、校舎の壁が音を立てて崩れ、廊下を塞いだ。 海乃は避けて助かったが、先が通れなくなってしまった。

戸井 海乃

なっ……!?

戸井 海乃

(……仕方ない、引き返すしか──)

死霊

……ア”ァ”。

死霊

ア”ア”ァ”ァ”……。

戸井 海乃

……は?

戸井 海乃

誰ですか?

戸井 海乃

私、そこを通りたいんです。
申し訳ないですが退いてください。

死霊

ア”ァ”? ア”ァ”……。

死霊

ア”ー、ア”ア”ア”。

戸井 海乃

聞いていますか?

戸井 海乃

ですから、早くそこを退いてください。

海乃が不気味に蠢いている死霊に声をかけるが、 死霊は声を出すだけでそこを退こうとはしなかった。

そして、死霊は海乃に突進するようにして海乃を攻撃した。 勿論、海乃は能力を持っておらず死霊についても知らない。

ドォォォン──!

戸井 海乃

いっ……!

戸井 海乃

(一体何をしたいんですかこの人は!)

戸井 海乃

……人?

戸井 海乃

(人には見えない……)

戸井 海乃

(それじゃあ……)

戸井 海乃

……あなた、一体何者なんですか?

死霊

ア”ア”ァ”。

死霊は先程と同じ様に不気味に蠢いているだけで、 海乃の問いかけに答えようともしなかった。

それどころか、再び海乃に攻撃を仕掛けたのだ。 しかし、海乃は2度目の攻撃は避けた。

戸井 海乃

……。

戸井 海乃

私は用事があるんです。

戸井 海乃

分かったのなら早く退いてくれませんか?

戸井 海乃

……。

海乃は静止して何かを考え始めた。

戸井 海乃

申し訳ないですが──

遠木 凛華

──戸井会長!

遠木 凛華

避けて!

戸井 海乃

え……?

突然廊下に現れた凛華がそう叫び、 海乃は反射的に頭を伏せた。

すると──

死霊

ア”ア”ァ”ァ”ア”ア”ァ”──!

死霊が崩れた壁に──言うならば、 海乃が先程まで立っていた位置に突っ込んだ。

死霊は崩れた壁にめり込んで動けなくなっている様だった。 体をばたつかせて必死に出ようとしている。

戸井 海乃

これは……?

遠木 凛華

ハァ、ハァ、ハァ……。

遠木 凛華

戸井会長、大丈夫?
怪我は無い?

戸井 海乃

平気です。怪我はありません。

戸井 海乃

……これは一体?

遠木 凛華

死霊。

遠木 凛華

前に私も似たようなものを見たから分かる。
これが死霊なんだよ。

戸井 海乃

そうですか……。

戸井 海乃

ですが、何故突然私にも見えるようになったのでしょうか?

遠木 凛華

それは分からないけど……。

遠木 凛華

とにかく、これなら会長も能力が使えるんじゃないかな?

戸井 海乃

能力?

戸井 海乃

そんなものがあるんですか?

遠木 凛華

うん。そうだよ。

遠木 凛華

ある人が言うには、その能力は覚醒するものらしいんだけど……。

凛華がそう説明していると、 突然辺りが光の様なものに包まれはじめた。

その光が消えると、海乃の目の前に1冊の本が現れた。 更に──

遠木 凛華

……え、私にも?

凛華の目の前には銃が現れていたのだ。 ──そう、凛華にも能力が目覚めたということだ。

戸井 海乃

目覚めていなかったんですか?

遠木 凛華

うん、そうなんだよね……。

遠木 凛華

私には才能がないから能力が目覚めないんだと思ってたんだけど……。

遠木 凛華

まさか、こんなところで目覚めるなんて。

戸井 海乃

……では、まずは共に死霊を倒しましょう。

遠木 凛華

共に……

遠木 凛華

っていうことは……
一緒に、ってことだよね?

戸井 海乃

はい。

戸井 海乃

何かおかしなことを言ってしまいましたか……?

遠木 凛華

……いいや!

遠木 凛華

一緒に倒そう!

遠木 凛華

それにしてもこの銃、普通に弾が出るのかな?

疑問に思った凛華がついさっき手にした銃を撃つと、 雷を纏った弾がそこから放たれた。

遠木 凛華

雷……?

遠木 凛華

私は雷属性ってことかな?

戸井 海乃

属性……。

戸井 海乃

私の本はどのように使うのでしょうか?

遠木 凛華

あ、よく見たらペンもついてるね。

遠木 凛華

うーん……。

遠木 凛華

……そのペンで本に何か書き込んでみたらどうかな?

戸井 海乃

……インクが出ない様です。

海乃がペンを手に持つと、 たちまちペンは細長い剣に変わった。

遠木 凛華

細長い剣……。

遠木 凛華

剣とはちょっと違うようにも見えるね……。

戸井 海乃

……レイピア、でしょうか。

戸井 海乃

本で見たことがあるんです。
確かこういう形をしていました。

遠木 凛華

それじゃあそうなのかも。

遠木 凛華

とりあえず、目の前の死霊を倒さなくちゃだよね……!

戸井 海乃

……。

すると、突然海乃達の体を先程の光の様なものが纏い、 馴染む様に一瞬にして消えていった。

遠木 凛華

え……?

戸井 海乃

……分かりました。

戸井 海乃

この本の能力は、私が何かを念じた時にそれを具現化するというものです。

戸井 海乃

ペンは、本で何かを具現化できなくなってしまった時の護身用でしょう。

戸井 海乃

……この本の厚みなら、本で殴ることも出来なくはなさそうですが。

遠木 凛華

サラッと怖いこと言わないで……。

遠木 凛華

それじゃあ……

戸井 海乃

はい。

戸井 海乃

死霊を倒してしまいましょう。

喜雨達3人は巨大な死霊を相手していた。 しかし、攻撃が通りにくく苦戦している様だった。

太賀 萩

クソッ、またこれか……!

毒野 夜宵

また?

毒野 夜宵

前にも何かあったの?

川野辺 喜雨

……前に死霊と戦った時も、攻撃が通りにくくて苦戦してたんだ。

川野辺 喜雨

その時は氷を溶かして水にしたら、それが死霊の弱点みたいで倒せたんだけど。

毒野 夜宵

……その死霊の弱点は分からないの?

太賀 萩

今のところ、死霊の弱点を確認する手段は無いんだ。

太賀 萩

手探りで探すしかな。

川野辺 喜雨

そうなんだよね。

『カワノベさん』

……ねぇ、3人とも。

『カワノベさん』

良いニュースと悪いニュースが1個ずつあるんだけど、どっちから聞きたい?

川野辺 喜雨

……は?

川野辺 喜雨

じゃあ悪いニュースからで。

『カワノベさん』

……悪いニュースは、死霊が別の場所にも現れたということだよ。

『カワノベさん』

強さで言ったら、喜雨と萩が最初に戦ったあの死霊ぐらいの強さだよ。

『カワノベさん』

でも、能力を持たない一般人にとってはとても厄介なんだ。

川野辺 喜雨

……で、良いニュースは?

『カワノベさん』

……その死霊を祓うことの出来る能力者が死霊の近くに居て、今死霊を祓っているんだ。

『カワノベさん』

それも2人。

『カワノベさん』

片方は僕が探してた4人の内の1人、
そしてもう片方が──

『カワノベさん』

……僕も予測していなかった、
予想外の方法で能力が目覚めたんだ。

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