科学者
科学者
009
科学者
科学者
目が覚めたこの場所は
とても年季の入った部屋だった
ボロボロのベッドに横たわっていた私に
マスター、は優しく微笑んだ。
科学者
そう言って私の頬を優しく撫でる
アメジストのような瞳に
吸い込まれそうになった
科学者
009
私の体に埋め込まれた宝石。
未だに輝きを放つこと無く
ただ首元にはめ込まれている。
私が生まれた理由は1つ。
この宝石に輝きをもたらし
量産し続けること。
それがマスターの望む希望。
科学者
科学者
マスターが私の髪に優しく唇を落とす
その行為が嬉しいと思う反面
不甲斐ない私がもどかしかった。
科学者
腕を強く引かれその勢いで倒れ込む
目の前の暖炉から移ったであろう火が私の服を燃やしていた。
マスターは自分の服で火を消し終えると私を強く抱き締めた。
科学者
科学者
マスターの悲痛な叫びが私の心を強く締め付ける。
それと同時に腕の力が強まり
マスターは笑いながら
私の首に手を伸ばした。
???
科学者
科学者
科学者
009
駆け寄ろうと走りだした足を止め
気づかれる前にその場を離れた。
科学者
009
昨日の話を聞いてから
身体が思うように動かない。
力が、出ない。
科学者
009
科学者
座り込んだままの私の頬を
マスターは容赦なく叩いた。
009
科学者
科学者
何事も無かったかのように 笑顔を向けるマスターに
ただ、従うしか無かった。
009
いつものように マスターの部屋へ行くと
マスターは針のついた 筒のようなものを光にかざしていた。
科学者
009
科学者
科学者
科学者
その筒に吸い上げられていく私の血を見ながら、マスターは笑った。
研究所は燃えた。
マスターの才能を僻んだ奴らによって 放たれた、一本のマッチで。
私の首元に付いていた宝石も
爆発の衝撃で割れてしまった。
マスターの研究の全てが水の泡だ。
科学者
マスターは近くの培養槽に 寄りかかったまま動かない。
割れたガラスが身体中に刺さり
開かれた目には、生気が感じられない
出血量からして もう生きてはいないだろう。
…息絶えても尚、彼女は美しい。
009
震える手をマスターに向けて伸ばす。
霞む視界の中、最後に見えたのは
私の心を捕らえて離さなかった
アメジストの瞳だった。
コメント
7件
こ、これは… もちち、僕が好きな小説のタイプ分かってて作ったでしょ!!←やめろ 好きだよコノヤロー!←やめろ
素敵でした!