恐怖症シリーズ

雪恐怖症

いつしか俺は雪が恐怖に変わった。

触るのも見るのもダメだ。

だから元々住んでいた宮城を離れ、兵庫に行った。

兵庫は雪が降ることは少なく、平和に過ごした。

倫くんは幼馴染みだ。

俺はバレー部に所属している。

ｷﾞｭｯ

ｹﾞｼｯ

ｷﾞｭｯ

倫くんには言えてないんだ。

雪が怖いってさ。

今は冬だから、雪が降ってる。

いやだ。

怖い。

合宿前日。

雪は見たくない。

だから寝よう。

大丈夫。

今は雪は降ってないみたいだ。

今は大丈夫。

でも、宮城だから。

怖い。

怖い。

それから俺は雪がいつ降るか怯えながら試合をした。

練習の時より力が出せなかった。

ｸﾞｲｯ

飛雄とは宮城での幼馴染みだった人だ。

雪が怖くなってから俺は飛雄を避け、逃げるように宮城から離れた。

当然、飛雄にもバレたくなくて連絡もしなかった。

狐って誰のこと？

確かに稲荷って狐だけど、狐野郎って本当に誰？

ﾄﾞｻｯ

意味不明。

昔から飛雄はあんなふうだ。

はぁ。

ｷﾞｭｯ

やっぱ倫くんのそばにいると落ち着く。

飛雄と違って。

次の日。

ぁ、この寒さは絶対に雪が降る。

見たくない。

いやだ。

あの時もこんな寒さで雪降ってたっけ。

昔は雪が好きだった。

雪が降った日はいつも外で遊んでた。

雪だるま作ったり、雪合戦したり、かまくら作ったり。

楽しかった。

もう1人遊んでいた男の子からそう言われた。

わけがわからなかった。

なんで遊んじゃダメなのか。なんで関わっちゃダメなのかって。

ﾊﾞﾌｯ

その男の子は雪の中に俺の顔を埋めた。

苦しかった。息が出来なかった。

一時すると男の子は俺の顔を出し、俺は呼吸困難になった。

多分、飛雄が帰ってきからだ。

男の子は何も知らないフリをし、飛雄に媚びを売った。

それから雪の日は外に出ることが出来なくなった。

あの、冷たさ、触り心地、呼吸が出来なくなるのも、全部、、いやだ。

だから、母さんに言った。

｢引っ越したい｣と。

最初は拒否された。

でも母さんはちゃんと俺の話を聞いてくれた。

理由を知ったとき、母さんは怒ってた。父さんもだ。

だから兵庫に引っ越した。

雪があんまり降らない兵庫に。

ｸﾞｲｯ

マジで意味わからん。

腹立つ。俺のもの、みたいに言いやがって。

ぁあ、寒いなぁ。

雪、、雪、ｯ。

ゆき、、ｯ。

こわい。

くるしい。

しぬ、っ。

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

ぁ、、もう思い出すな。

あれは、過去なんだ。

もう、思い出さないで。

お願いだ。

嘘しかつけない俺。

最低だ。

ｷﾞｭｯ

ぁ、、暖かいなぁ、、。

落ち着く。

マジでコイツ。

倫くんの前で、みんなの前で言うことじゃないでしょ。

だから飛雄は。

ﾀｯ

雪、、。

飛雄から逃げてきた。

雪、積もってたんだ。

ぁ、最悪だ。

どっか、、雪をしのげる場所、、。

大丈夫。

ゆっくり、、呼吸すれば、、。

あの時みたいにあの子はいないんだから。

大丈夫だって。

苦しい。

冷たい。

寒い。

ごめんなさい。

ﾊﾟﾁｯ

ばれて、ないよね、、ｯ。

ｷﾞｭｯ

そう倫くんは最後に言いながら静かに強く俺を抱きしめた。

まるで、俺の秘密を知ってるかのようだった。