カイ
最近は懐がカツカツだから、そろそろ働かないといけない。
また同僚に虐められるんだろうな。思い出しただけで吐き気がする。
この手の能力は隠し通すと決めたのに、ひょんなことからバレてしまった。
バレた日から、同僚は僕の手に傷をつけたり、落書きをしたりするように なった。
いっそあいつの手を握ってしまおうか。
…いや、もう二度とこの能力は使わないと決めたんだから。
カイ
結局、今日も会社に行けなかった。
家のドアを開けようとするだけで手が鉛のように重くなり、 足が途端に動かなくなる。
ああ、もう食べるものも無くなってきたのに、外に出られないなら 何も買えないじゃないか。
そもそも、最近何も食べていない。変にお腹がすかないし、 食欲が湧かなかった。
餓えで死ぬ、なんていうバッドエンドは迎えたくないところだが、 僕の体は一向に外出することを拒否しているので、どうしようもなかった。
いっそ、餓えで楽に死ねるなら…
いや、そんなこと考えるな。とりあえず、今日は寝よう。 そう思い、僕は立ち上がろうとした。
ズキン。
カイ
頭が割れるように痛かった。
脳裏を突き刺す激痛。眩む視界。言うことを聞かない体。 ああ、僕はもうここで死んでしまうのか?
情けないな。はあ、ちゃんと食べときゃ良かった。
悔みを抱えながら、僕は白くなっていく視界を眺めていた。
ムル
カイ
ここは何処だ。貴方は誰だ。
ただそれしか思いつかなかった。
ムル
カイ
僕はなんでこの目を使えているんだ? 僕はなんでこの体を動かせているんだ?
確か、立ち上がろうとしたときに強い頭痛と立ち眩みがあって、 倒れたような…
…死んでいないのは何故だ?
カイ
ムル
カイ
ムル
カイ
頭の中は「?」だらけだった。
ムル
カイ
どうやって家に入ったんだ…?もしかして破壊した…?
ムル
カイ
ムル
カイ
ムル
カイ
ムル
カイ
ムル
カイ
と、とりあえず寝るかあ…
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