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陰キャにせまられてます！！

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陰キャにせまられてます！！

第2話 - 陰キャにせまられてます！！2⃣

228

2019年01月05日

#恋愛

#幼なじみ

#胸キュン

#高校生

#学園

空廻ロジカ

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228

空廻ロジカ

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【昼休み】【教室】

さくら

（昨日の冥《めい》くん）

さくら

（どうしちゃったん
だろう）

さくら

（気になって執筆が）

さくら

（進まなかった……）

あたしは窓際の席に、目を向けた。

冥

……

さくら

（やっぱり今日も）

さくら

（ひとりで食べてる）

さくら

（ほんとに陰キャだよね）

さくら

（中学のころの）

さくら

（陽キャな冥くん）

さくら

（今の、陰キャな冥くん）

さくら

（どっちがほんとの）

さくら

（冥くんなの？）

女子

……ら

女子

……くら

女子

さくらったら！

さくら

えっ

さくら

な、なに？

女子

なにじゃないよ、もうっ

女子

今日のさくら、ずっと

女子

ぼーっとしてて

女子

おかしいよ？

さくら

ごめん

女子

五十里《いがさと》なんて

女子

見つめちゃってさ

さくら

え？

女子

同中なんだっけ

女子

まさか……

女子

好き、とかじゃ

女子

ないよね？

さくら

ち、違うよ！

女子

やめといたほうがいいよ

女子

さくら

女子

五十里って陰キャじゃん

女子

素材は悪くないけど、

女子

あれはないって

さくら

……っ

さくら

冥くんのこと、なにも

さくら

知らないくせに……

さくら

悪く言わないで！！

女子

さくらっ？

さくら

冥くんほんとはすごく、

さくら

カッコいいんだよ！

さくら

中学のときあたし

さくら

ずっと憧れてて……！

女子

……さくら

女子

みんなが見てる

さくら

はっ

周りを見渡すと、クラスメイトたちが

ご飯を食べる手を止めて、

大きな声をあげたあたしに

注目していた。

さくら

そ、その……っ

さくら

今のは中学のころの話で！

さくら

昔の冥くんは陽むぐっ

女子

五十里！？

クラスの女子たちが悲鳴をあげる。

あたしの背後から手を回し、

口を塞いだのは――……

冥くんだった。

冥

……うるさい

女子

え？

冥

メシ食うときくらい、

冥

静かにしろよな

冥

……あんたも

さくら

あ、あたし……

さくら

（って近！）

さくら

（顔を寄せないで……）

冥

余計なことを言うなよ？

冥

……『ちえり先生』

さくら

……！！

冥くんは、声をひそめて言った。

そしてようやく、

あたしの口を解放する。

女子

え？　なに？

女子

ふたりって

女子

付き合ってるの？

さくら

え？

さくら

ち、ちがっ

冥

……

冥

好きなように想像すれば

さくら

ちょ……っ

冥くんはもうなにも言わず、

自分の席へ戻っていった。

あたしは……

さくら

いや、ち、

さくら

ちがうから……っ

慌てて言い訳を始めたけれど……。

女子

まぁ、いいんじゃない

女子

今まで知らなかったけど、

女子

五十里もけっこう

女子

強引系っていうか

女子

イケてるとこ、あるじゃん

さくら

う……

さくら

（たしかに）

さくら

（どきどきしちゃった……）

さくら

（でも）

さくら

（高校ではずっと
陰キャで）

さくら

（やってきたくせに……）

さくら

（急に）

さくら

（今みたいなこととか）

さくら

（昨日の、こととか――）

あたしは足元に視線を落とした。

さくら

（どういうつもりなの）

さくら

（冥くん……）

【放課後】【帰り道】

さくら

…………

冥

…………

さくら

…………

さくら

……っ

さくら

ついてこないで、てば！

冥

俺もこっちに

冥

用があるんだよ

さくら

（このままじゃ）

さくら

（家に着いちゃうじゃん）

さくら

あたしの家を特定して

さくら

どうすんの？

さくら

『桜木ちえり』の
自宅ですって

さくら

ネットで曝すとか？

冥

そんなんしないって

さくら

じゃあ、どうして……

冥

あんたに訊きたいことが

冥

あるんだ

さくら

え？

冥

あんたさ……

冥

俺が好きなの？

さくら

！！！

冥くんが足を進めて、

あたしに近づいてくる。

冥

なぁ

冥

昔の俺と今の俺、

冥

……どっちが好き？

さくら

！

さくら

（このセリフ）

さくら

（やっぱり）

さくら

（あたしの小説の）

『桜木ちえり』が執筆中の小説に登場する、

ヒロインの相手役――……

彼は記憶喪失で、

あるときヒロインにこう、尋ねるのだ。

――「昔の俺と今の俺、どっちが好き？」

と……。

さくら

そのセリフ……

さくら

どうして知ってるの

さくら

小説、まだ書きかけで

さくら

本になってないのに

冥

さあ？

冥

でもこのキャラ、

冥

俺がモデルだよな？

さくら

！！

冥

俺と身長が同じだし……

冥

誕生日だって

冥

なぁ、あんた……

冥

小説のヒロインみたいに、

冥

俺に……

さくら

っ、なに……

いつの間にか、冥くんは

あたしの目の前まで来ていて。

さくら

！！！！

さくら

んん……っ

長い腕を伸ばして、あたしを引き寄せ

そして、

強引にくちづけた。

さくら

～～～～っっ！

さくら

（キス……してる？）

さくら

（あたし……冥くんと）

さくら

（キスしてる――！？）

さくら

……は……っ

やがて、くちびる離した冥くんは。

冥

あんたも

冥

小説のヒロインみたいに……

冥

俺に、

冥

こうされたかった？

さくら

……っ！

さくら

あたしは……

冥

……俺は

冥

ずっとこうしたかった

冥

あんたは、陰キャの俺には

冥

興味はないんだと思って

冥

諦めてたけど……

冥

でも違った

冥

あんたの小説を読んで、

冥

わかったよ

さくら

……冥、

さくら

くん……

さくら

（あたしは）

さくら

（中学のとき冥くんに）

さくら

（ずっと憧れてて……）

さくら

（でも）

さくら

（手が届かなくて）

冥

俺は、ずっと

冥

あんたが……あんたのことが

冥

好きだったんだ……

真摯な瞳で見つめられて、

あたしはついに。

さくら

……好き

さくら

あたしも、冥くんのことが

さくら

ずっと好きだった

秘めていた気持ちを告げる。

そして。

さくら

……ううん

さくら

今も、好き……

冥

……

あたしの告白を聞いた冥くんは。

さくら

（あ……）

そっと、あたしを抱き寄せた。

それから。

さくら

（あ……また……）

今度は。

これ以上ないほどにやさしく、

あたしにくちづけてくれたのだった。