久しぶりに、死んだ姉の夢を見た。
姉は俺と結構年齢が離れてて
俺が生まれてすぐに事故死した両親の代わりに
祖父母と一緒になって育ててくれた。
怒ると怖かったけど、いつもニコニコしてて
手を繋いで歩いてくれたのを覚えてる。
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姉は、霊が見えない人だった。
だけど俺の言うことを疑ったことは一回もなくて
いつも俺の言葉をそのまま受け取って
特に小さい頃は、危なくないようにと
見えないなりに色々気をつけてくれていた。
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きっと、髪には霊力が貯まりやすいって情報を
どこかで聞いていたんだろう。
姉は自分が霊を見たりできないぶんだけ
なんとか俺に自衛の方法を身につけさせようとしていた。
だからだろうか
俺に初めて、同じように霊力の強い友だちができたあと
姉はホッとしたような、どこか寂しそうな顔をしていた。
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よく姉が呟いていた言葉が、いまだに忘れられない。
俺も、なぜ姉は霊を見られないのだろうと
とても不思議に思っていた。
霊が見えるのが特殊だと言うのなら
俺なんかより姉のほうが絶対に似合ったはずだ。
似合う似合わないの問題じゃないのは分かるけど
当時の俺は、本気でそう思っていた。
――姉は生まれつき色素が薄い人だった。
キラキラ光る白い髪と
空と海をそのまま嵌めたような青い目が
キレイでカッコよくて、俺の自慢。
今になって考えれば、きっと外見で苦労もしてただろう。
だけど俺にはそんなところを一度も見せないまま
姉は遠くに行ってしまった。
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そう言った姉が、とても嬉しそうだったのを覚えてる。
だから言えなかった。
胸がザワザワしていたこと。
手の平がむずがゆいような、気持ちが悪い感じがしたこと。
行ってほしくなかったこと。
せめて一緒に行きたいこと。
言えていたら
言えていたら、なにか変わっていただろうか。
翌日帰宅した姉は、もう息をしていなかった。
屋上から飛び降りた姉の体は正視に耐えられない姿で
俺は、最期の顔も見せてもらえなかった。
休日の学校での、飛び降り自殺。
クラブ活動のために登校していた生徒の証言や、
屋上に設置された監視カメラの映像では
姉は一人で登校し、一人で屋上へ向かって
やがて、なにかに押されたように落ちていったらしい。
姉が言っていた"お友だち"が誰だったのかは、
誰も分からない。
ただ、姉の霊が俺の前に現れることは一度もなく
その上、俺自身にも変化が訪れた。
俺が霊能力を分けたいと思った相手と接触すると
力を貸与することができる力。
それまで、どんなに姉にわけたいと思っても
一度もできなかったこと。
なぜ姉がいなくなった途端にできるようになったのか
それもまだ、わからない。
目が覚めると、噴き出した汗で体がひどくべたついていた。
中学になってから伸ばしはじめた髪。
高校になって入れ始めた青いカラーコンタクト。
大学になってから白く脱色した髪。
今もまだ姉の面影を追っていて
姉の死に納得すらできていないのが自分でも分かる。
渋谷大
昨日起こった、カタヅケ不能の一件。
ただの浮幽霊だった学生の霊に、
他人と接触できるほどの力を与えた霊の存在。
他者に能力を貸与できる力。
俺の力と類似しすぎたそれを耳にして、
霊能力のなかった姉をなぜか思い出してしまったのは
俺の家族ならできるんじゃないかと思ってしまったのは
姉に対する、冒涜だろうか。
コメント
18件
思い出があってからこその今の容姿なんですね… お姉ちゃんが大きな何かだとしたらすごく切ないですよね… これからが気になります!
大ちゃんの容姿への印象がまたガラッと変わってくるなぁ... 今だって可愛いけど()幼少期の大ちゃんはさらに可愛さ爆発してんなぁ🤗 いつか姉さんとの何でもない日常の一コマを覗けたら良いなぁ!