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〜村〜
村人達(弓矢)
百峰 桃音
間一髪滅多刺しを免れた桃音。彼女の目の前には、撃たれた傷の痛みに耐えながらゾンビのように迫り来る弓矢を持った村人達がいた。
百峰 桃音
前回、仰向けでブーツの仕込み銃を撃って難を逃れようとしたが、銃の凄腕でもさすがに足から撃つという慣れないことだったからか、急所を外してしまった。
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
バシャア!
桜木 壱茶
桃音と凛々愛が別れたちょうどその頃、壱茶は早くも苦戦していた。
村人達(川)
岩の上に立っているのは包帯を巻いた浪人笠の男2人。壱茶はその下、川に足をつけて分銅鎖を回していた。
桜木 壱茶
桜木 壱茶
桜木 壱茶
村に入って一番早くに単独になった壱茶と浪人笠の男2人と対戦してはや10分。 互いにかすり傷はゼロのままだった。
バシャッ!
キイン!キイン!
水の音をたてて前進する。自然に囲まれたこの場所で、両者の武器がぶつけ合う金属音が鳴り響く。
長い分銅鎖は天を踊り上る龍のように壱茶の周りを囲み、敵に牙を向ける。それに挑む敵2人はまるで龍を退治する剣士のような、そんな風に見える光景だ。
カキィン!!
桜木 壱茶
バシャア!
金属の打ち合いに弾かれ各々が後ろへ 下がり、川に着地する。
村人達(川)
村人達(川)
敵は壱茶を見下すような口ぶりで言った。彼らもまた岩の上に着地していた。
桜木 壱茶
(くっそぉ……よりによってこんなエコロケーションのやりにくい場所でよぉ!)
(場所さえもっと良けりゃ 把握できんのにぃ!!)
心の中で歯を食いしばるように言った。
(恵留ちゃんの言った通りだぁ…馬鹿みてぇに強ぇぞ コイツら!!)
全盲の壱茶がいる真っ暗な世界で、いつも使う靴音を利用するエコロケーションの代わりに、彼は手を軸にして回す鎖からなる音を利用して把握していた。
(…?)
すると壱茶は、ある感覚を刺激された。
(…なんだぁ?)
(…血の匂い?)
目が見えない分、他の感覚が人一倍優れている彼は、もちろん鼻も利いた。互いに全く掠っていないのに、僅かだが何故か血の匂いがした。
(掠ってねぇのに… なんでだぁ?)
( ! まさかぁ…!?)
この時、壱茶は何かに察し 勝算のあると確信した。
キィン!
村人達(川)
刀と鎖が押し合う。1人の敵が刀を振 り下ろしたのを壱茶が分銅鎖を両手で引っ張らせて攻撃を防いだ。
桜木 壱茶
キリキリと小さく鳴らして耐える壱茶。
ズバッ!
桜木 壱茶
すると突然、背中に激しい痛みか走った。もう1人の敵に背後を取られ刀で切りつけられたのだ。正面の敵に気を取られ、もう1人の存在に気づけなかった。
ドカッ!
桜木 壱茶
壱茶が斬られて力が抜けて崩れ落ちるところを、正面の男が彼の胴体を思いっきり蹴った。この時、持っていた鎖が手元から離れた。
ガツンッ!
岩に打ち付けられた。それと同時に頭もぶつけた。壱茶は岩にもたれて座るように崩れ落ちて、ぐったりしていた。
村人達(川)
村人達(川)
背中から斬った方の敵が刀を一振しながら余裕そうにそう言った。この時、壱茶のサングラスにはヒビが入っていた。
桜木 壱茶
桜木 壱茶
村人達(川)
村人達(川)
シャキッ
敵2人は下半身だけ川に浸ったままの壱茶に刀を向けて言った。
村人達(川)
桜木 壱茶
しかし敵2人はそう嘲笑うが、壱茶は何も喋らず、ビクともしない。
村人達(川)
村人達(川)
返事もしない壱茶に声を荒げてみるが、彼はネジが回りきって動かなくなった ゼンマイ人形のようにだった。
村人達(川)
村人達(川)
不審に思った2人は刀を下ろし、壱茶の顔を覗こうと彼の前で屈もうとする。
ザバァ!
ドカァッ!!
村人達(川)
村人達(川)
その時だった。壱茶はラジコンのスイッチをONにしたかのように、突然立ち上がるのと同時に正面の男には頭突きを、その隣にいた男には顔面に拳骨を思いっきり力を込めてお見舞いしてやった。
村人達(川)
頭突きされた男は顰めた顔を押さえ激痛に耐えながら壱茶を睨みつけた。 今の一撃で鼻が折れたのだ。
パリン パリン…
頭突きてヒビの入ったサングラスが全壊し、壱茶の目元から零れ落ちた。
桜木 壱茶
桜木 壱茶
上半身だけ脱力させたように立ち上がった壱茶は俯いたままそう言った。もたれていた岩には、彼の背中から流れた血が線を描くように染み付いていた。
桜木 壱茶
桜木 壱茶
ギクッ!
村人達(川)
壱茶の言葉に動揺した敵は赤く滲んだ包帯に手を添えた。
桜木 壱茶
桜木 壱茶
煽るような口調で言った。顔を上げた時の、意味の無いであろうサングラスの奥にはいつも閉じている、いわゆる糸目が珍しく開いていた。
ジャラ ジャラ
そして、彼の両方の袖から、片方2本づつ、計4本の短い分銅鎖を出していた。
村人達(川)
村人達(川)
村人達(川)
鼻を折られた方はムキになるが、もう1人は冷静さを保っていた。そして、壱茶から感じる、ある違和感を感じていた。
村人達(川)
村人達(川)
村人達(川)
村人達(川)
(守護霊が憑いてるような)
男の刀を握る手が緩んで感じた。
盲目の男が持つ長い鎖を龍に見立てたもので、それを退治する剣士の光景?
否、龍でも剣士でもない。
その真っ暗な世界の中を生きる男を 優しく包み込むように取り巻くのは 彼の守護霊そのものの存在。
かつて彼が護れなかった 大切な人のーーー。
村人達(川)
村人達(川)
村人達(川)
桜木 壱茶
鼻を折られた男は壱茶を睨みつつ嘲笑って言った。それを聞いた壱茶は図星を突かれて一瞬顔を顰めかけた。 しかし、それでも勝算はある。
桜木 壱茶
村人達(川)
そう、相手は怪我人だからだ。
怪我の具合に関しては目も見えないし医者でもないので流石に把握は出来ないが、掠ってもいないのに血の匂いがしたため、無理に動いて傷口が開いているのがわかった。
しかしそれでも、こちらも怪我を負っているので おあいこ になっている。
だから ここからが真剣勝負だ。
桜木 壱茶
村人達(川)
村人達(川)
両者共に武器を構える。相手は想像以上に厄介かもしれないというのは事実だった。けど今はそんな気がしない。
彼を取り巻くのは守護霊ならば、それを前にするのは剣士ではなく、人の形をした悪霊や邪気そのものだ。
ならばこちらは退治される怪物ではない。退治する側の厄払い師だ。
桜木 壱茶
滅多にお目にかかれない彼の機能していない青緑色の目は、まだ少し、 開いたままだった。
〜竹林〜
※背景画像は竹林と思ってください※
「ぐああああ!!!」
早乙女 瑠花
一方その頃、瑠花は竹林で10人の敵をなぎ倒していた。
村人達(竹林)
1人の男が刀を握るを震えさせながらそう言った。瑠花が立つ、緑と茶色の自然を表す色をした地は、無惨な死体が転がった真っ赤な血の海になっていた。
ユラァッ
早乙女 瑠花
ヒュン!
地面に影が見えた時に背後から殺気を感じた瑠花は咄嗟に避けた。音を鳴らして空振りした刀は、まるで文字通り 空気を斬るかのようだった。
村人達(竹林)
ヒュンッ! ヒュンッ!
早乙女 瑠花
そのまま隙を与えず、敵たちは斬りかかってきた。瑠花は残像が見える鋭い刀を後ろへ下がりながら避けていく。
早乙女 瑠花
また背後から殺気を感じた。瑠花は敵が前後で挟み撃ちにするつもりだと勘づいた。しかも瑠花の後ろには、束になって生えた竹があった。
村人達(竹林)
竹に背が当たりそうになった時、目の前から迫り来る敵が刀を振り上げた。そして、同じタイミングで、背後の敵が竹越しで瑠花の心臓を貫こうと狙っていた。
ダッ
瑠花が飛ぶように後退りした直後だった。前方に追い込んで刀を振りかざす敵、後方に待ち構えて刺し殺す構えをする敵。両方が接近した逃げ場がない状況になった一瞬で、瑠花は後退りで地に着いた足をそのまま力いっぱい踏みしめ、真上にバク宙するように跳んで避けた。
キィン!
村人達(竹林)
竹の隙間を通った後方の敵の刀が、振り下ろした前方の敵の刀を受け止めた金属音が竹林に鳴り響いた。
早乙女 瑠花
真上に避けた瑠花は空中で逆さになった瞬間、咄嗟に竹を掴み、足をつけて しがみついていた。まるで某有名な映画の蜘蛛のヒーローのようだ。
村人達(竹林)
武器を構えながら取り囲んで見ていた敵たちは瑠花の驚異的な身体能力に目を剥いていた。
ズバッ!
すると取り囲んでいた1人の男が、瑠花がしがみついている竹を、挟んで刃が重なった敵2人の頭上で、素早く斬った。
グラッ
早乙女 瑠花
その瞬間、ガクンと安定しなくなって傾き始めた。そして、竹が土へ還ろう地面へ向かうように倒れ始める。このままでは瑠花が地面へ叩きつけられる。
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
キィン!
村人達(竹林)
瑠花は傾く竹にしがみつきながら、わざとらしい棒読みかのように言いながら刀を構えるだけの敵に目を向け、その矢先の敵を目掛けて飛び降り、着地することなく、そのまま思いっきり足を振り下ろした。が、その敵も殺気を感じ、咄嗟に刀で攻撃を防いだ。瑠花のスニーカーのヒールにも、鉛が仕込まれていたため、金属音がまたこの竹林に響いた。
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
キィン!!
今度は左右からの攻撃をグローブで受け止めた。シューズと同様に鉛片方2kgもあるため、こちらも容易に防げれた。
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
ザシュッ!
ザシュッ!
早乙女 瑠花
すると背後から突きの攻撃が来た。この完全に手が塞がった不利な状態で避けきれず、刃は瑠花の腰と彼女の豊満な胸の横の面を掠った。恐らく背後から心臓と無防備な腹部を狙ったのだろう。
村人達(竹林)
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
瑠花は背後からしてきた敵2人に目を向けて感情のこもってない口調で言った。
村人達(竹林)
ここからはノンストップバトル。 彼女の凄まじい怪力とアクロバットを駆使した戦闘能力が発揮される場面だ。
早乙女 瑠花
瑠花はまず、受け止めていた両方からの刀を払い除けるように押し返した。
村人達(竹林)
グルンッ!
それに隙を与えずスムーズに両腕を上げ、自身の攻撃を受け止める正面の敵の刀を踏み台にしつつ後方ブリッチした。 まるで体操選手のようだ。
スパァン!
村人達(竹林)
脚が付いた瞬間、腰を下ろし180°開脚させて背後から攻撃してきた敵2人の足を蹴って転ばせた。
村人達(竹林)
早乙女 瑠花
自身の刀を踏み台にされた敵が正面から瑠花を目掛けて刀を振り下ろす。
ザクッ
その刃は地面に突き刺さった。開脚して地面にペタンと座った状態から、背中を地面に付けて後ろ回りをしながら立って、咄嗟に避けたのだ。
村人達(竹林)
ヒュン!ヒュン!
ヒュン!ヒュン!
先程、瑠花に自分の武器を踏み台にされたのが癪に障ったのか、その敵はすぐに刀を地面から抜き取り、ヤケクソのように彼女に切りかかる。
トンットンッ! トンットンッ!
しかし彼女の反射神経にそのヤケクソは通用しない。瑠花は後ろ回りから立ち上がった瞬間から、その攻撃を連続バク転して避けていった。
村人達(竹林)
ザクッ!
追い詰めた敵は刀を瑠花に振った。 が、その刃を受け止めたのは竹だった。
村人達(竹林)
ユラァッ
影が見えてふと見上げると、 瑠花の脚が目の前にあった……
ドガァ!!
バキバキバキィ!!
宙を舞ったまま蹴りの一撃を喰らわせた瑠花に、敵は何もわからないままぶっ飛ばされた。彼を見ると折れた竹に挟まるように下敷きになった。
村人達(竹林)
村人達(竹林)
1人の敵が怖気付いたように目を剥くが、他の敵は瑠花が空中では避けれぬと見計らい、彼女に隙を与えぬよう、 一斉に切りかかった。
ガシッ
しかし瑠花は竹を握り、脚を開脚して振ってクルクル回る、ポールダンスのような動きをしながら敵たちの手元を蹴って武器をはじいた。
バシッ! バシッ! バシッ!
村人達(竹林)
村人達(竹林)
村人達(竹林)
メキッ…
バキバキバキッ…!
そして瑠花はその竹を握る手に 力いっぱい込めて……
バキンッ!!
へし折った。そして………
早乙女 瑠花
ドガァン!!
村人達(竹林)
へし折った竹自体を振り回し、武器を落とした敵たちをぶっ飛ばした。
トサッ
早乙女 瑠花
竹を振り回して敵が花を中心とする半径5mの領域外に放り出して広々とした空間を取り戻して一旦一安心したその時、彼女の服から何かがこぼれ落ちた。
村人達(竹林)
村人達(竹林)
すると1人の血の気の多い男が、誰よりも早く起き上がり、瑠花のすぐそばに落ちた刀を拾いに駆け出した。
村人達(竹林)
グサッ!
他の男が止めるように叫んだ時、咄嗟に刀を拾い振りかざした男の動きがピタリと止まった。
村人達(竹林)
バタン!
瑠花が何かを男から引っこ抜くと、男はその場で倒れた。彼女の手には恵留から貰った短刀が握られていた。その男は顎から上へ串刺しにされた。
早乙女 瑠花
村人達(竹林)
村人達(竹林)
村人達(竹林)
生き残りの敵たちは武器を持たず素手でなぶり殺す狂気の殺人鬼、”殺戮の悪魔”と呼ばれ恐れられる瑠花が、短刀を持っているという意外さに焦り始めた。
しかしそんな丸腰で不利になった敵たちに興味を示さない瑠花は、自分が初めて持っている”エモノ”とそれに付いた真っ赤な血を、何か新しい感覚を覚えたように、じっと見つめていた。
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
村人達(竹林)
少し沈黙を挟んで短刀に見とれる瑠花が呟き、違和感を感じた敵は彼女の様子がおかしいと疑った。
早乙女 瑠花
「キャッハハハ!!/////」
村人達(竹林)
すると瑠花は気が狂ったかのように高笑いした。それを見た残り3人の敵たちは背筋が凍った。
早乙女 瑠花
村人達(竹林)
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
瑠花は短刀を太陽にかざして目を輝かせて言った。日光が反射して刃に付いた血が宝石のようにキラキラして見えた。
村人達(竹林)
すると足元からうめき声がした。 瑠花に刺された血の気の多い男がまだ生きていた。
早乙女 瑠花
ガシッ
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
瑠花は男の頭を掴んで持ち上げ、顔を覗き込んでそう言った。
村人達(竹林)
グサッ!グサッ!
グサッ!グサッ!
「あがっ…ぐあああ!!!」
村人達(竹林)
男の悲鳴が竹林に鳴り響く。瑠花は満面の笑みで男の身体を抉るように何度も刺した。 苦しむ顔をそのままにするために、あえて頭以外を痛めつけるという、彼女だけのルール。それを見ていた他の敵たちは恐怖で心臓が高鳴りはじめた。
「キャッハハハ!!/////」
「もっと聞かせてよ!」
「ドスに殺られた時の 悲鳴!//////」
「見せてよ!」
「苦痛で歪んだ その顔!!/////」
「それも血みどろでさ!////」
村人達(竹林)
村人達(竹林)
血飛沫がかかって真っ赤になった瑠花は気が狂ったかのように高笑い、口角を上げて叫ぶように言った。敵たちは異常さに青ざめて脚が震え始めた。
早乙女 瑠花
瑠花は掴んでいた敵の頭を飽きてしまったかのようにポイッと捨てて、他の敵たちの方へゆっくりと足を動かせた。
村人達(竹林)
村人達(竹林)
村人達(竹林)