涼風夏姫
暇だなーーー
友達
課題やったの?」
涼風夏姫
やってない
友達
やれ」
涼風夏姫
はい
夏休み真っ只中。
先輩をデートに誘って 撃沈した私は、
ほぼ毎日友達と通話をしていた。
友達
私そろそろ支度しなきゃだから」
涼風夏姫
え、何か用事?
友達
彼氏と花火大会デート」
涼風夏姫
リア充爆発しろ!!
友達
はいはい、じゃーね」
涼風夏姫
あ、ちょっと待っ
プツッ ツーツー
部屋の中に響く 通話が切れた音が虚しい。
クソ、絶交だ絶交。
でも、そっか。
涼風夏姫
( 今日か、花火大会 )
日が傾きだした空が カーテンから覗いている。
孤爪先輩から OKが出てたら今頃…。
涼風夏姫
はぁ…
考えても仕方ないと 首を横に振って、
ボフンと勢いよく ベッドに大の字に寝転がる。
涼風夏姫
( 孤爪先輩は合宿かー )
運動部は大変だなぁと 他人事のように思いながら
瞼が重たくなって、 私は眠気に抗わずに溶けた。
ピロンッ♪
涼風夏姫
ん…?
あれ、いつの間に 寝てたんだっけ。
スマホの着信音で目を覚ます。
涼風夏姫
!?
予想外の人からの連絡に 飛び起きる。
すぐに画面を開いた。
孤爪研磨
夏姫いま家?
涼風夏姫
お家なうです!
孤爪研磨
外、花火見えてる?
先輩に言われてベランダに出る。
すっきり晴れた群青色の空には 色とりどりの花が咲いていた。
涼風夏姫
見えます!
孤爪研磨
合宿所からも見えてるよ
孤爪研磨
そう送られてきたのは 花火の写真。
涼風夏姫
ほんとだ…!
なんかロマンチストみたいな、 キザな言い方になるけど、
今私と先輩は同じ空を 見ていると思うと、
胸がキュンと跳ねた。