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コトコトコト――。 鍋の蓋がぐらぐらと揺れはじめた。 僕は火を止め、鍋の中を覗き込む。

上原音符

うん。美味しそう

なめこと豆腐の味噌汁はこれで完成。あとは――。

海妹四葉

おぱあよ~。音符くん、早起きだね!

上原音符

あ、四葉さん。おはようございます

上原音符

朝ごはん、お味噌汁と焼き鮭でいいですか?

海妹四葉

え!そんなに用意してくれたの~、嬉しい!

四葉さんは、パアッと笑顔になると、パタパタとスリッパの音を鳴らして駆け寄ってきた。

海妹四葉

でも~、そんな張り切らなくていいんだよ。これから一緒に暮らすんだから、あんまり一人で無理しないでね!

四葉さんは冷蔵庫から鮭を取り出そうとしていた僕を、後ろからギュッと抱きしめた。

上原音符

わ、わ、よ、四葉さん!?

海妹四葉

んふふ~♪ 今はむゆもぽぽもいないから海妹が音符くん独占~♪

むぎゅ~っと、体を密着させてくる四葉さん。 ふんわりといい匂いが鼻孔をくすぐる。 お日様の光をいっぱい浴びた布団のような、ぽかぽかとした四葉さんの体温。

それに、その...いろいろ当たっている...。

上原音符

四葉さん、そ、その...

海妹四葉

んん~、なになに~? あ、音符くんのほっぺぷにぷに~

指先で頬とツンツンとつつかれる。 四葉さん、昨日知り合ったばかりなのにすごく積極的...。 距離が縮まって嬉しいけど、けど...。

先斗寧

はぴ、朝から何してるん

後ろから、冷たい声が飛んできた。

上原音符

寧さん、おはようございます

海妹四葉

あ、ぽぽ。おぱあよ~

先斗寧

おぱあよやないねん。音符くんから離れ。困っとるやん

寝起きだからか、むすっとした表情の寧さん。 四葉さんは僕からパッと身を離すと、今度は寧さんに駆け寄っていった。

先斗寧

ごめんな~音符くん。はぴには後で私から、う゛わ゛ぁ!

海妹四葉

なはは~、ぽぽ、嫉妬かな~。大丈夫、ぽぽも可愛いよ~!

四葉さんは僕にしていたように、寧さんに抱き着いた。 寧さんは抵抗しながらも、先ほどより少しだけ表情は和らいだようだった。

先斗寧

ちゃうやろ! もー、はぴ! やめーや!

上原音符

あはは...あ、寧さんも朝ごはん、お味噌汁と鮭でいいですか?

先斗寧

うぐぐ...うん、もう、全然いい。てかありがとうな

先斗寧

ありがとうついでにタバスコ添えといて。あとはぴ剥がして

海妹四葉

つれないな~、ぽぽぉ。仕方ない、離してやるか

四葉さんは寧さんを離すと、そっとお尻を撫でてテーブルに向かった。

先斗寧

ふぁう!

上原音符

っ...

先斗寧

...あ、いや~...あはは... ――っ、はぴぃ~!!

寧さんは顔を赤くして四葉さんを追いかけていった。 クールな印象の寧さんだったが、思いがけず可愛い声を聴いてしまった。

上原音符

そういえば、むゆさんはまだ起きてこないんですね

鮭をグリルに入れながら、もう一人の同居人について聞いてみる。

海妹四葉

むゆはまだ寝てるよ

先斗寧

天ケ瀬はたくさん寝るからね

プロレスのように組み合っている二人だが、僕の声には反応してくれた。

鮭が焼きあがったら、むゆさんを起こしに行こう。 せっかく初めての朝食なんだから、四人揃っていた方がいい。

海妹四葉

今日は朝はぴ休んじゃったからなー

先斗寧

流石に昨日今日は厳しいやろ

二人は配信の話をしているようだ。 ライバーも忙しい。 折角の春休みなんだし、僕が少しでも三人の力になれたらと思う。

上原音符

――よし、いい感じ

焼きあがった鮭を皿にのせ、炊き立ての白米、味噌汁をテーブルに出す。

先斗寧

私も手伝うよ?

上原音符

ありがとうございます、寧さん。もうこれで最後なので

赤、青、黄、そして黒の箸をテーブルに並べると、四人分の朝食が出来上がった。

上原音符

じゃあ、むゆさんを起こしてきます

先斗寧

ありがとうな、音符くん

ダイニングの扉を開け、むゆさんの部屋がある二階へ向かう。 むゆさんの部屋は二階の一番奥だ。

上原音符

むゆさん、朝ですよー

呼びかけ、ノックしても反応はなかった。 女性の部屋に入るのも気が引けるが、でもできれば朝食を一緒に食べたい。 意を決して、ドアノブを回した。

海妹四葉

ところでさー、ぽぽ。

先斗寧

どしたん

海妹四葉

むゆって寝るとき裸じゃなかったっけ?

先斗寧

!? あほ! もっとはよ気付けー!

――。 むゆさん。

天ケ瀬むゆ

スピー

上原音符

むゆ、さん...

気持ちよさそうに、眠っている。 裸、で...。 スラっと細い手足。ベッドに広がる薄紅の髪。 ぷるっとした、胸...。

ドクン――。 股間に、血が集中するのが分かった。 パンツを、ズボンを押しのけ、外へ出ようと肉棒が反り立った。

上原音符

っ...

昨晩のことが、脳裏に蘇る。 僕はゆっくりと、むゆさんに近づいた。

カーテンの隙間から、日光が差し込む。 夢か現か。 自分が今その境界線にいることだけがわかる。

天ケ瀬むゆ

う~ん...

上原音符

...

ふにゅ。 ふよふよ。 胸のあたりに、無重力を感じた。 重さから解放される、心地よい感覚。

上原音符

むゆさん、ごめんなさい...

天ケ瀬むゆ

...っ、ぁん

ほんのりと冷たさと、その後からくる温かさを胸の先に感じる。 チロチロとくすぐられるような感覚も。 脳が蕩けそうな気持よさで、ふわふわと意識がゆれる。

上原音符

ちゅ、んちゅ、ちゅぱ

不意に、下半身に熱を感じた。 今度は自分の足がふわっと宙に浮く。 あれ、今何時だろう。 そろそろ起きないとかな。 そういえば、見える天井が昨日までと違う。 あ、そっか。 私、昨日引っ越しして――。 それから。 それから。 音符くん――。

上原音符

はあっ、はあっ! むゆさん、ごめんねっ

上原音符

がまん、できないっ!

天ケ瀬むゆ

んにゃ? おんぷく――

ぐぷぷぷぷ――

天ケ瀬むゆ

んはぁあああ!?

突然に、秘部を貫く熱感。 しかしそれは、瞬時に快楽に変わっていく。 つい、昨日も感じた、脳を、全身を貫く、至上の快感。

天ケ瀬むゆ

ぁっん! あ、うそ! え? 
おちんちん挿入ってる!?

上原音符

っあ、むゆさん、ごめん。ごめんね!

天ケ瀬むゆ

ふあっ、あっ、やぁ、音符くん、にゃぁ!

たゆたっていた意識が覚醒する。  目の前には頬を紅潮させた音符くん。 裸の自分。 結合する二人の性器。 突然の状況にも関わらず、どうしようもなく秘部が濡れているのがわかる。 そして、自分を貫く男根の大きさも。

天ケ瀬むゆ

っあ、はぁっ...もう...音符くん。
がまんできなかったの...?
昨日あんなにしてあげたのに。

上原音符

う...だ、だって...
むゆさんが可愛くて。
その、裸で寝てるなんて思わなかったから。

流石にそれは自分の普段の行いを反省せざるを得ない。 ...いや、むしろ役得か。 私はしゃべりながらも必死に腰をうちつける音符くんの頬に、 そっと手をあてた。

天ケ瀬むゆ

...いいよ。
むゆのこと、いっぱい感じて。
きもちいいの、ぜ~んぶ、出していいからね。

上原音符

...っ、むゆさんっ

音符くんの腰が、ぐんっと奥に突き出される。 寝起きとは思えないほどに濡れた秘部は、それを受け止め、 むしろ最奥へ導くように、 子宮へ、赤ちゃんの部屋へ導くように、 音符くんの男根を咥え込んだ。

上原音符

...っ出る...! 射精そうです!

天ケ瀬むゆ

うんっ...っあ、あ、あ、あっ

力強い音符くんの動きに、嬌声を抑えられない。 ――ああ、種付けされる。 力強い射精で、おなかの中が、子宮が満たされ――

上原音符

っああああああ!

天ケ瀬むゆ

んやああああっっ!

先斗寧

むゆ!

海妹四葉

むゆー?

引っ越し後、第一にすることが決まった。 この部屋に、鍵を付けよう。 温かい精子をおなかの奥に感じながら、 私はぼんやりとそんなことを思った。

むゆさんの体内で果てたのも束の間、僕は背後からした声に 背筋を凍らせた。

先斗寧

むゆ!

海妹四葉

むゆー?

上原音符

わ、二人と

天ケ瀬むゆ

【テンプテーション】

上原音符

も?

僕が振り向いた先には、ぼーっとこちらを見つめる二人が立っていた。

天ケ瀬むゆ

危ない危ない。
朝から面倒なお説教タイムになるところだったよ。
音符くん、次からは気を付けて。
まあ、私も部屋に鍵はかけておこうと思ったけど。

上原音符

む、むゆさんこれは...

天ケ瀬むゆ

ん~、とりあえず、服着よっか

言われて、ぐちゅりとむゆさんの膣から肉棒が抜けたことに気づく。 ごぽっ、とあふれ出た精液をむゆさんは慌てて手で受け止めた。 僕は途端に恥ずかしくなって、むゆさんにティッシュを渡し、 そそくさと服を着た。

天ケ瀬むゆ

私の夢魔としての能力の一つだよ。
【魅了(テンプテーション)】。
一時的にだけど相手の意識を奪って自分の言うことを聞かせるの。

むゆさんは服を着ながら話してくれた。

上原音符

二人は大丈夫なんですか?

天ケ瀬むゆ

うん、なんかね、催眠状態みたいな感じ。
今は夢を見てるような気分だと思うよ。

少し安心する。 情事を見られたとは言え、二人に何かあっては申し訳ない。

天ケ瀬むゆ

まあエッチしてるところ見られるのはいいんだけどさー

天ケ瀬むゆ

TPOってあるじゃない?
ぽぽとかそういうの気にするし。

上原音符

う...す、すみません

天ケ瀬むゆ

あはは。
まあ、ぽぽにも慣れていってほしいんだけどね。
音符くんとの生活。いや、性活?

うまいのだろうか。 いや、それはそれとして――。

上原音符

二人はどうするんですか?
このままですか?

天ケ瀬むゆ

流石にそんなことはしないよー。
ちょっと【お話】したら元に戻すから。
...と、こ、ろ、で。

むゆさんは、ふっと僕に近づくと、 ズボンの上から股間を触った。

天ケ瀬むゆ

TPOは別として、気持ちよかったよ。
いっぱい射精してくれてありがと♡

上原音符

っ...は、はい...

むゆさんの、甘い、くすぐるような声に、否応なく股間が反応する。 ついさっき、あれほどむゆさんの膣に射精しておきながら、 精巣がぐらぐらと煮え、精子を創りはじめるのがわかる。

天ケ瀬むゆ

あ、ありゃ?
すごいね音符くん。
もう...こんな元気なんだ。

上原音符

重ね重ねすみません...。
あの、一人で収めますから。

天ケ瀬むゆ

ん~?
いや、折角だから、ぽぽか海妹のどっちかとしなよ。

上原音符

え!?

天ケ瀬むゆ

それとも、二人共とする?
むゆは能力も使って疲れちゃったからできないんだけど。

上原音符

いや、えっと...

天ケ瀬むゆ

二人のことは気にしないでね。
【魅了】で気持ちを素直にしてあげるだけだから。

戸惑いながらも、僕の股間はこれから起きることへの期待を 膨らませずにはいられなかった。 そう、膨らんでいた。 ...うまいのだろうか?

僕は寧さんを連れて、リビングにもどってきた。 むゆさんは、四葉さんをベッドに寝かせ、僕の後に続いた。

天ケ瀬むゆ

【魅了】
『ぽぽ、ぽぽはさっき、むゆのお部屋で何を見たのかな?』

先斗寧

わ、わたしは――

先斗寧

天ケ瀬と音符くんがやらしいことしてるのを見たんよ

天ケ瀬むゆ

うんうん、で
『どう思ったのかな』

先斗寧

それは――、なにしてんねんて。
朝っぱらから。

天ケ瀬むゆ

ふ~ん?
『心の奥では?』

先斗寧

あ――、その、
ええなぁって。
うちもまた、音符くんに抱かれたいなあって。

上原音符

...っ

天ケ瀬むゆ

んふふ~。だよね!
もうー、ぽぽはむっつりさんなんだから。
ね、ほら遠慮しないでー音符くん。
『したいことしていいんだよ。ね、ぽぽ?』

先斗寧

うん...音符くんにやったら、何されてもええよ

寧さんの瞳は虚ろながらも、受け答えははっきりしていた。 でも、こんな状態の寧さんを抱くのも、気が引ける。

天ケ瀬むゆ

じゃあ、【魅了】を解くね

上原音符

え、もう解いちゃって大丈夫なんですか?

天ケ瀬むゆ

あれ?もしかして音符くんてこういう状態の
ぽぽを抱きたい人だった?

上原音符

い、いやそういうわけでは...

興味ゼロかと言われれば、そうではないのだが。

天ケ瀬むゆ

安心して。【魅了】されたときに
刻まれた【お話】は、解けた後にも
影響するから

天ケ瀬むゆ

じゃあ、【解除】っと

先斗寧

...音符くん

先ほどとは違い、瞳に光が戻った寧さん。 だが、それと同時に、頬を赤らめ、息を少し荒くしている。 何かを躊躇うように、こちらをじっと見つめてくる。 僕よりすこしだけ背の低い寧さんは、上目遣いだった目を閉じて、 小さな口を開いた。

先斗寧

え...ええよ...

先斗寧

なに、しても...

上原音符

ね、寧さんっ...!

恥じらいながら、スカートの裾をたくし上げる寧さんの姿に、 僕はもう躊躇うことはなかった。 寧さんの華奢な身体を持ち上げ、リビングのソファに押し倒した。 むゆさんは気を利かせてくれたのか、むゆさんと四葉さんの分の朝ごはんを おぼんに載せ、「ごゆっくり~」と言って二階へ向かった。

上原音符

寧さん、服、脱がせます

先斗寧

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