瑠流
....
瑠流
....
瑠流
...は?
雀
助けてもらった恩があるから返したいってところまでは分かった
雀
でも何もできないから、せめて自殺を見届けたい?何それ、それのどこが恩を返せてんの?
雀
意味分からなすぎて笑えるよ
瑠流
馬鹿にしないでよ‼︎
雀
馬鹿にするでしょ、そんな話
雀
本当に恩を返すって気があるなら自殺を止めるとかそっちの方向に持ってくべきなんじゃないの?
瑠流
そんなの...私のエゴを押し付けるようなものだよ...
雀
頭が固いな...どうしたら分かってくれるのかなー...
遊
....
遊
時間がもったいないから、私一人だけで開けちゃうよー?
雀
...何を?
瑠流
蛇ヶ崎さんからのプレゼントだよ
瑠流
“約束”がお互い最後まで守りきれたら、プレゼントを渡すっていう決まりで...
瑠流
プレゼントはどんなものでも絶対に貰うんだよ
すると風祭さんは白い封筒から 手紙を取り出すと静かに目を通した。
雀
ねぇ瑠流...今ならまだ間に合う
雀
こんなことやめて、私と一緒に行こ?
瑠流
雀が“こんなこと”って思っていても、私にとっては大事なことなの‼︎
瑠流
だからもう放っておいt
遊
何これ...は?
瑠流
?
遊
オカシイって...え...何で...
瑠流
...どうしたの?
遊
ああああああッッ!!??
瑠流
ッ⁉︎
雀
な、何⁉︎どうしたの⁉︎
突然、風祭さんは 声を枯らすほどの大声を上げた。
そして力が抜けたのか 手紙を地面に放り投げると 屋上の扉に向かって ゆっくりと歩き始めた。
瑠流
えっ、ちょっ、どうしたの風祭さん‼︎
遊
....
雀
手紙になんて書いてあったの?
私は地面に落ちた手紙を 声に出して読み上げた。
雀
「遊、心のこもったプレゼントありがとう」
雀
「何も返せるものがないから、せめて」
雀
雀
「遊は“アタシの分まで生きてくれ”」
雀
「それだけでアタシは悔いなく死ねるよ」
瑠流
それって...
雀
こんな文言だけで風祭さんは死ぬのをやめたの...?マジ?
瑠流
風祭さんは蛇ヶ崎さんとの“約束”を頑なに守っていたから、このプレゼントは恐らく受け取る筈...
すると瑠流は先に屋上から 出て行った風祭さんを 追いかけに行った。
屋上前 階段
瑠流
待って、風祭さん‼︎
遊
....
瑠流
本当にこれで終わりでいいの⁉︎
瑠流
本当に死ななくていいの⁉︎
遊
だって...茜がそう言ったから...
瑠流
今まで“約束”を守ってきたのは分かるけど、流石にこんな結末は納得できないでしょ⁉︎
瑠流
ずっと死にたいって言ってたじゃん‼︎死ぬのを見届けてほしいって言ってたじゃん‼︎
瑠流
それは全部嘘だったの⁉︎
遊
...プレゼントなんだから、しょうがないでしょ?
遊
だから私は死なない分、今後の人生は死んだように生きるよ
遊
何事にも興味を持たず、何の感情も抱かず、ただただ息をしてる
遊
それだけの人間になるよ
遊
もう、ルルちゃんにも会わなくなるから
遊
じゃあね
そう言い残すと 風祭さんは一切 振り返ることなく 再び歩き始めた。
瑠流
そんな...
雀
で、でも結果的に死ななかったんだし?まあ、良かったじゃん?
瑠流
そんなの...‼︎
「納得できないよねー」
瑠流
えっ?
瑠流の言葉を遮るように “何か”が私達の間を通り過ぎた かと思った次の瞬間だった。
トンッ
と“その人”は風祭さんの 背中を軽く押した。
遊
へっ?
それは瞬きの間の出来事だった。
目の前を歩いていた筈の 風祭さんが勢いよく 階段から落ちていったのだ。
最初、私は何が起こったのか 全く理解ができなかった。
でも体は風祭さんの方に 向かっていた。
雀
風祭さんッ‼︎大丈夫ッ⁉︎
遊
いっ...
目視だけだが 左足首を捻ったようで そこを手で押さえていた。
私は風祭さんを抱き寄せ すぐさま階段上の人物を 睨みつけた。
雀
あんた、何...考えて...
瑠流
どうして...あなたが...
瑠流
瑠流
桃音さん‼︎
桃音
やっほー、ルルンもスズメンも元気だったー?
雀
何で...どうして風祭さんを突き落としたんですかッ⁉︎
桃音
えー?だって...ムカつくから?
雀
ムカつくって...
瑠流
どうして校内にいるんですか⁉︎
桃音
えー?そこに学校があったから?
その時、下の階から 階段を駆け上がる音が聞こえ 私達が安心できる顔が現れた。
刹那
これは...どういう状況ですか?
雀
刹那さん‼︎
桃音
あれ?どうして刹那がここにいるの?
刹那
逆にどうしてあなたがここにいるんですか?
桃音
質問を質問で返さないでほしいんだけどなぁ...
刹那
確かにそうですね、失礼致しました
刹那
では、まず私があなたの質問にお答えいたしましょう