ヴィクターは重い瞼をゆっくり開いた。
体全体を支配する倦怠感が再び押し寄せてくる。
誰かが口論でもしているのか人の声が聞こえてくるが、
離れた場所でしているようで内容までは分からない。
仮に聞こえたとしても、頭がぼんやりする今の状態では、
内容を理解するのも難しかった。
なんとか意識を集中させてから、ヴィクターは体に違和感があることに気付いた。
ヴィクター
木製の椅子に腰掛け、両手首は後ろに回されロープでキツく縛られている。
それもかなりきつくである。
無駄な抵抗と思いつつ体を揺するが、
木製の椅子は今にも壊れそうな音をギシッと立てたものの、
ただの揺さぶりだけで壊れるほど脆くはなかった。
諦めて室内を見回す。
天井の豆電球のみが唯一の明かりで、それ以外は闇が広がっている。
なんとなく錆の臭いがしたし、冷気も漂っている。
ヴィクター
突然、額にヌルッとなにかが流れたような気がした。
ヴィクターが少し体を屈めると、床に一滴、二滴と血がポタリと落ちた。
それから襲いかかる痛み。
ヴィクター
そこでようやく、ヴィクターは額に怪我を負い出血していることと、
いきなりトレーラーが自分とジーナが乗っていた車に激突したのを思い出した。
額の傷はそのときに切ったのだろう。
ヴィクター
薄暗い部屋の何処からか音がし、1人の男が目の前に現れた。
ヴィクター
ヴィクターは苦笑を浮かべながら、目を細めて男の顔を見た。
男、マックス・アンダーソンもお返しとばかりに笑いを浮かべ、
マックス
マックス
マックス
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
マックス
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクターはあえて挑発するような口調で言葉を発した。
が、マックスは意に介せず、ただ微笑を浮かべてだけだった。
マックス
マックス
ヴィクター
マックス
ヴィクター
マックス
ヴィクター
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
ヴィクター
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
ヴィクター
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
ヴィクター
マックス
ヴィクター
ヴィクター
マックス
マックスが表情を歪めてヴィクターの顔を殴り付けた。
頭の痛みも重なり、ヴィクターは一瞬意識が遠退いた気がした。
マックスは明らかにイライラしていた。
ヴィクターに計画が邪魔されたことへの怒りもあるが、
それとは別に、かすかな狼狽もその表情から感じ取れた。
ヴィクター
マックス
マックス
マックス
ヴィクター
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
ヴィクター
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
ヴィクター
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
ヴィクター
マックス
マックス
ヴィクター
マックス
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
ヴィクター
ヴィクター
マックス
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
と、ヴィクターはわざとニヤッと挑発的な笑みを浮かべた。
マックスは自分の行いが正しいという自負を抱いて犯行を繰り返していた。
いずれ、警察に自首し事実を打ち明けるつもりとも話していたが、
ヴィクターはこれっぽっちもその言葉を信じていなかった。
あえて彼の心を逆撫でさせることで、その意思を間接的に伝えていたのだ。
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
と、ヴィクターは苦笑して見せた。
マックスは笑われるのが心底嫌なのか、睨むようにヴィクターを見ていた。
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
マックス
マックスがまた殴り掛かろうとした途端、何処からかドアの開く音がした。
ヴィクターは額から流れる血を振り払うように首を振った。
薄い暗闇からジーナが姿を現した。
2020.03.29 作
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