朝、目を覚ますと涙を流している

そういうことが時々ある

また、あなたの夢を見た

いつだっけ

あなたと出会ったのは...

確か、今のような雨の日だった

小さい頃、私は雨が大好きだった

お気に入りのカッパに長靴

歌を歌いながら

公園に向かった

どれくらい遊んだだろうか

いつの間にか雨が強くなっていた

屋根で雨宿りしよっ

さっきまでのテンションは どこにいってしまったのだろう

長靴の中にも雨が入ってきて

カッパもびちょびちょ

いつのまにか

眠りについていた

目を覚ました時にはあなたの家にいた

一番最初にあなたの顔が見えた

まだ私は小さかったため なんと返せばいいかわからなかった

くれたのは

あったかい…

ココアってこんなに 美味しかったっけ…

私はどうしても家に帰りたくなかった

私の家はお金持ちで

お父さん、お父様は会社の社長

お屋敷のような家に住んでいて 執事も何人かいる

私は家にいる人全員が嫌いだった

たった1人、 執事の原田さんだけを除いて…

原田さんだけが私に優しくしてくれる

他の人たちは私をいじめる

このドレスを着なさい

さっさと車に乗りなさい

私だって遊びたい

周りにいる子たちが 羨ましくてたまんなかった

だから雨の日だけ お屋敷から抜け出して遊んだ

あなたはなぜか悲しい顔をした

ピーンポーン

じゃあね

心の中で、そう呟いた

次、目が覚めた時には 自分のベッドの上にいた

原田さんは優しいな…

いつのまにか雨はすっかりやんでいた

元気よく遊んでいる 子供の声が聞こえる

私も普通の子に生まれたかった

早く雨、降らないかな

あの人と遊びたい…

私の遊び相手は 原田さんだけ

そう思ってた

でも今はあなたもいる

雨が降ったら

家を飛び出していきそうだ

ガチャ

やっと雨が降った

あの人、来てくれるかな？

大好きなあの人に会えるんだ

？

大好きな…人？

名前、なんだろ

ドキッ

この時翔太くんが 大人っぽく見えた

なんで気づいていなかったのだろう

この時、あの人に 気づかれていたなんて

ガチャ

パシッ

ガチャ

そういって部屋を去った

すでに結婚相手が決まっている

外にも出られない…

なんで今気づいたの

あの人と私は結ばれる運命 じゃないんだってこと…

数日後

トントンッ

ガチャ

笑った…

この時思った

ちょっとおっちょこちょいで 面白そうな人だな、と

でもわたしにはあの人しか…

翔太くんしか…

このまま沈黙が続き、 気まずい空気になった

ガチャ

なんだよ……

もう、やだ

引っ越したら 原田さんがいなくなる

翔太くんとももう会えない

ここで嫌と言ったら 酷い目にあいそうだったから

「はい」としか言えなかった

どうすればいいの…

雨が強くなってきた

もしかしたら 翔太くんがいるかもしれない

原田さんの満面の笑み、 久しぶりに見た

原田さんはいつでも優しい

私は家を飛び出した

ギュッ

ギュッ

ドキッ

今、瑠璃って…

バチンッ

チュッ

私も大好き

ありがとう

今、あなたは 何をしているんだろう

こんな昔のこと、 思い出してもどうにもならないのに

でも雨が降ったら必ず 思い出してしまう

今では雨が嫌い

あなたを思い出すから

あなたを思い出すたびに

思い出したらダメ

そう思い、胸が締め付ける

でも、好きなんだ

大好きなんだ

ありがとう。

ありがとう。。