最初からあんな羽ではない
記憶はないけれど
ほんの少しは覚えてる
誰かから
幸せの羽をもらった
自分は貧乏だった
親は死んだ 一人ぼっち
何も食べるものがない
ずっと見えない場所に座っていた
黄金
………あれ
ある日、黒い翼が生えた
確か不幸を呼ぶ噂…
自分はもう不幸
近くにいた人や通行人の人も来なくなった
不幸がうつるからね
黄金
今日もなにもない
黄金
もう死ぬ……
??
大丈夫?
黄金
え…?
綺華
私は綺華(あやな)
綺華
その羽は不幸を呼ぶ翼
綺華
嫌じゃないの
黄金
…嫌だよ
黄金
もう…
消えたいよ…
綺華
ちがうよ
黄金
えっ!
綺華
消えるのはその深黒の羽の方だろう
黄金
そう…なの?
綺華
私は羽を与えることができる
綺華
今までの記憶はなくなるけれど
綺華
君になら…
あげていいよ
黄金
…!本当?
黄金
でも君の羽はどうなるの
綺華
私の羽の色が消えて灰色になるんだ
綺華
そしたらもう羽は与えられない
綺華
でもその代わり君にその能力もあげる
黄金
えっ?
綺華
だからそれで皆を幸せにしてあげて
綺華
じゃあまたいつか
黄金
ちょっとまって!!
黄金
いつ羽をくれるの?
綺華
…ご…
黄金
?え?なんて?
なにかを言い残してあの女の人は二度と現れることはなかった