数日後、今日は新曲のダンスレッスン。
スタジオの扉を開けると、すでに何人かのメンバーが集まっていて、もーりーくんがニヤニヤしながら雑誌をめくっていた。
もーりー
おっ、来た来た〜ふみふみカップル!
楓弥
っもう!やめてくださいよぉ…!
思わず声が裏返った俺に、 スタジオの空気がパッと明るくなる。
ケビン
見た見た〜?この対談!“家族みたいで、でも特別”だってよ?言うじゃん!
愁斗
ふみくんさ、こういうセリフ自然に出てくるのやばいっすね〜
しゅーとくんも悪ノリで笑ってる。
聖哉
あ、まさか本気だったりして〜?
今度はせいやくんまで加わってきた。
からかい口調だけど、ちゃんと空気を読んでる優しい笑い方。
楓弥
ち、違うから!あれは、演出で…!
慌てて手を振る俺に、せいやくんはわざとらしく「ふ〜ん?」と首をかしげる。
そのとき、壁にもたれかかってスマホをいじっていたふみくんが、ふっと笑って口を開いた。
史記
まぁ、“演技”でも、伝わればOKってことでしょ
その一言に、 周りの笑い声がふわっとまた弾ける。
でも、俺は。
そのふみくんの言葉が、 少しだけ胸の奥をくすぐる感覚がして。
楓弥
(演技…だよな。ちゃんと、分かってる。だけど――)
冗談みたいに飛び交う言葉たちのなかで、俺の中の“何か”が、少しずつズレ始めているのを感じていた。