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レッスンが終わって、メンバーが次々にスタジオから出ていく。
最後に軽く伸びをして、俺も荷物をまとめるフリをしながらスマホを開いた。
SNSの通知がバンバン鳴ってる。
この前の2ショット、
ファンの間では “ふみふみカップル、 マジじゃん” って盛り上がってる。
——まぁ、狙い通り。
俺は画面をスクロールしながら、何度もタグ付きの投稿をチェックした。
「リアルすぎて泣いた」とか、 「楓弥くんの照れ顔、 絶対演技じゃないでしょ」 ってコメント。
…演技だよ。 ちゃんとわかってる。
けど、あいつのあの顔は、 演技だけじゃない気もして。
正直、最初はこの戦略に乗るつもりはなかった。
グループのためとか、 スタッフの期待とか、分かるけど。
けど、あの会議室で、 隣にいた楓弥が不安そうにしてて。
でも真剣に受け止めようとしてるのがわかって……。
気づいたら「やります」って言ってた。
…楓弥は、ほんとに素直だ。
顔に出やすいし、反応がわかりやすい。
さっきも、せいやたちにからかわれて、顔真っ赤にしてたし。
あの反応見てると、 俺の方が変になりそうになる。
……本気じゃない。 そう思ってるはずなのに。
気づけば、カフェで撮ったあの2ショットの写真を開いていた。
俺の横でドリンクを持って、 戸惑ってる楓弥。
あの表情、何度見ても飽きない。
史記
ポツリと声が漏れた。
楓弥のことをからかってるつもりで、 ちょっとくらい揺さぶっても平気だと思ってたのに。
今、揺れてるのは俺の方かもしれない。