雨の日の殺人鬼

─朝

母さんが心配そうに言う

母が言っていた通り

六時間目が終わる頃に急に

ザーーッ

大雨が降り出した…。

帰り道

友達と別れたあと

ザーーッ

雨はまだやまず＿

世界の音が消されるように

傘に落ちる雨の

ボドッ

という音で背筋が凍りそうになった。

私は……死ぬんだろうか。

さっきから

私と同じように歩く靴の

コツ

コツ

という音が雨の音に混じり聴こえてくる……。

後ろを振り向いたら駄目な気がした。

こんな状況でこんなことを考える私は馬鹿だと思うけど、

私の後ろをずっと歩いて、付いてくる者が

ストーカーとか変質者なら

まだマシだ。

刃物を持ってないなら

殺人鬼じゃ、殺人犯じゃないなら

私は死なないから。

そんなことを考えていたら

雨が段々と静まり

音もいつの間にか消えていた＿＿

深呼吸をし

咄嗟に後ろを振り向いた私……

私が見たものは

ちょうど何者かが角を曲がり終わった所だけ。

私はあまりの恐怖に傘を持たずに帰った。

でもね…

あの時に何者かが電灯に当たって 姿が下半分だけ見えた。

いや……

下半身しか無かったんだ。

私は気になってネットで

「雨の日 下半身」

と調べて見たんだ。

すると、あるサイトを見つけて…

『都市伝説サイト』にそれはあった。

その何者かは女の霊で

体は下半身しかなく、雨の日に現れる幽霊。

傘をさしてないで歩いていると

首を掻き切られてしまうらしい。

傘をさしていれば襲われないが、止まったり、後ろを振り向いたりすれば

悲鳴を上げる暇もなく…一瞬にして

両足を斬られてしまうらしい。

そして、雨の日に現れることから

その女の霊はネット上でこう呼ばれている。

『雨の日の殺人鬼』