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見えない君と視えない僕

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見えない君と視えない僕

3 - 第3話

♥

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2023年11月10日

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スマイル母

スマイル

スマイル

スマイル母

手紙来てるわよ

スマイル

俺に……?

スマイル母

……これ母さんが仕事に行ってる病院からじゃない

スマイル

誰から?

スマイル母

えっと……

スマイル母

「きんとき」って書いてあるけど

スマイル

は?

スマイル母

読もうか

スマイル

……うん

スマイルへ

まずは、ごめん

騙すつもりはなかったんだけど 結果騙したような感じになっちゃったね

でも俺はまだ話し足りないんだ もっと、話したい

俺のことについて 話さなきゃいけないことも、 知りたいことも、 たくさんあるでしょ?

2人だけの秘密の話がしたいんだ

きっとこの手紙は 君のお母さんが読み上げてるだろうし、 少し恥ずかしいから、直接ね。

今度はスマイルが会いに来てよ

自分勝手でごめん

来れる時でいいよ 心の準備ができてからで。

白尾大学病院、709号室で 待ってます。

きんとき

あ、やっと来た

スマイル

……

スマイル

どういうつもりだよ

きんとき

ごめんね

きんとき

俺、この体じゃ外出できないんだよね

スマイル

もっとほかに言うことあるでしょ

きんとき

ん?

きんとき

あー、えっと

きんとき

今日も綺麗な顔してるn

スマイル

違う

きんとき

……

スマイル母

きんとき君?

きんとき

すみません、2人にして貰えますか?

スマイル母

わかった

スマイル母

何かあったら呼んでね

きんとき

ありがとうございます

スマイル

もう……何が何だか分かんないけど

きんとき

……

スマイル

お前は何なの

きんとき

俺はね、余命1年のしがない病人だよ

きんとき

ちなみに、手紙を書いた日が1ヶ月に及ぶ昏睡状態から目覚めた日だよ

スマイル

……

きんとき

今まで夜に外に出ていたのは、信じて貰えないかもしれないけど

きんとき

幽体離脱とでも言うのかな

きんとき

そんな感じで意識だけ外に出てたんだよね

スマイル

あー、えっと

スマイル

情報を整理すると

スマイル

きんときは1ヶ月昏睡状態に陥っていて、その間、幽体離脱ができるようになった。

きんとき

うん

スマイル

その時俺と会って話していて、1週間くらい前に昏睡状態から目覚めて俺に手紙を書いたってことでいい?

きんとき

完璧

きんとき

病気が進むにつれて起きれる時間が少なくなってきちゃって

きんとき

なんか1ヶ月眠ってたみたい

きんとき

面白いよね

スマイル

……はぁ

スマイル

余命1年って、いつまでだよ

きんとき

来年のこの時期かな

スマイル

……そう

スマイル

梅雨に入ったとか、今日は雨が降らないとか、わかんなかったのは

きんとき

本体が昏睡状態で、タイムリーな話題にはついていけてなかったからだよ

きんとき

でもびっくりしたな

スマイル

何に?

きんとき

スマイルのお母さんがここの看護師さんなんて

スマイル

俺の母親もびっくりしてたよ

きんとき

……

きんとき

今、俺、実体あるけど

きんとき

触る?

スマイル

え、さ、触

きんとき

なに、俺男だよ?

スマイル

…いやそう言うことじゃ

スマイル

あーもう、いいや

きんとき

わ、暖かいね

スマイル

(冷た……)

きんとき

……照れてんの?

スマイル

はぁ!?

きんとき

顔赤いけど

スマイル

は、いや、

きんとき

嘘だよ

きんとき

ごめんって笑

スマイル

……

きんとき

いてててて

きんとき

握るな痛い

きんとき

力強いって

スマイル

きんときも病人とか言う割には力強いよ

きんとき

俺のあだ名脳筋だったからね

スマイル

脳筋……

きんとき

あ、そうだ

きんとき

もし、次からも遊びに来てくれるなら

きんとき

言っておきたいことがあるんだけど…

スマイル

毎日でも来てやるよ

きんとき

……ありがとう

スマイル

で、何?

きんとき

ナースコールはスマイルの右手側の壁に掛かってるから、もし何かあったら押して欲しい

スマイル

うん

スマイル

わかった

きんとき

17時で面会時間終わるから

スマイル

母さんと帰るからそれまで大丈夫

きんとき

……そっか

スマイル

それに

きんとき

ん?

スマイル

明日も明後日も来ればいいだろ

きんとき

学校行けよ……

スマイル

元々不登校なんだから今更だよ

きんとき

なにそれ笑

スマイル母

あら、きんときくん起きれたの?

きんとき

今調子いいんですよ

スマイル母

良かったわね

スマイル母

……なんで手握ったまま話してるの?

スマイル

きんとき

忘れてた…

スマイル母

スマイル、明日もここに来るでしょ?

スマイル母

また明日もどうせ学校に行かないんだから

スマイル

……

きんとき

言われてやんの

スマイルが病院に遊びに来るようになって 早数ヶ月

そして

宣告された余命まであと半年

今までの不調は何処へやら すこぶる快調だ

でも、半年前より体重は減ったし 薬も増えた

でも 薬が増えた割には体調は良くならなくて

副作用で苦しむのも、無駄な気がして。

あと半年、

たったの半年。

ここまで入れ込んだんだ 何も残さずに手放しで死ぬなんて 無責任なことはやりたくない

俺が死ぬせいでスマイルの心に 傷をつけるようなことは絶対にしない

短い時間で、何が出来る?

俺は

スマイルに、何を遺せる?

おはよぉ

きんとき

おはようございます

どう?お薬増えちゃったし、副作用とか……

きんとき

あの

きんとき

俺、もうこの体に薬は入れません

きんとき

残り半年で、やりたいことがあるんです
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