紫は紅？

俺はスマイルを一旦普通に戻そうと声をかける。

すると、スマイルは幼児化のふりで返してきた。 …分かりやすいようにもう一度言おう。

スマイルは微かに顔を赤めている。理解出来なかった事が恥ずかしいようだ。

俺は少し気になっている事があった。それは、吸血鬼化できないという事は一時的に吸血鬼という種族ではなくなっているという事なのかどうかだ。 聞いて答えてもらっても何もないのだが…。 本当に気になっただけだ。

聞くと、スマイルは苦虫を噛み潰したかのような表情になる。 …悩んでいるみたいだ。

確かに…、スマイルはいつも少しだけ歯が尖っていたような…。 シャークんがギザ歯だから全然気にしてなかったな。 待って？それで言ったらシャークんが本当に人間なのか気になってきた。 ギザ歯って全部尖ってるし。

てか、スマイル今って言ってたよな…？もしかして、怪我した時とかには血が必要なのか？ 聞いてみよう。

そうかあ…。俺スマイルが死んだら嫌だなあ…。 じゃあ、俺が守ってあげなきゃね。 …あ、ちょっとあれやってみよ〜w

スマイルはからかわれたのに怒って俺の腕に噛み付いてきた。 ちょっと甘噛みなとこ俺の事考えてくれてるのかな？ …くすぐったいけど。

なんだそれ恥ずかしすぎる…。 …ちょっと待て。微かに歩く音が聞こえる…。

どうやらスマイルも気付いていたようだ。流石五感の優れた吸血鬼だな。

コンコン

扉を叩く音。 これまずいかもしらん。 俺は小声でスマイルに耳打ちをした。

あ、そっかここスマイルの部屋だった。 まじで忘れてた。 でも今スマイルは出れないから、俺が出なきゃいけないのか…。

スマイルはとても子供っぽく返事をする。 …全く、演技が上手いのもいいとこだ。

こういう事を考えている時間にもNakamuの事を待たせてしまっているので、俺は足早に扉へ向かう。そして扉を開けた。

やっぱりNakamuなら気付くよな…。ちょっとめんどくさい事になった。

ふと足元を見るとスマイルがくっ付いている。 やばい可愛い死ぬ。

俺はスマイルに優しく呼びかけた。

スマイルだと言った瞬間Nakamuは驚いた。 そりゃあもう、ケーキが辛かった時みたいな顔してて。

スマイルはNakamuを見上げて言った。 こいつ、小さい頃の記憶でもあんのかな…？ぱんださんて。

Nakamuはしゃがみ、手を広げて笑顔で「おいで！」と言った。 スマイルはそれに反応して無言でNakamuの方へ歩き、Nakamuの胸元に飛び込んだ。

なるほど…。望めばスマイルの声も聞こえるのか。 …脳信号送れば意思疎通できるかも。 ちょっとやってみよ。

お？行けんじゃね？ …ギリギリだけど。

うっわ…忙しそう。 俺がスマイルだったら死にたくなるかもしれん。

スマイルに記憶がなかったらやばい事教えてるぞ？ 記憶あるから大丈夫だけどさ。

幼児なのを忘れてまずい事を教えてしまったNakamuが面白くて、叱らなければいけないのに笑ってしまった自分がいる…。

扉の奥からBroooockの大きい声がする。 あ…やばい？

ガチャ

かわいーい！