one who is destined to be ..

黒 ﾒｶﾞﾈ ｵｼﾞｻﾝ はしてやったというように、勝気な余裕に満ち溢れる笑みを浮かべながら、奥のホームへと消えていった。

.. ｼﾞﾐﾅ と顔を見合わせ、止まった時がまた動き出す。

僕が ﾙｰﾃｨｰﾝ 、一式の流れを、止めたんだ、それも自分の力で。

そう思うと、少しが背筋が伸びるような気がするよ ㅋㅋ

ｼﾞﾐﾅ と駅のホームで待ち合わせて、その五分後に黒 ﾒｶﾞﾈ ｵｼﾞｻﾝ が ｽｶｳﾄ しに来るという、一式の流れ、ﾙｰﾃｨｰﾝ を、今日、僕が止めた。

それも、ｽｶｳﾄ を引き受ける事で。

例え、僕が俳優になろうと、大統領になろうと、神になろうと、ｼﾞﾐﾅ と僕の関係性はずっと変わらないでほしいな、とそんなことをぼんやりと思いめぐらせながら電車を待つ。

芸能界という見たことの無い世界に、どれだけ不安なのか。

この不安な気持ちを全て話してしまえば、幾分と気持ちが軽くなるんだろうけど、言葉を飲み込んだ。

少しだけ、黒 ﾒｶﾞﾈ ｵｼﾞｻﾝ の事務所で .. 頑張ってみようかな .. なんて思ったりもした。

電車が来た。

全ては、いつも通りで何の変哲もない朝だけれど、どことなく背筋が伸びるように、僕は深く息を吸い込んだ、空気はいつもと違っていた。

ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ ..

ん .. ﾁｬｲﾑ 音で目が覚める .. どことなく気分が軽い気がする。

一番前の席でも、眠いものは眠いんだ、しょうがない。

別に寝たくて寝ているものでもないのだから、と言い訳をするも、いつも通りｼﾞﾐﾅ に正論で返され、何も言えなくなる。

持つべきものは、ｼﾞﾐﾅ みたいな親友かなと、密かに思い、感謝するが、本人には言わない、どうせ言ったところで笑い飛ばされるだけだ。

でも、そんな ｼﾞﾐﾅ だからこそ、こんなにも長い間、一緒に過ごせるんだろうなと勝手に理解しておく。

無駄に長くて大きく、黒い高級車が校門の前に停めてあった為、学校の生徒からの好奇の目が刺さる ..

ｼﾞﾐﾅ にあっさりと裏切られ、車の後部座席に押し込められた。

ｶﾞﾗｽ 越しに ｼﾞﾐﾅ の含み笑いが聞こえるような気がして、ｼﾞﾐﾅ に怒っているという事を伝えるように軽く睨んだが、ｼﾞﾐﾅ は飄飄と手を振るだけ。

はぁ、ｱｲﾂ にはもう二度と飯なんか奢るか .. ｯ

ゆっくりと遠ざかってゆく ｼﾞﾐﾅ の姿を軽く睨みながら、車は学校や生徒を置いて、走り出す。

風のように移り変わるように、町の風景はどんどん変化してゆく、田舎の田畑ばかりの景色から、どうやら少しずつ都心に近づいてきているようだ。

黒 ﾒｶﾞﾈ ｵｼﾞｻﾝ に連れられてきたのはここ、よくわからない、とりあえずどこかの会議室のような風貌の部屋だ .

随分都会に来た . 黒 ﾒｶﾞﾈ ｵｼﾞｻﾝ は車を止め , 僕に会社を見せてくれたのだが , 想像以上に大きな ﾋﾞﾙ 棟を眼下にして , 実感があまり沸いてこなかった .

ｶﾞﾁｬ

こうして黒 ﾒｶﾞﾈ ｵｼﾞｻﾝ と会議室のような場所で一緒に待機していたのだが , 突然会議室に誰かが入ってくる ,

ｽｰﾂ をすらっと着こなした ﾀﾞﾝﾃﾞｨｰ な風貌の人 .. 名前を付けるなら .. ﾐｽﾀｰｱｺﾞﾋｹﾞ かな .. ?

自分で思いついたあだ名に苦笑する .. ㅋㅋ

ん .. しゃ , 社長 .. !? とりあえず頭を下げておかなければ .

社長 ? 言われてみればそのように見えるのかもしれないな , まさに高級そうな深みのある茶色の ｽｰﾂ , ふわりと ｶｰﾌﾞ かかった整えられた髪 , そして立派な顎鬚 .

突然言い放たれた"合格". 何だ僕は一体、いつの間に試験を受けたというのだろうか ..

首をかしげる僕をよそに , 社長は携帯電話を取り出し , 電話を掛け始めた .

突然振り向かれ,年齢を聞かれたので社長はそのまま話し続ける.

電話を切った後に僕と面と向かう .

目まぐるしすぎる展開にただ驚く事しか出来ない ,

ここでの運命が , まさか全てを変えてしまおうとは , この時はまだ思いもしなかった .

next ♡↝ 400.