左腕の次は全身
これは予想出来てたことや
けど一つ予想外なのは
今までとは違って痛くなかった
とても優しくて温かい何かに包まれてるような
そんな感覚やった
けど途端に全身の力が抜け
崖の端に居たこともあり
俺と俺の腕を掴んで離さない侑は
今立っていた地面よりとても深い
着地をしたら身体が砕けてしまいそうな地面の方向に倒れた
宮治
宮侑
角名倫太郎
銀島結
急速に落下していく俺と侑の体は
重力には抗えず
ただただ落ちていくだけやった
心のどこかで死を受け入れている中、
侑を巻き込んでしまったという罪悪感に襲われる。
けど、死んでしまえばなにもかも無くなる
忘れてしまう
おかんやおとん
侑や
バレー部の仲間
そう思うと
今までの思い出が
映画のフィルムのように頭の中に流れてきた。
侑との喧嘩
バレーを初めてやった日
初めて侑のトスでスパイクを打った日
ツム、サム呼びになった日
このバレー部と初めてあった日
バレー部のメンバーで試合に勝った日
この色々な思い出が
いつも俺の死を止めようとしてくる
そしてまた俺は
死にたくない
そう思ってしまった。
次の瞬間
俺と侑の体を
柔らかい何かが受け止めた。
その柔らかい何かは崖の側面に生えていた木で
その木が俺らの体を受け止めてくれたのだ。
たとえ柔らかくても葉に隠れた尖った枝が
俺の腕や脚に小さい擦り傷をつくる。
宮治
宮侑
俺が侑の下だったこともあり
侑の体にはなんの傷もなかった
その事に安堵したのも束の間
宮侑
今の状況を理解し焦り出す
そう
たとえ運良く木に着地したとしても
とても不安定で
バレーボールをやっている男子高校生二人が乗っていると
木が軋み
俺らが落ちるのも時間の問題
俺は
俺だけは
死んでもいい
そう思っていた
けど、侑に会って
角名と銀に会って
頭の片隅にあった死にたくないという思いが
大きくなってしまったんや
例え大きくなったとしても
この状況では
二人とも死ぬか
どちらかが死ぬかしかないやろ
木が折れて二人とも落ちたとして
俺が下敷きになれば
侑はまだ生きれるかもしれない
俺の頭の中は死にたくないという思いがあっても
どちらも助かる、という可能性は思い浮かばなかった
俺が下敷きになったとしても
侑は怪我をするかもしれない
大事な侑の身体を
将来プロになるような侑の身体を
傷つけてしまうかもしれない
考えれば考えるほどマイナスなことしか思い浮かばなくて
気づけば
俺は
侑と喧嘩しても
今まで言ってこなかった言葉が
口からこぼれていた
宮治
宮侑
宮治
宮治
宮治
この言葉を口に出すと
涙が溢れてきて
これで最後なんやと実感して
気がつけば
今まで極力言わないようにしてきた
侑の横文字の呼び名を
呼んでいた
宮治
宮治
宮治
宮治
宮治
宮治
宮治
宮侑
宮侑
宮侑
そう言ったツムの顔は
涙を流しながら
笑っていた
宮侑
宮侑
もう2024年になってしまいましたね 遅れてすみませんでした 私一話書くのに二週間以上かかるんですよ 言い訳になってないけど
このまま予定通り行けばあと一話 長ければあと二話で終わりです。 三月までには終わらせたいですね
それでは
コメント
2件
作品としても良すぎてめっっちゃ泣きましたし、今まで腐ばっか見てたけど感動みて純粋な頃に戻ったような気持ちになって泣きました