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非望の悪魔と不望の天使

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非望の悪魔と不望の天使

12 - [11] “彼”

♥

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2023年11月02日

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イロハ

元々私は、ただの天使の、そのまた端くれに過ぎませんでした。

イロハ

能力と言っても、前世の魂を引き継ぎ、猫の姿に化けることくらいです。

イロハ

その為、到底この“地獄”のような世間では、上手くやっていけるはずもありませんでした

こう見えて、イロハも昔、 かなり苦労してたのか……

イロハ

ですが、そんなところを拾ってくれたのが“彼”でした。

イロハ

道端で力尽きて倒れていた私を助けていただき、更にはこのように衣食住まで……。

イロハ

彼には、いくら感謝してもしきれません

今までずっと無表情しか見せなかった イロハが、少し表情を緩ませる

かなり自己中心的な性格に 見えるヤツだけど、意外とそんな 優しさもあったんだな

そらる

(まぁ、俺もあいつに助けられたわけだしな……)

イロハ

そしてホトは、その後私が拾って来て、同じように受け入れてもらった子で……。

イロハ

……あ

そらる

“あ”?

話の途中、ふとハッとした ような顔になるイロハ

それからすぐまた無表情になって、 こんなことを言われた

イロハ

申し訳ありません、聞かれていたのはご主人様のことでしたね。

イロハ

いつの間にか、私の話になってしまっていました

そらる

いや、別にまふまふのことも聞けたしいいよ

あいつにも、人を大切にする優しさが あるんだっていうのを知れたし

イロハ

それなら良いのですが……他には、何かありますか?

そらる

(他……)

そらる

……あ、そういやあいつ、何で歌い手始めたの?

少し考えて、何となく思いついた疑問

性格を偽ってるのは百歩譲って いいとして、何であんなやつが音楽に 興味を持ったのか少し気になった

イロハ

…………。

そらる

……?

イロハ

……分かりません。ただ、少なくともマフ──。

イロハ

っいえ、何でもありません。今のは忘れてください

何かを言いかけて、寸でのところで 口をつぐんだイロハ

そらる

(“まふ”……?)

イロハ

人間界にただ居ても、あの方には退屈だったのでしょう。

イロハ

トウマ様にとっては、ただの娯楽なのではないでしょうか

そらる

……? けど、その音楽が人救ってるんじゃ……

この前はそれを咎められて、俺の魂が 死神に狙われたはずなんだけど

イロハ

……さぁ。トウマ様にヒトの心が読めても、私には読めませんので。

イロハ

彼のことなら、やはり本人に聞くのが一番でしょう

……何だかさっきから、 答えをはぐらかされている ような気がする

これまで、あいつのことでいくつか 疑問に思ったことはあったけど……

そらる

(どうしても他人に知られたくなくて、あいつから口封じされてんのか……?)

従者天使って言ってたから、 主人に従うのは当然だろうし……

イロハ

何にしろ、貴方達はこれから永遠を共にする身です。

イロハ

例え今全てを知っても、きっとこの先つまらないでしょう。

イロハ

それなら、この永い過程の中で、少しずつ聞いていくのが良いのではないかと

そらる

……じゃあ、そうすることにする

これ以上は何を聞いても答えて くれない気がして、仕方なく身を引く

そらる

(そしたら、ここにいる意味も今日は特に無いな……)

そらる

そろそろ帰る。あいつによろしく伝えといて

イロハ

承知しました。気をつけてお帰りください

イロハ

…………

ホト

う〜、やっぱりお風呂はキライ……

イロハ

おかえりなさい。ちゃんと1人で入れたの?

イロハ

……って、髪の毛をちゃんと拭きなさい。床を汚したらどうするの

ホト

にゃ〜……姉様きびしい……。

ホト

……ってあれ、一ノ瀬彼方は?

イロハ

ついさっき帰られた。……全く、“強欲の悪魔”は……

ホト

姉様、あのヒトには何聞かれたのにゃ?

イロハ

ご主人が降りられた理由と、音楽と関わろうとした理由だけ。

イロハ

そんなことより、早く髪を乾かし……

ホト

にゃ?

ホト

じゃあ、“トウマ様の方の”ことは聞いてこなかったの?

イロハ

…………

ホト

あのヒト、トウマ様のこと知りたがってたくせに、変なやつだにゃあ……?

イロハ

……ホト、貴方の次の仕事が立て込んでいるのだけど

ホト

にゃあ!? さっき帰還したのにもうっ!?

イロハ

それが嫌なら口を慎みなさい

ホト

うぅ、はぁい……

イロハ

ところで、あのリボンは?

ホト

んにゃ? ……ああっ、“ご主人”にもらったリボンっ!

ホト

どーりで頭ににゃんか足りないと思ったら……!

イロハ

早く取って来なさい。……ただホト

ホト

にゃあに?

イロハ

何度も言っているけれど、私達の今のご主人は、トウマ様のみ。

イロハ

“彼”のことは、決して誰にも知られてはいけない。そうトウマ様に言われているでしょう

ホト

分かってるにゃ……ちょっとさびしいけど……。

ホト

……姉様だって、さびしいからそのリボンつけてるんじゃないのにゃ?

イロハ

……別に。

イロハ

ただ少し、耳元が寂しいだけ
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