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電車の中

三雲 梨那

……

沓木 賢太郎

……

三雲 梨那

……

沓木 賢太郎

……

三雲 梨那

……っ

三雲 梨那

なんで、いるの

沓木 賢太郎

言っただろ

沓木 賢太郎

方向、同じだって

三雲 梨那

……言ったけど

三雲 梨那

隣に立つのはわざとでしょ

沓木 賢太郎

三雲梨那

沓木 賢太郎

光葉高の生徒総数を知っているか?

三雲 梨那

え?

三雲 梨那

確か……1200人くらいだっけ

沓木 賢太郎

ああ

沓木 賢太郎

地方都市では、それなりのマンモス校だと言える

三雲 梨那

……それが?

沓木 賢太郎

下校する生徒も、それだけ多いだろう

沓木 賢太郎

さらに僕と三雲は、使う路線が同じ

沓木 賢太郎

同じ電車に乗り合わせる確率は

沓木 賢太郎

そう低くはないということだ

沓木 賢太郎

乗車率も高い。偶然、隣同士になっても

沓木 賢太郎

何もおかしくはないだろ?

三雲 梨那

……

三雲 梨那

(沓木って、何言っても)

三雲 梨那

(自分のペースに持ってくタイプだ)

三雲 梨那

(……黙ってよう)

ガタンッ

三雲 梨那

きゃっ

三雲 梨那

(強く揺れ……っ)

沓木 賢太郎

大丈夫か?

三雲 梨那

だ、だいじょぶ

三雲 梨那

(沓木、ひょろっとしたイメージなのに)

三雲 梨那

(しっかりと私を抱きとめて……)

三雲 梨那

(って)

三雲 梨那

ちょ、いつまで抱きしめてんの

沓木 賢太郎

大丈夫なら離すが

三雲 梨那

大丈夫って言ったよね?

沓木 賢太郎

そうか

沓木 賢太郎

……三雲

沓木 賢太郎

三雲は、失恋したことあるか?

三雲 梨那

え? ないけど……

沓木 賢太郎

そうか

三雲 梨那

……

三雲 梨那

(ってなに、今の質問)

沓木 賢太郎

僕もない

三雲 梨那

……そう

沓木 賢太郎

……

三雲 梨那

……

三雲 梨那

(何この会話)

沓木 賢太郎

僕は

三雲 梨那

はいっ!?

三雲 梨那

(やだ、話し続いてたの)

三雲 梨那

(突然で、声が裏返っちゃった)

沓木 賢太郎

僕は、失恋してみたいんだ

三雲 梨那

……?

沓木 賢太郎

君もそうだと思うが

沓木 賢太郎

僕は今まで、喪失を経験したことがない

三雲 梨那

喪失?

沓木 賢太郎

ああ。失恋だけでなく

沓木 賢太郎

強く欲しいと願ったものを

沓木 賢太郎

手に入れられなかったこともなければ

沓木 賢太郎

大事なものを、無くしてしまった経験もない

三雲 梨那

ふぅん

三雲 梨那

(私も、そういう経験はないな)

三雲 梨那

(パパはなんでも買ってくれるし)

三雲 梨那

(ママは口うるさいけど)

沓木 賢太郎

人として、マズいと思わないか?

三雲 梨那

は?

沓木 賢太郎

僕は、もっと人間的に成長したい……

沓木 賢太郎

だから、失恋をしてみたいと思う

沓木 賢太郎

自分ではどうにもならない

沓木 賢太郎

『限界』を知ってみたいんだ

三雲 梨那

(わかる、ような、わからないような)

三雲 梨那

……だったら、誰かと付き合ってみれば?

三雲 梨那

恋してみたらいいじゃん

三雲 梨那

そのうち、失恋できるかもよ

三雲 梨那

(いくら秀才で、顔が良くても)

三雲 梨那

(沓木って変人すぎる)

三雲 梨那

(恋愛してみれば、絶対、失恋できるでしょ)

沓木 賢太郎

好きになる相手がいない

三雲 梨那

……

三雲 梨那

(私を好きってわけじゃ、ないんだよね?)

三雲 梨那

ねぇ、なんで、私に絡んでくるの

三雲 梨那

女除けしたいのか、したくないのか

三雲 梨那

どっち?

沓木 賢太郎

女除け……?

沓木 賢太郎

なるほど、その発想はなかった

沓木 賢太郎

三雲といれば、そういう効果もあるんだな

三雲 梨那

(……あのね)

沓木 賢太郎

三雲は顔も頭もいい

三雲 梨那

え?

三雲 梨那

突然褒めても何も……

沓木 賢太郎

僕がフる相手として、不足はない

三雲 梨那

(んんっ?)

三雲 梨那

何言ってんの?

三雲 梨那

私は別に、沓木を好きなわけじゃ……

三雲 梨那

それに失恋したいのは、沓木のほうでしょ

沓木 賢太郎

三雲も失恋したほうがいいぞ

三雲 梨那

だから、別にしなくていいって!

沓木 賢太郎

僕に恋してみろ

三雲 梨那

するわけないし

沓木 賢太郎

だが三雲は、僕に興味を持ってる

三雲 梨那

はぁ!?

沓木 賢太郎

君の周りには、今までいなかったタイプだろう

三雲 梨那

それはそうだけど

三雲 梨那

(沓木が変人すぎるだけでしょ)

三雲 梨那

沓木を好きになんて、ならないから

三雲 梨那

私、ここで降りる!

沓木 賢太郎

そうか。気をつけて帰るんだな

三雲 梨那

……

次の日

昼休み・2-D教室

水島 茗斗

ZZZ……

2-D・女子B

茗斗くんー、め・い・と・くーん

水島 茗斗

むにゃ……うーん

水島 茗斗

なんだ?

2-D・女子B

なんだじゃないってば

2-D・女子B

茗斗くん、珍しく朝から登校してるのに

2-D・女子B

ずっと寝てるじゃん

水島 茗斗

それが?

2-D・女子B

あたしをほっとかないで、って言ってるの!

水島 茗斗

……は?

2-D・女子B

ほら、早くお昼食べに行こ

水島 茗斗

引っ張るなって

水島 茗斗

てか、なんで君と食べるの?

2-D・女子B

は?

2-D・女子B

付き合ってるんだし、当然じゃん

水島 茗斗

付き合ってる……

水島 茗斗

……

水島 茗斗

いや、俺、君を彼女にした覚え、ないわ

2-D・女子B

ハァ!?

2-D・女子B

何言ってんの、茗斗くん

2-D・女子B

ハグしてくれたじゃん!

水島 茗斗

誤解させたんなら悪いな

水島 茗斗

でも、そーいうことだから

2-D・女子B

ちょっと茗斗くん!

水島 茗斗

俺、昼はいいわ。とにかく寝かせてくれ

2-D・女子B

ちょ……っ、茗斗くんってば!!

佐崎 繭

……

2-D・男子C

あーあ

2-D・男子C

水島、いつか刺されるぞ?

2-D・男子A

だよな

2-D・男子B

……チッ

2-D・男子B

たまには痛い目みればいいんだよ

水島 茗斗

……目が冴えちまった

水島 茗斗

はぁ。購買でも行くか

佐崎 繭

……

水島 茗斗

ん?

佐崎 繭

(えっ)

水島 茗斗

あれ、君も俺に用がある?

佐崎 繭

いっいえっ

佐崎 繭

(見てるの気付かれちゃった!)

水島 茗斗

そう?

水島 茗斗

あ、君も購買行く?

佐崎 繭

佐崎 繭

い、いえっ、私はお弁当があるのでっ

水島 茗斗

へぇ……、可愛いお弁当だね🎵

佐崎 繭

えっ、あ……あの

2-D・男子A

水島ぁー

2-D・男子A

地味子ちゃんからかうの、やめなって

2-D・男子C

真っ赤になってるじゃん

2-D・男子A

これ以上、女子を惚れさせるなって

佐崎 繭

あ……あのっ、わたしは、別にっ

水島 茗斗

じゃーね、佐崎さん

佐崎 繭

(! わたしの名前)

2-D・男子C

……あー、これは惚れた

2-D・男子A

惚れたな

2-D・男子C

また水島が惚れさせてしまった

2-D・男子B

ケッ

佐崎 繭

(どうしよう、恥ずかしい)

佐崎 繭

(でも今、教室出て行くのも、あからさまだし)

佐崎 繭

(ううっ)

佐崎 繭

(早く昼休み、終わってほしい……)

昼休み・裏庭

三雲 梨那

……!

三雲 梨那

(この新作のパン、おいしい……)

三雲 梨那

(また買ってみよう!)

ガサッ

三雲 梨那

(! 誰か来た)

沓木 賢太郎

三雲か、奇遇だな

沓木 賢太郎

隣、いいか?

三雲 梨那

よくない

沓木 賢太郎

即答だな

三雲 梨那

(てか絶対、偶然じゃないでしょ)

三雲 梨那

なんで、こんなとこに来るの

沓木 賢太郎

三雲こそ

沓木 賢太郎

いつも、植え込みの陰で昼食を?

沓木 賢太郎

ひとり侘しく、コンビニのパンか

三雲 梨那

悪い?

三雲 梨那

って、隣ダメって言ったじゃん!

沓木 賢太郎

言われたが、僕は了承してない

三雲 梨那

はぁ!?

ガサガサッ

水島 茗斗

あ……っ、と

水島 茗斗

先客がいたか

三雲 梨那

沓木 賢太郎

君は

水島 茗斗

おー、モテジョの三雲サンじゃん

水島 茗斗

それにこっちは、ガリ勉くん

水島 茗斗

そーいえば君たち、付き合ってるんだっけ?

失恋してみたい同盟

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コメント

13

ユーザー

タイプすぎてやばい

ユーザー
ユーザー

おぉ!何だこの展開はぁ! こっからまた新しく始まっていきそうな展開…✨ 続き楽しみにしてます!!

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