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゛これが私゛…?

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2024年05月29日

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『赤木 楓。私の名前だ。 私の記憶が消えるまであと1年しかないらしいので、ここに記録していきます。 もし誰かが見ることになっても、私が1人の人間に知られることが嬉しい。 私がいなくなっても誰も困りません。両親はいないから。 好きなものは飴。嫌いなものはトマトジュース。 まぁ、これくらいでいいですよね。 明日も書きます。』 彼女は日記を書き終わると病室のベットから見える窓から景色を眺めた。その景色はとても綺麗な青空が広がっていた。雲が一つもない、満遍なく澄み渡る青い空をずっと眺めた。 しかし、彼女は綺麗だとは思っていない。薄汚れた何かを見ているような虚ろな目で不安そうに外を見ている。その目は外の景色からすぐに逸らされた。まるで現実を受け入れたくないように。 『おはよう。 今日は雨ですね。頭痛がします。実は医師から少し悪化していると言われました。 彼は何も躊躇なく目を見て現実を突きつけてくるから、やめて欲しい 笑 明日もこうやって笑いたい。独りでも。』 彼女は二日目の日記を書き終わった後、また窓の外に映る景色を見る。でも、その目は昨日とは少し違っていた。目元が緩んでいた。さらに口元も頬が自然に引っ張られ少しの笑みをこぼしていた。 『今日は友人のカリンが来てくれた。漢字が難しいからカタカナで書いたの。そしたら、カリンは「私の名前くらいかけてたじゃん」って言った。書けていたけど面倒くさいから、良いよね。 あと、今日の出されたご飯がすごく美味しかった。また明日も食べたい。』 彼女は三日目の日記を書き終わると、すぐに布団に潜り誰にも見つからないように飴を口に頬張り、何度舐めても甘さが口に広がる感覚を目をぎゅっと瞑り、久しぶりだなと思い感じた。彼女は舐めていくたびに分かる味を味わいながら、「桃か?いや、リンゴ?」と推測を立てながら舐めるのも好きなのだ。 この飴は友人のカリンから、病院食は不味いでしょ、と看護師や医師に隠れて渡してくれたのだ。彼女はカリンにも感謝しながら味わった。 『おはよう。 あと1年もあるって書いたけど、短くなりました。もって5日しか無いそうです。 先生の嘘つきですね。本当は悲しいのだけれど、楽になれると考えると幸せなのかもしれないですね。あとすこしで私の記憶がすべてなくなるそうです 笑。なぜか笑いたくなってきてしまいました。日記も書けなくなりそうです。』 彼女は四日目の日記を書き終わると深呼吸をした。スーハー、スーハーと息をしているたびに目が潤んでいく。泣きたくないと頭を横に振ったけれど、彼女の目から涙がポツポツと雨のように流れ出てきてしまった。落ち着け、私、と思ってもそんな思いが勝つわけもなく思いっきり泣いた。泣かずにはいられなかったのだ。 少し落ち着いてくると横にある自分の手鏡を持って自分の前にもっていった。彼女の目元は赤くなっており、いつもの二重がどこかへ消えていた。そんな自分の顔を見て、ふっと軽く笑った。目は笑っていなくても彼女にとってはこれが精一杯の頑張りだった。 『おはよう。 今日はたいちょうがあまりよくない。 しにそうでこわい。わすれそうでこわい。わすれたくなくてこわい。』 『こわいこわいこわいこわいこわい。 しがちかづく。明日がくるのがこわい。』 『きょうはしらない人がきた にげた、あばれた。おこられた。 ないてた。なんで。なくの。 その人はかりんっていうらしい。 だれ?』 『にっきをみた。よめない。 ええごでもかいてるのだろうか。 そとがみれない。くらい。 うごけない。せんせいがわるい人になった。』 『たす〰〜-』 『始めまして。さや香です。 私は名前を変えたそうです。 前の人は赤木と言うらしい。 日記を見たが、全然私らしくない。 可愛さもない。綺麗さもない。 最後なんて走り書きしている。 本当に私なの?、消したい。 今すぐにでも。 さっき、カリナってやつが来たけど 私の友人なの?醜いあの子が。 だから言ってやったの。 あんたなんか私にふさわしくないって そしたら、楓変わったねだって。 私さや香なんだけど。 楓も望んでいるでしょ。 だって、それが私なんだから。』

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