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しずくさん▷想像力が豊かって褒めて下さるの、一番嬉しいです🥰 ありがとうございます🙇♀️
めちゃめちゃいい話でしたっ!! 想像力がとても豊かですね(❁´ω`❁) その学力分けて欲しい...(´;ω;`)
うん!卓球部🏓
私が緑さんと出会ったのは
蝉の鳴き声がうるさい、8月だった。
葉月
葉月
当時まだ4歳だった私は
公園に遊びに行ったときに、 お母さんから離れてしまって
迷子になったことがあった。
葉月
道をずっと、だらだら歩く。
どれくらい歩いただろうか。
奥の奥で、小さな、森を見つけた。
葉月
葉月
葉月
その森に引き寄せられるようにして、
私は森へと歩いていった。
葉月
葉月
葉月
私は森を、どんどん奥へと 進んでいった。
ある場所に来て、立ち止まる。
葉月
葉月
そこには、大きな大きな、 神さまのような木が生えていた。
葉月
大人の、優しそうな男の人。
緑さん
葉月
緑さん
緑さん
葉月
緑さん
緑さん
葉月
緑さん
緑さん
葉月
葉月
緑さん
緑さん
緑さん
緑さん
葉月
葉月
緑さん
緑さん
葉月
緑さん
ギュッと、まぶたを閉じた。
その瞬間、身体が風に包まれたような 感覚がした。
葉月
葉月
目を閉じたまま、大きな声で そう言った。
お母さんの声で、目を開けた。
お母さん
お母さん
葉月
目を開けたときには、 緑さんはいなくて
代わりに、お母さんと公園の風景が 目に映った。
葉月
葉月
緑さん
緑さん
葉月
緑さん
私は4歳だった頃から、毎日 この森へ遊びに来ている。
気づけばもう、あの時から10年の 月日が経っていた。
緑さんの姿は、10年前から 何も変わっていない。
さすがに私も、緑さんが人間じゃないことくらい分かっていた。
葉月
葉月
緑さん
緑さん
そう言って、緑さんは 嬉しそうに笑う。
私は緑さんが好きだ。
恋愛的な意味でなのかは、まだ 分からないけれど。
その内、この胸の温かさの正体も 分かるだろう。
葉月
葉月
緑さん
緑さん
葉月
葉月
葉月
葉月
緑さん
緑さん
緑さん
緑さん
緑さん
緑さん
葉月
面と向かってそんなこと言われるから
なんだか照れ臭かった。
緑さん
緑さん
葉月
動揺していたから、変な感じで 返してしまった。
まあいいか。
また明日、緑さんと話せるんだし。
私は笑顔でスキップをしながら、 森の出口へ向かって行った。
…そのとき。
お母さん
葉月
葉月
森の出口のところに、 お母さんが立っていた。
お母さん
お母さん
お母さん
…まずい。
ここは、秘密の場所なのに。
葉月
お母さん
お母さんは、変ににこやかな、 不気味な笑顔をしていた。
葉月
お母さん
お母さんと2人で、家へ帰る。
2人共家に着くまで、ずっと 黙ったままだった。
私はなんだか嫌な予感がして、
その夜なかなか眠りにつくことが 出来なかった。
朝。小鳥の鳴き声で目が覚めた。
階段を降りる。
葉月
呼んでも返事がない。
家全体をさがしたが、 どこにも見つからない。
葉月
気づいたら家を出て
森へと駆け出していた。
私が到着したときには
森の入り口はもう無かった。
あんなに沢山生えていた木は、 跡形もなく切られていた。
葉月
葉月
森の一番奥で、私と緑さんは いつも会っていた。
奥の奥へと向かって走り出す。
そこには、大勢の、木を切る 業者の人達と
それを離れて見ているお母さんの 姿があった。
葉月
葉月
お母さん
葉月
葉月
お母さん
お母さん
お母さん
葉月
葉月
お母さん
お母さん
葉月
葉月
葉月
私たちが言い合っている間に、 また木が切り倒されていく。
大きな大きな、
神さまみたいな木。
私はその木のことを、
いつからか緑さんだと確信していた。
その木に、チェンソーの刃が 当てられる。
葉月
葉月
私の心からの声は、チェンソーの 音にかき消された。
木が、倒れてゆく。
葉月
私は力無く、その場に崩れ落ちた。
あの出来事から一カ月経った。
私は活力を無くしてしまった。
葉月
葉月
葉月
あの森へと、足を運んだ。
あんなに生えていた木はもう、 どこにもない。
力無く、ふらふらと奥まで 進んでいく。
森の、一番奥。
あの神さまみたいな木が 無くなっていて、
荒れた地面だけが残っていた。
葉月
葉月
心の片隅で、緑さんは実はまだ 生きてるんじゃないかって
期待している自分がいた。
涙が溢れてきた。
その場にしゃがみ込んで、 うずくまる。
沢山泣いて、顔を上げたとき。
地面の真ん中に、
小さな芽が出ていることに気づいた。
葉月
芽は、風に吹かれてそよそよと 揺らめいていた。
葉月
泣いたまま、芽に向かって 笑顔を見せた。
芽生えた、新しい、命。
葉月
葉月
生えていた芽を、土と一緒に運ぶ。
あの場所よりも、もっと奥の方へと 歩いていった。
1時間、いや、それ以上 かもしれない。
沢山歩いて、たどり着いた場所。
そこに、芽の根っこを土で埋めた。
葉月
葉月
芽に背を向けて、家へと歩き出した。
太陽
俺は、今年から中学生になった 小泉 太陽だ。
絵を描きに、スケッチブックと 鉛筆を持って出かけたが、
途中で道に迷ってしまった。
太陽
道の奥の奥へと向かって歩き出す。
どれだけ歩いただろうか。
そこにあったものに驚いて、 目を見開いた。
太陽
太陽
太陽
ニュースとかでよく耳にする。
木が本当に不足していて、もう ほとんど自然が残っていないって。
樹齢1000年を超えるだろうか。
そこには
大きな大きな、
神さまみたいな木が
力強く、生きていた。