_____やってしまった。
ショックだった。彼が、イタリアが、イタリア王国が、...
…言いたくもない。
新聞の題名を見た瞬間、視界がぐにゃりと曲がって、
頭が真っ白になって。
…気がついたら、彼を、ここに連れ出して、拘束していた。
国民や政府の監視の中、どうやって彼を連れ出したかは覚えていない。
ただ、目の前に、監禁されている彼の姿が、あった。
しかも、監禁されているというのに、どうしてか本人は、
イタリア
…なんて言ってる。
どうやら『助けてくれた』と思っているみたいだ。
あまりにも、危機感がなさすぎないか。
まぁ確かに仲間であることには変わりないのだが...
ドイツ
イタリア
ドイツ
彼から『ドイツ、優しいんね〜』なんて声が聞こえた。
…違う、違うんだ。
きっと、貴方を今、こうして拘束しているのは。
きっと。
イタリア
あれから、ドイツがおかしい。
戦争から一旦帰ってきたら、急に泣き叫んだり、怒り狂ったり、壁や床を叩きつけたり。
そのせいで余計にぼろぼろになって...
苦しそうで、今にも壊れちゃいそうで。
痛々しくって...
今日はなんともなさそうだけど、
言うなら今しかないって思って、言った。
…多分、言ってほしくなさそうだけど。
でも、謝らずにはいられなかった。
イタリア
ゆっくり、ゆっくりと振り返る。
焦点の合わない瞳がこちらを覗き込む。
イタリア
イタリア
しょぼん。
そんな効果音がお似合いな顔と態度だったと思う。
場に沈黙が流れる。
なにも言われないのが少し怖くなって、彼に尋ねようとした。
________けど。
がたん。
急に、物が倒れる音がした。
耳を澄ませばドイツの呼吸音が荒れていて、
声に出さずとも怒りがこちらに伝わってきた。
ドイツ
イタリア
ドイツ
ドイツ
イタリア
…多分、人生で初めてドイツに恐怖心を抱いたと思う。
だってあれ、正常じゃない。
顔が涙で酷く荒れてる。瞳に生気がないのに、溢れて止まらない怒気が悍ましい。
怖い。
ドイツ
ドイツ
ドイツ
ドイツ
イタリア
怖くなって、彼の名を呼ぶ。
それでも収まりそうになくて、彼は続けた。
ドイツ
ドイツ
ぐちゃぐちゃな感情が、押し付けられるような感覚だった。
ぐちゃぐちゃで、ドロドロで、気持ちが整理できてなくて、
情緒が不安定な子供みたいで。
必死になって宥めようとした。
けど、手は不自由で。
口でなんとか説得しようとした。
でも、何を言えばいいか、よくわかんなくて。
迷ってたら、乱暴な手つきで...身体を押さえられた。
イタリア
所謂、床ドン?ってやつだった。
まぁ、状況が状況だから、恐怖が勝ってたけど。
困惑していると、口に何かが触れ、何かが入る。
______気がつけば、彼の顔が目の前にあった。
イタリア
息ができなくって、苦しくて、何度も背を叩く。
やっと離してくれたと思ったら、今度は衣服に彼の手が入ってきた。
イタリア
何度も何度も。
彼の名前を呼び、やめてと言った。
それでも。
________ioの声は、彼には届かなかった。
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