どうして、今俺は生きている?
俺に生きている意味なんて無いのに
なら、どうして死のうとしない?
自分自身が分からない
俺の身体なのに、 俺の身体じゃないみたいだ
何もやりたくない、考えたくない
でも考えてしまう
思い出してしまう
あの日の夜を
どうして、俺は''アイツ''を──
かたっ、
zm
扉の向こう側から物音がする
気付かなかった、
気配を察知する力は自信があるのに
気配が全くしなかった
だが確かに誰かがそこに居る
すると、ドアと床の隙間から 何やら白い紙が此方側に差し込まれた
横に少し長い長方形の封筒に赤色のシーリングワックスがよく映える
何もしたくなかった筈なのに
何故かその封筒に目を奪われた
いてもたってもいられず、手に取り
封筒の中を見てみると
便箋が何枚か入っていた
広げてみると
少しクセはあるが整った、とても綺麗な文字が並んでいた
見たことがある文字だと思った
何処で見たのだろうか、どこか懐かしさを感じる文字で
俺の目は自然と文字を追っていた
拝啓、感情の無い貴方へ。
''感情の無い''、か
ある程度は戻ってきたと思っていたんだがな
お元気ですか。
きちんと寝て、起きて、 食事をとっていますか。
あぁ、嫌なくらい生きようとしているよ
どうして貴方は閉じ篭もってしまったのですか。
誰にも逢いたくないんだ
誰とも話したくないし
この世界に居たくないんだよ
本当は形にしたい、自分の中に蠢く 想いがあるのではないですか。
あるよ、たくさん
誰とも話したくないのに 誰かに聴いてもらいたいっていう 馬鹿みたいな想いも一緒に
それなら、手紙で会話してみませんか。
上手く言葉に出来なくてもいいです。
長々としてもいいです。
嫌なこと、苦しいこと、 誰かに聴いてもらいたいこと、
少しずつでいいです
この便箋に綴ってみませんか。
きっと貴方の蠢く想いが軽くなります
明日のこの時間、手紙をドアの隙間に差し込んでおいてください
そのまた次の日のこの時間に返事を差し込みます
それでは、また後日。
手紙…か、
誰かに宛てて書いたこと…無いな
ましてや自分の思いを綴るなんて
でも、聴いて欲しい
俺のただの惨めな独り言になるかもしれない
一方的な愚痴になるかもしれない
それでも聴いて欲しい
教えて欲しい
俺自身にも理解できないこの想いを、
気持ちを、感情を。
でも、俺は便箋なんて持っていないぞ
これでは手紙を書きたくても書けないじゃないか
ふとこの手紙が差し込まれた扉の床との隙間を見てみると
ご丁寧に便箋と封筒も差し込まれていた
準備の良い奴だな
早速、返事を書いてみることにした
拝啓、何処かの誰かへ
死んでしまいたいと思っています
死んでしまいたいと思っているはずなんです
それでも今、息を吸って、吐いて
ご飯をちゃんと食べて
ぐっすりと寝て
ナイフは机の上に、手を伸ばせば届くところにあるのに
今この瞬間も生きているんです
それが、何故なのかすら分からないんです
こんな自分が嫌いです
行動が思考と合っていない自分が嫌いです
死んでしまえと思います
でも死ねないんです
どうしてなのか、貴方なら分かりますか
教えてください、私はどうしてしまったんですか
・
情けない
''我々国の脅威''が聞いて呆れる
俺は、何になったんだろう
手紙の差し出し人なら、応えてくれるだろうか
俺が見つかるだろうか
・・・・・明日が、早く来ればいいのに
コメント
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タイトル回収すきッッッ 頑張って学校行こ()
えー、好き。しかもタイトル回収