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深夜3時。 この時間になると世界からほとんどの音が消える。
窓を開け、蛍光灯を消して外の世界に耳をすませば 虫の声と風に揺れて微かに鳴る気の音が聞こえる。 しかし、そんな中、ほんの数秒だけ……別の世界がある。
虫の音も、木々のざわめきもどこかに消えてしまう。 まるで、この世から音が消えてしまったと思うかのようなその時に、 暗闇の中に何かがいる気がする。
そっと背中をなでるように、視線を感じる。 しかし振り向いても誰もいない。
何かすがる者が欲しくて灯をつける。 電灯の微かな音が鳴り、その視線はどこかに行ってしまった。
人は生命活動を終えると音を発さなくなる。 つまり、死ぬ。 完全なる沈黙には、死が這い寄って来るのだろう。
僕は少し恐れながらも、また電気を消した。 布団に横になり、暗い天井を見上げる。 自分の心臓の音を聞きながら、 この内なる騒音があれば大丈夫だろうと思って、 僕はゆっくりと……
目を、閉じた。