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コメント
1件
ねむさん、エピソード拝読しました!廃工場の静けさと、あの頃のままのカラフルな装飾の対比がすごくゾッとしました。ハギーワギーの笑顔が逆に不気味で…。閉じ込められて、遠くで物音がした瞬間、思わず息をのみました。元従業員の主人公が記憶をたどりながら進む、その視点がとてもリアルで面白いです。続きが気になります!🌷
重たい鉄の門を、俺はゆっくり押し開けた
ギギギ……という嫌な音が、静まり返った工場に響く
その瞬間、冷たい空気が身体を撫でた
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中は薄暗かった
外の曇った空よりも、ずっと暗い
電気は当然切れているらしく、 非常灯だけがところどころ赤く点滅している
俺は懐中電灯をつけ、ゆっくり奥へ進んだ
床には埃が積もっている
誰も歩いていない証拠みたいに
けれど、完全に廃墟というわけでもなかった
壁には色褪せたポスター
子供向けの派手な装飾
天井からぶら下がるカラフルな旗
『WELCOME!』
受付ロビーの正面の壁に、巨大なイラストが描かれていた
青い毛むくじゃらの体、長い腕
にっこりした大きな口の笑顔
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十年前は、ここに子供達の笑い声が響いていた
走り回る足音、おもちゃの音、従業員達の笑顔
それを知っているからこそ、今の静けさが異様だった
子供向けの明るい装飾が、逆に不気味に見える
まるで“笑顔だけ”がそのまま取り残されているみたいだ
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自然と笑いそうになって
その瞬間だった
ぐらっと視界が揺れ、急な耳鳴りがした
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足元が崩れる感覚
まずいと思った時にはもう遅かった、 身体に力が入らない
暗闇、意識が沈んでいく
「ずっと待ってるから」
「助けてください」
「お願いします」
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薄暗い天井
身体が冷たくなっていた
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頭が痛い
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外の景色を見て血の気が引いた
夜
真っ暗だった
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こんな場所に一晩なんて無理だ
急いで振り返り入口を開けようとした
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ビクともしなかった
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引く、叩く
鍵が掛かっている
外からなのか、中からなのか分からない
けれど確実に閉じ込められていた
静まり返った廃工場の中に1人
その時
カタン
遠くの暗闇から、何かが動く音がした
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閉じ込められたのは最悪だ
けど、パニックになっても仕方ない
入口の近くは、まだ比較的綺麗だった
埃は積もっているが、荒らされた形跡はない
奥の暗闇とは違って、 ここにはまだ“工場だった頃”の空気が残っている
受付のカウンター、 来客用のパンフレット、壁の案内板
十年前、毎日のように見ていた景色
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机の端に、一本のビデオテープが置かれていた
黒いラベル、白い文字
『SECURITY MESSAGE』
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近くには古いテレビデオが残っていた
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俺は埃を払い、半ば無意識にテープを差し込む
ガガッ――
映像は映らなかったが、 画質の悪い画像が画面に移った
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レイス・ピエール
軽い口調、どこか笑っているような声
けれど、その奥に妙な圧があった
レイス・ピエール
レイス・ピエール
ノイズが混じる
レイス・ピエール
レイス・ピエール
レイス・ピエール
レイス・ピエール
レイス・ピエール
レイス・ピエール
レイス・ピエール
レイス・ピエール
レイス・ピエール
レイス・ピエール
レイス・ピエール
レイス・ピエール
最後だけ少し低い声
そこでテープは終わった
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懐かしい名前だった
この映像は昔から流してた警告テープ
今の状況とは関係ない 警察も、警備も
十年前のあの日から全部止まってるはずだ
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だったら
あの手紙の差出人を探すしかないだろ
『私たちはまだここにいる』
もし、本当に誰かいるなら
この工場のどこかに
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俺は受付の壁に貼られた古い案内図を見上げた
色褪せた工場マップ
一般客向けの見学ルートだ
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工場裏区画
従業員専用エリア
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とはいえ、裏区画へ行くには まずメイン広場を通らなければならない
広場から各スタッフルームや 製造ラインへ繋がっていたはずだ
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俺は受付奥へ進む
俺はターンゲートを押して進む
『LET’S PLAY!』
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ギィ……と重たい音
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入口を塞ぐように、巨大な鉄製ゲートが下りていた
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頑丈そうなロック、その形にはどこか見覚えがあった
思わず顔をしかめる
プレイタイム社製の作業補助装置
正式名称は“GrabPack”
工場で働くスタッフ全員に配布される 便利な作業用装置として開発された
使い方はとっても簡単! 背中に装着して、左右のハンドを発射するだけ!
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10年前の苦労の毎日を思い出す
工場スタッフなら誰でも知っている万能装置 "GrabPack"
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俺は周囲を見渡した
入口から見て部屋は左右どちらにもあった
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俺は壊れかけの蛍光灯と懐中電灯だけを頼りに
廊下へ足を向けた