すまない先生
すまない先生はとある物が目に留まり、ゆっくりとした手つきで拾い上げる
片手で持てる、ケースのようなもの
開ける所が透明になっていて、外から中に入っているものが覗けた
中には、ドーナツ型の薄いものが入っていた
──────DVDディスク。
すまない先生
ブラック
ブラック
すまない先生
ブラック
ブラック
赤ちゃん
三人は揃って首を傾げた
こうなった理由は、少し前に遡る───
すまない先生
僕は泣き崩れていた
生徒に見せていい顔では無いのは頭で分かっているけれど… 瞳は涙をボタボタと流す事をやめてくれない
ギリリ、と爪が無意識に教卓を引っ掻く
自責の念、海より深い後悔、霧より重く染み付いた悲しさ____
その全てが、この3年B組に結集して膨れ上がっている気がした
すまない先生
すまない先生
物に当たりそうになるが、何とか堪える
これ以上取り乱したら、今残っている希望すら消えてしまいそうで。
傷みに傷んだ心を必死で抱えるしか───今の僕には出来なかった
もっと、辛いだろうに。二人は。
いくらすまないスクールで心身共に訓練していたとしても、たった一晩で仲間を理不尽に消されてしまう絶望は
時の流れの中でスウッと薄れていくものなのだろうか?
ましてや、まだ成長途中の子供達。
少しだけ前を見つめて、二人の様子を観察する
赤ちゃんは机の上にうずくまっていたけれど ブラックは膝の上で拳を握って、机に顔を押し付けていたけれど
耐え続けているのが痛いほど伝わって、体がじくじくと傷んだ
すまない先生
僕は顔面の絵面が最悪だったが、ストッパーの代わりに最後に鼻水をずずっとすすって、そっと口を開く
信じられないくらいに優しい声が出ていた
すまない先生
───無駄に広い教室に染み渡る
僕の言葉が二人の蓋を開けた様で、感情がブワリと溢れ出したのか……声を上げて泣き出した
誰も引いたり、馬鹿にしたりする奴は居ない
心臓が握り潰されているように、ずっと痛かったのだろう。 ──そんな痛みを耐えろ、と無責任なことは言えない
……だが、それが
少しばかりの乱れを生んでしまうことになる
赤ちゃん
赤ちゃん
すまない先生
すまない先生
すまない先生
ブラック
ブラック
ブラック
ブラック
ブラック
ブラック
ブラックは憎い憎いと言わんばかりに膝の上から拳を抜き、振り下ろす
机の上に叩き付けられた拳が、ドンッ!!と鈍い音を立てた
ずっと重く、ずしりとしていた空気が、音によって一気に振り払われた気がした
僕と赤ちゃんは驚いた表情のまま固まる
次の瞬間には タブレットが宙を飛んでいた
ガシャァァァァァァン!!!!
すまない先生
赤ちゃん
前方に大きく倒された机を、三人で囲むようにして見ていた
ブラックは何となくだけど顔が青く染まっていく感じがした
机の中から入っている物がそこら中に散乱してして、ブラックの机だからかパソコンやタブレットなどが多い
ブラック
ブラック
赤ちゃん
赤ちゃん
すまない先生
赤ちゃん
すまない先生
僕はタブレットを持ち上げてブラックを見下ろす
ブラック
赤ちゃん
ブラック
着々と広い集め、机の中へしまっている内に、段々と気持ちの整理ができてきたのか___終盤には涙は止まっていた
すまない先生
僕はふと目に付いたものを拾い上げる
すまない先生
すまない先生
赤ちゃん
赤ちゃん
ブラック
赤ちゃん
ブラック
ブラック
銀さん
皆の足音が遠ざかったのを感じて、俺は裏からひょっこり顔を出す
思った通り。誰も居ない。
銀さん
俺はカモフラージュするようにベンチに隠された物を迷わず見つけ、取り外す
それは、カメラだった
なぜ簡単に見つけ出すことができたのかは─── ”俺”が隠したから。
”裏切り”になってしまうかも知れない。 それでも──これをやる
最初で最後の最終手段。
銀さん
銀さん
銀さん
銀さん
銀さん
銀さん
銀さん
だから、とカメラを撫でるように触れた
これはさっきの会話を全て録画している。 実際の映像も…声も…
____出来れば使いたくない。
日がほんのりの周囲を照らし、オレンジ色に染めていた
そうだ、こんな日に七人でお菓子持ってきて食べたっけ
案の定すまない先生にバレてこってり絞られたけど、結局先生が割って入って一番楽しんでたっけな
銀さん
天に向かって、そう一言
ブラックの机に出来たDVDは入れておこう、確か机の中はパソコンとかで埋め尽くされてたから違和感は無いはずだ
銀さん
俺はくるりと体の向きを変えて進み出す
銀さん
銀さん
銀さん
夕焼けが見たこともないほど黄金色に輝いた
俺の銀髪に染めた髪をほんのり明るげな色に重ね塗りする
この運命の裏側は 明るく重ねられていると確信している
銀さん
すまない先生
固唾を飲んで二人は頷いた
すまない先生
僕は静かにDVDを機会にセットした
緊張感の中、空気を知らずにディスクは回り出す
聞いた事ある声がした
何度も何度も、下手したら家族より聞いた回数が多いんじゃないかと思える声が。
思わず、僕は画面に身を乗り出した。 瞳も大きく見開いて。
二人も同じだった
画面が暗く閉じるまで、僕達は画面から目を離すことが、瞬きする事すら惜しくて渋ってしまった
中で……綺麗な、夕日が立ち込めていた
コメント
3件
うわぁ…あんなに冷静なブラックが無意識に取り乱すなんて…!リーブの表現がもう上手くて痛いほど辛さとか胸の痛みが伝わって来るんだよ…!知りたくないって言ったらダメなんだろうけど…本当に皆の今の気持ちなんて分かりきってる事だから知りたくなかった… あの音声と映像がすまない先生たちにどう影響するのか…次回待ってるよ!
うわぁどうなるんだろう ミスターブラックぅぅぅ 無意識に取り乱すくらい悲しいんだよね みんな死なないでほしかった
当たり前のように毎回最高!!! 本当に神作品をありがとッッ!! リーブはいつまで経っても僕の憧れだよ~(;ω;`*)←何で涙?? 語彙力マジですげぇや!! 一生尊敬するわ!!(迷惑やて)