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夏川千尋
ねぇ、A組の雛神君もいなくなったって
安田 羅奈
え、ホントに？
夏川千尋
うん、しかもあの噂が原因らしい
安田 羅奈
噂って…恋が叶うっていう？
夏川千尋
そそ。
安田 羅奈
雛神君、好きな子いたの？
夏川千尋
いーや？分からないけどいなくなったってことはやっぱり…
安田 羅奈
いたんだ。
安田 羅奈
でもこんな事言ったらダメかもだけど雛神君凄く人気あったし、恋実らせるために何人もいなくなってたよね…
夏川千尋
たしかにこれ以上は居なくならないかもね
安田 羅奈
でもどうするんだろ、雛神君のこと好きだった子達。
夏川千尋
何人も学校来てないらしいよ
安田 羅奈
かっこいい上に優しかったしね。
安田 羅奈
千尋も…好きだったんだよね？
夏川千尋
うん…やっぱバレてたんだ
夏川千尋
雛神君…ううん。
夏川千尋
生駒は本当になんでも出来て誰にでも平等に接してくれてた。
夏川千尋
なにより、私の大切な幼馴染…。
夏川千尋
きっと女子達に恨まれるだろうから隠してはいたけど。
安田 羅奈
千尋…。
夏川千尋
羅奈…私、生駒を探しに行きたい
安田 羅奈
え、探す…？って…
夏川千尋
うん。やろうよあのおまじない
安田 羅奈
でも、あれをやったからといって雛神君に会えるわけじゃ…
夏川千尋
分かってるけど帰る方法を探したいの
安田 羅奈
帰る方法？
夏川千尋
いなくなるってことはどこか…異世界とかそういう所に連れて行かれたってことだよね？
安田 羅奈
う…ん？そうなるのかな
夏川千尋
なら引き戻す。
安田 羅奈
そんなの…簡単に言うけど方法は分かってるの？
安田 羅奈
ていうか雛神くんの所有物は？
安田 羅奈
なにか本人と関係ある物が必要なんでしょ？
夏川千尋
大丈夫、あるよ。
安田 羅奈
それじゃ、今夜。行こう
夏川千尋
え、羅奈も…来てくれるの？
安田 羅奈
もちろんよ
安田 羅奈
千尋一人で行かせる訳には行かない
夏川千尋
ありがとう…
安田 羅奈
うん！それじゃぁ今日の8時に学校集合で
夏川千尋
分かった
午後8時
夏川千尋
よかった、無事学校に入り込めたね
安田 羅奈
うん
夏川千尋
えっと…生駒…雛神生駒…
安田 羅奈
机見つかった？
夏川千尋
あ、あった！よし、
安田 羅奈
それは？
夏川千尋
小さい頃にね、生駒が私にくれたネックレス。生駒は忘れてるかもしれないけど、お揃いでくれたの
安田 羅奈
そう、本人の思いが入ってるものならいいらしいもんね
夏川千尋
うん…それじゃぁ、おまじない行くよ
夏川千尋
安田 羅奈
安田 羅奈
どう…？
安田 羅奈
え、こ、ここどこ！？
安田 羅奈
千尋！？
夏川千尋
夏川千尋
ここ…
安田 羅奈
どこかわかるの？
夏川千尋
このネックレスを貰った…
夏川千尋
昔住んでた所…
安田 羅奈
え…
夏川千尋
生駒！！
安田 羅奈
え、ひ…雛神君？
雛神生駒
千尋
夏川千尋
どこ行ってたの！
雛神生駒
ごめんね
夏川千尋
そのネックレス…
雛神生駒
うん。今でも覚えてる
雛神生駒
あの時約束したよね
夏川千尋
そうだよ…！！
雛神生駒
だけど高校生になってから千尋、僕と関わるのを嫌がって…
雛神生駒
嫌われたと思った。
雛神生駒
話しかけても避けられてまともに会話もできなかった。
雛神生駒
それが辛くて苦しくて…もう千尋とは会うことも話すことも出来なくなるんじゃないかって
夏川千尋
そんなつもりは…！
夏川千尋
生駒…女の子に人気があったから…仲良くしてたらいじめられるんじゃないかって…自分勝手だよね
雛神生駒
ううん
雛神生駒
自分を大切にしてくれてて僕は嬉しいよ。
雛神生駒
でも…それをもう少し早く知りたかった…。
雛神生駒
違うよね、僕が気づいてあげれば良かったんだ。ごめん…
夏川千尋
ううん…！私こそごめんね、生駒の気持ち考えてなかった
安田 羅奈
帰ろ、千尋
夏川千尋
羅奈…？
雛神生駒
どうして？
安田 羅奈
っ…！
安田 羅奈
雛神君、どうしてあなたはここにいるの？
夏川千尋
何言ってるの？だってここは…
安田 羅奈
私達がいたのは教室よ？
安田 羅奈
それに雛神は行方不明なの
夏川千尋
確かにそうだけど…生駒はここにいたの。
安田 羅奈
それとこれとじゃ辻褄が合わないじゃない！とにかくここから離れて
雛神生駒
帰れないよ。
雛神生駒
ううん、帰さない
安田 羅奈
やっぱりおかしいよ！ねぇ！ちひろ！帰ろ？
夏川千尋
そんな事言う羅奈の方がおかしいよ！
夏川千尋
私は生駒といる！ここに！
安田 羅奈
千尋…
安田 羅奈
千尋お願い…わかって…？
夏川千尋
羅奈…羅奈も生駒が好きなんでしょ？
安田 羅奈
え…？
夏川千尋
だから一緒にここに来れた
安田 羅奈
違う…！私は千尋と一緒にいたから…！
夏川千尋
羅奈にもこのネックレスに思入れがあったんだよね？
夏川千尋
私と生駒が同じネックレスをしてるのに気がついたんでしょ？
夏川千尋
だからこのネックレスが憎かった！
安田 羅奈
違うって！！！！
安田 羅奈
ううん…違わないのかもしれない…！
安田 羅奈
でも私は生駒君より千尋を選んだ！だから一緒に帰ることを選んだの！
夏川千尋
生駒と私が付き合うくらいなら散らせた方がいいからでしょ？
安田 羅奈
そんな事ない！
夏川千尋
もういい、羅奈だけ帰れば？
夏川千尋
私は生駒といる
安田 羅奈
ちょっと…！
安田 羅奈
いっ…！頭痛が…
夏川千尋
じゃーね、羅奈
安田 羅奈
千尋…！
安田 羅奈
安田 羅奈
安田 羅奈
安田 羅奈
ここ…教室…？
安田 羅奈
千尋！？どこ！？
安田 羅奈
………………
これは私なりの考察ですが、恐らくあれは全て錯覚で、願い人を見せて自分の思い通りにする事であちらの世界へととどまらせる。そういったものなのでしょう。
雛神君と千尋が本当の意味で結ばれる事はないのです。それぞれが相手の幻覚と一生暮らして行くのでしょう。
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
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