忘れないで、

ー第1話ー

道枝side

大好きな人は

笑った顔がとても可愛くて、

見ているとこっちまで元気になれるような、そんな人だった。

だから遠くから応援すること だけでも、

あの人が元気ならそれでよかった。

なのに、1年前

”恋人になりたい”という自分勝手な 願いを抱いてしまった。

その、

叶わなかったはずの願いは

奇跡とも言える偶然によって

叶った。

だが、その頃から

だんだんと

”目が見えなく”なって、

”体も弱くなって”いった。

だから、

大好きなあの人の、 笑った顔を見れなくなった。

その頃の自分は

そのことを受け止めたくなくて

せっかく恋人になったのに

電話やメールばかりで

本人に会おうとしなかった。

後に”全く見れなくなること”も 知らずに。

そんなことをしている間にも 病は体を蝕んで

半年が経った1週間前 とうとう何も、 見えなくなってしまった。

だから、そのタイミングで

前々から考えていた

活動の休止を発表した。

それと同時に病気を治すため 入院し始めた。

でも目が見えなくなったことと入院したことは、家族以外では メンバーやマネージャー、事務所のスタッフにしか話していなかった。

あの人には喋らなかった。

そんな事を思い出していると、

あるひとつの考えが浮かんだ。

ちょうどそこで コンコンと扉が鳴った

今は面会制限してるはず でも、聞かれたってことは

そんな事を繰り返し考えていると、

十数分で再び、扉がコンコンと 鳴った

こういう状態だし 本人なのか 確認しないと、、

そう思って確認したら、

そこに居たのは

山田涼介という僕の恋人だった。

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