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テラーノベル(Teller Novel)

今日で学校に来るのも最後か

夏の燃えるような太陽から 照りつけてくる光は ジリジリと肌とコンクリートを 焼きつけていた

夏特有のジトジトした空気が 肌に纏わりつき離さない。

亜我妻

あちい〜

橋平

こんなんでへこたれてんのか!紋逸!!

亜我妻

ぜ、ん、い、つ!!

亜我妻

てか伊之佑顔真っ赤だぞ!

橋平

そんなこたねぇぞ!
俺は、俺は、俺は

橋平

俺は、俺、俺は。

亜我妻

え、ガチでダメなやつじゃん!!

橋平

うるせぇ!!

ゴンッ!!

亜我妻

いってぇぇぇ!!

亜我妻

なぁに頭突きしてんだお前ぇ!!

橋平

俺はまだまだいける!!

橋平

うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

釜戸

ちょっと伊之佑!
あんま走り回らない方が...

ポスッ

煉國

こら

伊之佑はいきなり前に現れた煉國を 避けられず胸にダイブする

亜我妻

アホかあいつ

釜戸

ちょっと伊之佑!

煉國

気にするな!

煉國

しかし、その、そろそろ
離れてもらっても構わないだろうか...

伊之佑はまだ煉國の胸に 顔をうずめている

ドサッ

釜戸

伊之佑?!

亜我妻

あーあ無理するからぁ

煉國

橋平!失礼する!

煉國は伊之佑を軽々と持ち上げると 校舎に向かって走り出した

橋平

あ、あたまがポワポワするぜ...
(別の意味で)

煉國

釜戸少年!

煉國

またな!!

煉國はカンカンと照りつける太陽と 同じぐらい眩しい笑顔を 炭二郎に向ける

亜我妻

え?!なにあれ?!

亜我妻

なんか出来てるぅ?!ここ!!

亜我妻

あの笑顔は絶対何かある!!

亜我妻

あんな笑顔向けられたこと
ないんだけど!!

亜我妻

てか俺は?!なんも言われなかったよ?!

俺だけ特別な訳無いか。

ちょっと残念。

ん?残念?

亜我妻

炭二郎。顔真っ赤だよ

釜戸

え?!き気のせいじゃないのかなぁ

亜我妻

嘘つくの下手。炭二郎

釜戸

こんな暑いもんで顔は赤くなって
当たり前だよ禅逸!

亜我妻

ふーん?煉國先生に
あれだけの笑顔向けられたのにぃ?

亜我妻

(リア充め!!くそっ!)

全部この暑さのせいにすればいい

8月某日

釜戸

いい匂いだなあ

夏特有の太陽の香り。

炭二郎は肺いっぱい空気を吸い込む。

炭二郎はお盆の時期の為 家族と実家に帰ってきていた。

釜戸

おじゃまします!

寿美子

あらぁみんないらっしゃい!

寿美子

さ、暑い事だし上がっておいで!

寿美子

お盆はね、ご先祖様が帰ってくるから
お出迎えする日なんだ。

釜戸

これは?

寿美子

迎え火っていって、ご先祖様が
迷子にならないように焚くんだ。

釜戸

僕たちのご先祖さまは
どんな人なんですか?

寿美子

これを言っても信じないと思うけど。

寿美子

昔、日本には鬼がいたんだ。

釜戸

鬼?

寿美子

人を喰らい、強くなる。

寿美子

人々の幸せを壊す憎むべき存在だった。

釜戸

ほんとに居たんですか?

寿美子

ほんとだよ。

寿美子

私たちのご先祖様は憎むべき鬼を断ち斬る

寿美子

鬼狩りだった。

釜戸

鬼狩り?

寿美子

そう。

寿美子

私たちがこうやって何気なく幸せに
生きていけるのも。昔の人達が命を繋いで頑張ったおかげなんだよ。

おばあちゃんは精霊棚から何やら赤い物を持ってきた。

釜戸

これは...?

寿美子

刀の鍔(つば)

寿美子

私が幼い頃からこの棚に大事に
置いてあってね。
御先祖様が大切に持っていたらしいんだ

鍔は不思議な形をしており 炎の形をしている。

寿美子

炭二郎。これは貴方が持っていなさい。

釜戸

え?こんな大事なものいいんですか?

寿美子

いいのよ。

寿美子

貴方が付けている日の丸の耳飾り。

寿美子

この鍔と一緒に大事にしまっておきなさい

某所

釜戸

まずい。完全に迷った。

炭二郎は近くに散歩に来ていたが山奥で一面翠(みどり)だらけの為完全に迷ってしまっていた

釜戸

きっとこの川を川上に向かって辿っていけばたどり着けるはず。

既に東の空を闇が覆い始めていた。

釜戸

急がないと...

ガサガサ

釜戸

ッ?!

何だ?獣か?

ガサガサガサガサ

音はだんだん近づいてくる。

万が一熊だったりしたら逃げなければ。

炭二郎は身構える

煉國

わっしょい!!

釜戸

?!

煉國

わっしょい!!わっしょい!!

釜戸

あれは、煉國先生?

少し先では、煉國らしき人が 川に転がっている大石の間を あちこち飛び移っている

釜戸

煉國先生?!

煉國

よもやっ?!

煉國はどこから自分の名前を呼んでいるのか探している。

釜戸

こっちです!!下です!!

釜戸

下!!

広大な山奥の翠の中で 炭二郎の声が木霊する。

煉國

おお!釜戸少年!

煉國は気付くと炭二郎に向かい 二段飛ばしで大石を飛び移った。

釜戸

えっっっっっ

釜戸

に、二段?!!

煉國

釜戸少年!よもや此処で会えるとは!

煉國

こんな所で何をしている!

釜戸

あの、お盆の季節なんで
実家に帰ってきてます。

煉國

釜戸少年の実家はこの近くなのか?!

釜戸

そうですけど。

釜戸

煉國先生こそ此処で何を?

煉國

実は俺の実家も丁度この近くなんだ!

釜戸

え?!そうだったんですか?!

釜戸

すごい偶然

煉國

よもや!運命だな!!

釜戸

えっ!?運命?!

釜戸

スケールデカすぎではありませんかっ!?

煉國

いや、変な事を言った

煉國

忘れてくれ

煉國

しかし子供が1人で山奥を彷徨くのは危険だ!付いてこい!!

釜戸

はい!

何か先生から嬉しそうな匂いがするなあ

何かいい事でもあったのかな?

残香に焦燥を抱き

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