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2 - 第1話 序章「いつもどうり」

♥

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2022年01月15日

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ガチャリ

…ただいま

下駄箱の傍には、白いオシャレなスニーカー、赤いスラッとしたヒールが揃えられている

ヒタ…ヒタ…

冷たく静かな廊下には、私一人の足音しか聞こえない

今日も、また一人きりの部屋

ガチャ…

リ…

シーンとしたこの空間が私は大嫌いだ

あぁ、また聞こえる…

んぅ…

いつもどうり耳を塞ぐ

「んっ…ん、」

「やめっ、ひぁ…」

(やだやだやだやだやだやだ…)

『はぁんっ…やぁぁ、』

『やだぁ、んぁっ…』

(お願いだから黙って…)

右側の部屋からは父と知らない女の行為中の声や音

左側の部屋からは母と知らない男の行為中の声や音

子供が居るのに昼間からこの有様だ

机の上にはドーナッツとワッフルの乗った皿がいつもどうり置いてある

借金してまで買った見えの張った家、家具、小物、洋服

私は菓子の乗った皿を手に持ち、一階の端にある自分の部屋へ向かう

・・・

宿題を済ませ、苺のドーナッツに手を伸ばす

パクッ

(・u ・)ŧ‹”ŧ‹”

ハイライトの消えた目で宙を見上げながら、味のしないドーナッツを頬張る

気付くと、日は西に傾きかけていた

あ、お風呂…入んなきゃ

生きた心地のしない足取りで私はお風呂場へ向かった

スルッ…スルッ…

服を脱ぎながら、明日の予定を見直す

(たしか明日は、算数のテストが…)

(あ、音楽もある…)

ヒタリ…ヒタ…

ガラッ

サァァァァ

シャワーのお湯が私の体に優しく当たる

っふぅ…

キュッ

今日も疲れた…

チャプンッ

濁りの無い、氷のように綺麗な湯船に浸かる

…出るか

ザバッ

むせるような甘い香りのタオルで髪、体を拭く

同じ甘い香りのパジャマに体を包む

(今日の夕飯もカップラーメンかな…)

飛ばします

ボフッ

おやすみ…私

すぅすぅ…

明日あんな事がおきるなんて…

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コメント

2

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表現一つ一つが美しいですね!

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