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Kissing to travel

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Kissing to travel

2 - Kissing to travel 2

♥

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2019年10月11日

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午後12時

僕はお屋敷を前に深呼吸

目指すはベランダ

すっと羽を広げると すぐにベランダに着いた

静かにノックすると カラカラと開く窓

彼女

こんばんは、修理屋さん

こんばんは、お嬢さん

彼女

今夜は少し寒いわね

えぇ、秋を感じますね

薄く笑うと

釣られたように彼女も 目尻を下げた

他愛もない会話を終えると

僕はそっと彼女を抱えて

飛んだ

彼女

うわわわわわ!!

驚く彼女を落とさないように

慎重に夜空を飛行する僕

少しすると慣れてきたのか

僕の首に巻かれた 腕の強さが緩んだ

彼女

貴方はどうして飛べるの…?

あぁ、これの事かい?

不思議そうな彼女を横目に

背後に生えた黒い羽を指す

頷く彼女が見えたので 薄く笑って答えてみせた

現実逃避行だよ

彼女

へ……?

現実逃避行だよ。君と僕の。

彼女

何よ、それ……

呆れるように笑いながらも 少し嬉しそうな彼女

……僕の正体はまだ 話さないでおこうかな

さぁ、ここからどこに行く?

彼女

そうね……

彼女

………そうだ。

彼女

貴方の名前を教えてくれないかしら?

僕かい…?

彼女

えぇ。

僕は…そうだなぁ

ライア、とでも名乗っておこうか

勿論、偽りの名前。

彼女

ライア…?

あぁ。君は?

彼女

私は魔由よ

魔由

魔法の魔に自由の由

いい名前だね

魔由

そう?

魔由

ありがとう

優しく笑った彼女が

月光に照らされて 美しく輝いていた

魔由

これからどうなるの…?

僕の家にでも招待するね

魔由

やったぁ!

魔由

これからどうなるの…?

その質問、さっきも聞いたよ?

おどけたように言いながら

不安そうな彼女の顎を スッと上げる

薄紅色の唇がなんとも綺麗だ

魔由

だって…ここに居ることがバレたら…

大丈夫。

僕がなんとかするから

安心させるように言って

華奢な肩を抱きしめて

そっと彼女の髪に 口付けを残した

続く

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