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真っ黒なアナタ

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真っ黒なアナタ

1 - 真っ黒なアナタ 1

♥

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2019年08月31日

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ねーねー、咲月ちゃん。これ見てぇ

アナタが私をこんな甘い声で呼ぶ時は

とんでもない事をやらかした時

咲月

おい、大野。私は先輩よ?敬語は?

んふふ

なにこの後輩。もう慣れたけどさ。

咲月

んーで?何をやらかしたんだい?

やらかしてないもん。コピー機がプチ爆発しただけやぃ

えっ?爆発にプチとかあるの?おい大野教えろや

咲月

…どうやったらこうなんの?

フツーに

アナタいっつもそうよね。 いろんな事やらかしても「フツーにしてただけだもん」とか言ってさ。 フツーにしてたら爆発なんかしないからね?

咲月

大野…これ以上私の評価下げんなよ…

んふふ、ごめんっ

顔の前で小さく手を合わせながら、テヘって笑ってる天使の顔した悪魔

この会社で1番やらかしてるのが大野

そして、そんな奴と隣の席の私。

大野はいくら怒っても反省の色が見えないからって、なぜか私が怒られる。

おい大野。お前のせいで先月の給料下がったかんな?

咲月

大野……マジでホントやめて

このコピー機が悪い

もーやだ。もっと優秀な後輩の隣の席がよかった。 例えば、櫻井くんとかぁ、櫻井くんとかぁ、櫻井くんとか? おぼっちゃまな櫻井くん、どうかお願いします。今すぐこいつと席チェンジして。

咲月

櫻井くーんっ

翔ちゃん、今は外回りだよ

こうやって何でも知ってるトコが地味にウザイ。けど尊敬してる。

咲月

…はい、できた

ただいま午後の10時

咲月

ご飯食べたいよぉぉ〜!

煮干し、いる?

咲月

いらねぇわ

隣でポロポロくずをこぼしながら煮干を食ってる大野。 アンタがコピー機爆発させたのバレたから、私が勝手に修理したのバレたから、今、大野と2人で残業させられている。

ぶちょー、あんなに怒んなくてもいいのにねぇ〜

咲月

アンタがいっつもやらかしてるからでしょ

オイラはフツーに頑張ってんのになぁ〜

ぶぅって口を尖らす大野は悔しいけど可愛い。

ねー咲月ちゃん?携帯、ずっと鳴ってるよ?

私のデスクの上で、さっきからブーブー鳴ってるスマホ。 だってさぁ…だってさぁ!

咲月

だって今日合コンの予定だったもん!!

せっかく運命の人♡に出会えるかもしれなかったのに、大野のせいで私の人生パーだよ!

そうだったの!それはそれは残念。んふふ

咲月

…大野…お前なんで最後笑った…?

いぃや…咲月ちゃんって彼氏いないんだ〜って思って?…ふふっ

なるほどね?26になっても彼氏いたことないとかキモとか思ってるんでしょ?

咲月

彼氏いたことなくて何が悪いのよ!

え?いたことも無いの?…おぉ…

笑われるどころか感心されたよ?なになに意味わかんない。

咲月

大野、お前はいんだろ?どーせ…ケッ

今はいないよ

…〝今は〟って事は、昔いたんだ…ふぅ〜ん…まぁ、ブサイクではないしね、どっちかと言ったらイケメンの分類だしね。

オイラが咲月ちゃんの彼氏になってあげようか?

咲月

遠慮するわ

咲月

大野〜終わんない〜

さっきから咲月ちゃんがワーワー言ってる 夜なのにテンション高ぇな…笑

暇だし、恋愛話でもするか。

好きな人もいたことないの?

フツーに聞いただけなのに、咲月ちゃんの瞳はドギマギ動き出した。 ……こりゃ……恋したことありますな。

ふぅ〜ん、いたんだ。笑

あまりにも純粋な反応に少しニヤけてきた

咲月

もぉ…ホントにやめて……///

あーら、照れちゃって可愛いなぁ〜 ……ん?オイラ…今なんて思った?

……………可愛い…?

オイラは今、目の前にいる先輩の咲月ちゃんを可愛いって思ったの?

咲月

大野、可愛いってないが?

はっ!?///…ななな何にも無いっ!!///

えっ?いやいや、今までのオイラの傾向からいくと、もっとボンッキュッボンッで、目がえげつないほど大きくて、体が棒みたいに細い奴。

咲月ちゃんは、言っちゃ悪いけど、それには当てはまんない。 けど……なんか……そういう素朴な感じがオイラは新鮮に感じるっていうか……

も〜!何考えてんだよ!バカバカ!

さっきから、おとぼけ顔の咲月ちゃんは取りあえず置いといて、仕事を再開した

咲月

んぁ〜っ!終わったぁ〜!ねむっ!

あくびしながら喋るような女を………

オイラは可愛いと思ったのか………?

咲月

大野?どうしたの?ボーっとしちゃって

さっきから、ふわふわした眼差しで私の事を見てくる 何があっただ?この短時間で。

べ…別にっ

咲月

エリカかよ

…………

……今のツッコミすべった?うわ恥ずかし。まぁいいや。帰ろ

咲月

大野、んじゃまた明日

お、おぅ…

大野はほっといて、1人で帰る。

咲月

ただいま〜……

???

おかえりぃ

私は一人暮らしなのに、奥の方から返事が返ってきた。 普通の子なら「きゃぁっ」とか言うんだろうけど、私はもうこれに慣れてしまった。

リビングへの扉を開けると、寝っ転がりながらゲームしてる奴が、自分の家のようにくつろいでいる。

咲月

ニノミヤ!お前、また勝手に合鍵作ったんかよ!

和也

わっ!、……………ああああ!お前のバカでかい声にビックリして死んだじゃねぇかよ!

咲月

逆に人ん家でゲームすんじゃねぇよ!

和也

まーまーいいではないか。咲月君

咲月

は?社長の真似?

和也

大正解!

咲月

ニートのくせにな。ケッ

私の家に、またにっていうかほぼ毎日やってくる、この男 『二宮和也』

小学3年の時、隣の席になってから、ずーっと一緒にいる。いや、いられる

でっかい家に住んどきながらニートっていう謎の男。 顔が良いからモテるらしい。

和也

あ、出前取ったから

咲月

なんで勝手に取ってんだよ!

咲月

てか、ニノミヤってさ、自分の家嫌いなの?

和也

は?なんで?

咲月

だってさ、あんな大きくて広い家に住んでるのに、わざわざこんな狭いとこ来なくても……

私だったら、絶対にずっとあの広い家に居る

こんな狭くて汚くて?使い勝手の悪い家より、100倍良いもん

和也

この家は……

和也

居心地が良いんだよ……

咲月

ふぅ〜ん……

こんなテキトーな理由で居たり、 勝手に出前取ったり合鍵作ったり、 バカとかデブとかブスとか言われたりしてるのに、

心の底から拒否できないのは……

私の〝初恋の人〟だからなんだ……

どっかでニノミヤとの繋がりを欲してるんだ。

小学校の時からずっと隣で横顔を見てきた。ずっと好きだった。 だから、私が何でも知ってるんだと思ってた。

そんな私の自惚れは中学2年生で終わった

当時、ニノミヤから 〝咲月、俺ね彼女出来たの。んふふっ、白崎って子〟

白崎さんは、1個先輩で学校の中で1番に可愛くて、皆の憧れ的の子だった。だって和は、かっこいいもん、可愛いもん、面白いもん、そりゃ彼女くらい出来るよね。 って自分に言い聞かせてきたけど、どうしても諦めきれなかった。

白崎さんが高校を受験する時に別れたって聞いた時、告白してみようかな?って思った時もあった…… けど、この気持ちは伝えない。

和の困った顔を見たくないから。

早くこの長い初恋を終わらせなきゃ。

咲月

和〜?帰んないの?

和也

何よ。帰ってほしいの?笑

咲月

そんなこと言ってないじゃんか!///

和也

じゃあ泊まろ

………

やった。なんて思ったのは和には秘密。顔では『最悪』って思ってるふりをするんだ

咲月

え〜また泊まんのかよぉ

和也

嫌がんなら余計に泊まりたくなる。笑

咲月

ドSめ…

和也

ってかさぁ、ホントお前口悪いよな。笑

咲月

うっせ、黙れ

これだけ口が悪くなったのは和のせいだもん。 和への気持ちを隠すために、わざとこんな口調にしてるんだよ。

気付いてほしいけど、気付いてほしくない…

そんな訳わからない、私の和への秘密は、いつ無くなるんだろう

和也

…あ…メールきた

咲月は、チカチカ光ってるスマホを器用に扱う和の手を眺めていた

和也

やっぱ泊まんのやめるわ

咲月

へっ?!

和也

女の子からお誘い♡

和也

ってかお前さ俺に泊まってほしくないんだろ?

咲月

え…あ…うん…そぅ…だけど

和也

だろ?じゃぁな〜

ガチャン

あっさり出ていく和の背中。 引き止める事は出来ない。

そして、また私は泣くんだ

誰も拭うことのない涙を流しながら。

次の日

おはよ〜、咲月ちゃ〜ん

助けて〜w

咲月

…は?

…………んっ?!なにこの光景…

笑顔で挨拶してきた大野の隣で、般若顔みたいな顔してる松本部長

松本部長

おい。またこいつがパソコン1台壊しやがったんだよ。…ったく

咲月

あ、すいません…

松本部長

お前、ちゃんと面倒見とけよ

だって大野は面倒見ててもやらかすし…どうしろっていうんだよ

ぶちょーさ、なんで咲月ちゃんを怒るの?オイラが悪いのに

咲月

バッ、敬語使えよ!

松本部長

…なんだ大野……俺に喧嘩売ってんのか?

やばいよやばいよ、この雰囲気

別に売ってるつもりはねぇけど

松本部長

…ふーん……

松本部長の瞳がキラッと光った瞬間、〝やばい〟って直感した

そろそろ止めた方がいいなって思って、腕を伸ばすと、私より先に腕を伸ばした人がいた

???

っ松本部長!!この資料まとめ終わりました!!……

大野と松本部長の間に立ちはかどったのは…………

櫻井君

松本部長

………ん。あぁ、分かった…こっち来い

はいっ

2人が部長のデスクへと向かうのを見て、はぁ〜っと深いため息が出た

咲月

大野……ありがと。私なんかをかばってくれて

〝なんか〟なんて言わないで。守りたかっただけだし

爽やかな笑顔でカッコイイ事をサラっと言いのけた大野に、咲月は不覚にもキュンとした

咲月

っ…//…はいはい分かったから!早く仕事しろっ

ねぇ〜咲月ちゃん?

私の方へ伸びてくる細い腕

その綺麗な指に見とれて、動けなくなった

咲月

…っちょ…おおっ…の…?⁄(⁄ ⁄º⁄Δ⁄º⁄ ⁄)⁄

目の前に広がるのは、キラキラ輝いている大野の瞳

ねぇ…近いんだけど…?!このままじゃ…

怖くなって目をギュッとつぶってると、唇に細い何かが触れた

咲月

はぇっ?⁄(⁄ ⁄º⁄Δ⁄º⁄ ⁄)⁄

私の口には大野の人差し指がそっと触れてる

ふふっ

〝キス〟

期待してたでしょ?

意地悪く片方の口角だけが上げるその笑顔

咲月

…お……大野のバカッ!!///

や〜ん、期待してたんだ…あ、今からしよっか?

咲月

いらん!

私の方が年上なのに、こんな奴に振り回されて…悔しい

ヘラヘラ笑っている大野を睨んでいると、後ろから控えめな声が聞こえてきた

あのぉ〜

咲月

ん?あ、櫻井君!さっきはありがとねっ

あぁ、さっきのは全然大丈夫です。お二人とも困ってる様子でしたので

…やだやだ、なにこの爽やか少年!

目の前にいる意地悪野郎とは大違いだわ!

翔ちゃんうるさい。笑

…え?櫻井君と大野ってどんな関係?

この作品はいかがでしたか?

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コメント

2

ユーザー

待っててくださいねm(_ _)m

ユーザー

早く続きを出してください!

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