目を開けると 満点の星空
××××
いつか見た兄妹が 無邪気に駆けていた
××××
××××
妹が不満そうに 頬を膨らます
それを見た兄が ふっ、と微笑む
輝く夜の下
兄妹が空を見上げていた
星の様に煌めく 微睡みだけが
そこには在った
輝く夜の下
“ 偽物 ”の兄妹が 空を見上げていた
sideマイキー
マイキー
嶺
鶴蝶が部屋から出ていき 遂に二人だけになる
心待ちにしていたはずの相手
苗字を捨てて 他人として生きていた相手
公安警察 『 蒼花 嶺 』
本名は 『 ×××× 嶺 』
嶺
マイキー
嶺
マイキー
お互いに仮面を被り 会話を始める
一言一句 見逃さぬ様に
言葉一つにも 棘がつく
嶺
マイキー
不意に嶺が口を開いた
嶺
嶺
マイキー
藍色の髪が 不規則に揺れる
まるで 彼女の“ こころ ”を表すように
蒼い瞳は 変わらず俺を見据える
マイキー
だから と言うべきか
マイキー
口から出た言葉は “ そんな事 ”だった
嶺
予想外の答えだったのか 嶺が頬を緩ます
嶺
嶺
そうやって 彼女ははにかむ
それだけなら 良かったのだが
嶺
嶺
マイキー
火の中に 油を大量投入
嶺は昔から 余計な事をホイホイと話す
嶺
嶺
嶺はくすっと苦笑を零す
夕暮れに染まる 蒼色の瞳は
見惚れてしまうぐらい 綺麗だった
マイキー
嶺
いきなり 嶺が話を遮る
それから少し逡巡した後
嶺
蒼い瞳を 微かに揺らしながら
嶺
嶺
そう お願いしてきた
マイキー
今は亡き幼馴染
果たして 悪の道を進んだ俺が
彼に会う事を 許されるのだろうか、?
マイキー
嶺
嶺
俺の心情を察したのか 嶺は急かさない
それでも 背けていた過去が
俺を縛り付けた
マイキー
嶺
またもや話を遮ると 嶺は名残惜しそうに笑った
嶺
ガチャッ
鶴蝶
嶺のその言葉と同時に ドアから鶴蝶が入ってくる
マイキー
気づけば かなりの時間が経っていた
俺は鶴蝶に 嶺を部屋へ連れて行くよう指示し 彼女に別れを告げる
嶺
嶺
微妙に緊張した嶺
マイキー
マイキー
俺はそれを素っ気なく返した
“ またね ”は 言わなかった
嶺
マイキー
去り際
嶺が振り返り 俺を見る
彼女の口からは 異国の言葉がでてきた
嶺
マイキー
韓国語
鶴蝶には伝わらなかっただろうが 俺には伝わった
『 そんな訳ない 』
そう思いたいのに
『 もしかしたら 』
と、いらぬ幻想が浮かぶ
嶺
そう言い残し 嶺は去った
静まり返った 独りの空間
沈む太陽に照らされ
夕陽に染まった雫が 頬を伝った
マイキー
マイキー
八重歯を覗かせ不敵に笑う 黒い長髪の幼馴染が
瞼の裏に 蘇った
side嶺
コツコツコツコツ
嶺
鶴蝶
静寂の狭間に 足音だけがコダマする
これからどうやら
自分は 反社とヨロシクするらしい
そんな中 ふとくだらない疑問が浮かぶ
嶺
鶴蝶
鶴蝶
そう問いかける鶴蝶に 自分は一拍置いて話し出す
嶺
嶺
鶴蝶
我ながら 馬鹿げた話だと思う
散々反社を嫌っておいて 今更仲良く?
嶺
嶺
......やっぱり
ジブンタチ “ 反社と警察 ”は
分かり合えな──
鶴蝶
嶺
鶴蝶の口から出た 想定外の言葉
その言葉に 自分は動けなくなった
鶴蝶
鶴蝶
そんな自分を他所に 鶴蝶は続ける
鶴蝶
鶴蝶
嶺
鶴蝶
少し気恥ずかしそうに 鶴蝶が微笑む
嶺
嶺
対して私は 少し上から目線で笑った
嶺
あーぁ
まさか自分が 反社の言葉に救われるなんて
夢にも 思ってなかった
嶺
いや ちょっと違うか
一度だけ
ううん、何度も
夢見た言葉が 頭の中を乱反射した
ボンテン ジブン “ 反社 ”と“ 警察 ”
混ざり合えば
どんな化学反応が 起こるのだろうか
きっと来ない そんな未来
それでも 自然と
頬が緩んだ
それから暫く
鶴蝶が ある扉の前で立ち止まる
鶴蝶
鶴蝶
嶺
嶺
自分は皮肉っぽく 鶴蝶を笑う
鶴蝶
鶴蝶
嶺
そりゃー ごもっともだ
鶴蝶
そう言って 背を向ける鶴蝶
嶺
そんな彼を呼び止め 少し近付き
鶴蝶
首を傾げる彼に 自分は耳元で囁いた
嶺
嶺
嶺
嶺
嶺
嶺
馬鹿みたいに 口を開いたままの彼
そんな彼を小さく笑って
部屋に入ろうとした
──時だった
突然後ろから声がして
鶴蝶
嶺
嶺
振り返ると いかにもチャラい見た目の男
ソイツは 首を傾げる
一々の所作が やけに様になる男だった
嶺
コレは、間違いない
梵天の幹部
嶺
蘭
蘭
あのハロウィン以来の
二回目の “ 出逢い ”だった
NEXT1000
コメント
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え、レイちゃん韓国語話せんの凄 マイキーもちゃっかりわかっちゃってる(?)し! そしてどんな化学反応なのかとかをすぐ(?)考えれるレイちゃん、なんか化学者みたいな感じする!(※私個人の偏見です) 今回も最高でした!