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好き…
付き合ぇ…っ!
突然だった
中学2年生の秋
幼なじみの二口から告白された
敬語がいい慣れなかったのか上からだが…
嬉しい反面心配だった
もし嘘告だったら?
性格が終わってる二口ならやりかねない
自分からこーいうのやるタイプじゃないけど…
もし違ったら…?
確認するのはダサいし
だからって揶揄われるのも…
断って本当だったらもっと最悪
そんなことで頭がいっぱいになり
頭がもう嫌だと言っていた
だから嫌だと言った
自分の脳に従って_
間違いだった
二口は半笑いで教室を出て行った
周りに人の気配はしなかったけど
自分の秘密をまるで知られてしまった時のように
背中が凍りついた
どっち?
中途半端に置き去りにしないでよ
二口…
あれからもう話していない
憶測だが、きっと本気だったと思う
だけど今まで私のことを散々煽ってきたのに?
そんな間際らしいことしないでよ
ちょっとくらいアピールしてくれてもいいじゃん
分からないよ
私のこと鈍感女って散々言ってきてたでしょ?
私が悪いの?
違うならなんで…そんな顔するの?
みんな揃って怖いよ
あれから皆んなから無視されるようになった
唯一話してくれたのは隣のクラスの友達数人
教室ではすっかり居場所がなくなり
私の席も一軍達に占領されている
だからベランダに出て本を読む
“穴の空いた心”というタイトルだ
私にピッタリだと思わない?
だって私の居場所もぽっかり穴が空いて
私の心にも穴が空いて
皆んなの心にも私という存在に穴が空いていると思う
まさか、失恋の本なんて読まない
実際のところ私は二口に恋をしていなかった
うざい親友
それが当てはまるだろう
でも“親友”と呼べるくらいには
仲が良かったと思う
あの時の私はきっと彼氏という存在に
二口を当てはめていただけ
だからあんなに泣いて後悔したんだ
皆んなより仲が良かっただけなのに笑
自意識過剰も過ぎるよね
そんなことを考えながら
自分の席に戻った
紫色の背景に文字が書かれただけのシンプルな本
それを机に置くと5秒間見つめた
特に何も考えなかったけど
頭が疲れたと言ったみたい
『 あっ… 』
ドンっ
いっ…た
良かった…バレてない
そういや、あの時もそうだったな
脳に従うとダメなのだろうか?
優柔不断な私には無理な話だが…
次は移動教室だ
隣を見ると、人一倍背が高くて
どこか優しい顔をしている青根くんと…
それと
二口
私には見向きもしていない
そっちの方が都合がいいから何とも思わないけど
古くなった扉を開けると
生徒で賑やっている廊下を目前にして
教科書を守るように抱えると一歩一歩
慎重に進む
あ、佐藤先輩だ!
可愛いよな
それな!
とりま告るか!w
やめとけ笑 あの二口も振られたんだぞ
そして俺も
告ったのかよww
聞こえてるってば…
そんな話、本人の前で
すんじゃねーよ。
「 おい、 」
『 ん? 』
少し後ろから聞き慣れた声がした
誰だろう…あの人かな、?
いや違う…あ、そうだ
“お兄ちゃん” だ
『 何?どうしたの。 』
「 帰りにおかんがコーヒー買えって 」
『 いつもの?1人で行けばいいじゃん 』
「 俺に頼まれたんじゃないだろ? 」
「 逃げんな 」
ちぇっ…
こういうとこ嫌い…
『 じゃ、 』
グイッ
!?
「 待てよ、こっち来い 」
『 なんでっ… 』
「 いいから 」
強引に私の腕を掴むと
廊下の隅へと進んでいく
どんどん人気もなくなり
ただただ不思議だった
「 お前… 」
ーーーーーー?
穴 の 空 い た 心